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我が家にもYチェアがやって来た

前からずっと気になっていたのが
椅子の座り心地・・・・
何だか安定しなくて、背板がたいらなので何となく力が抜けない感じでした。この椅子だと、腰を前に滑らしてだらしなく座らないと安定しないのです。そこで、椅子の向きを横にしてテーブルに肘をかける様にして座っていました。長い時間座ってられない感じです。
ある日、森の中 ♪ ♫ ではなく、ショッピング・モールでACTUSというショップに立ち寄りました。いろいろな椅子があったので、端から順に座っていきました。なかなか良い感じの物が多かったのですが、本当に違和感なく座れたのが、写真にあるYチェアでした。
ハンス・J・ウェグナーによりデザインされ、ロングセラーの椅子です。お値段はちょっとはりますが、価格以上の価値があります。模倣品(コピー)が多く出回っているほど人気の椅子なので、この本物の椅子に一度座ってその感覚を実感して頂きたいと思っています。


体を支えてくれる。丸いアーチ状のアームは安定感が、抜群に良いので長く座っても疲れなく、体勢を変えても(横向きでも)安定して体を支えてくれます。(アームの部分が曲がった後ろ脚で支えているので、足を横に出せるので完全に横向きになれる。また、後ろ向きに座ってもアームに肘をかけて安定して座れるのがいい。)背もたれの部分は丸い棒状ではなく、体に合うように削ってあります。

また、後ろ脚はYチェアをより彫刻的で工芸的な印象にしています。このカーブがとても魅力的ですが、この部分はS字状に切り出した板を丸い棒状に削り出して作っています。一見すると3次元にカーブになるように切り出してしているかのようですが、実は2次元カーブの部材です。Yチェアの制作過程でも最も手のかかる部材だそうです。そのためか、美しさを感じる部分ですよね。

2次元カーブが、この角度から見るとよくわかります



本物には座面の裏にシリアル番号があります。

こんな感じです。
座面の紐の部分の原料はスウェーデンの針葉樹で薄い紙のような状態の物を撚って紐状にし、さらにそれを3本使ってまた撚ってあります。この紐の名前はペーパーコードです。この紐を最後に職人さんが手作業で編んでいきます
何か溢してしまったらどうするの?と思うかもしれませんが、その時はその部分を水洗いしてから陰干しすればOKです。10年から15年すると緩んで来ることがありますので、その時は編み直してもらえば、また新品の様になります。
椅子の色もいろいろありますが、私はスタンダードなビーチ材のソープフィニッシュと言う仕上げの物(塗装せず、石鹸を塗って乾いたらサンディングしただけのもの)を購入しました。経年変化で色が変わってきます。それもまた、あじがありますよ。
椅子選びはとても難しく、人によって、体型によって、好みによって変わります。自分に合った椅子を一生使うことができるなら、とても幸せな事だと思います。椅子との出会いは、偶然ではなく突然でした。

一つ余談ですが、茨木のり子の詩集に「倚りかからず」という詩があります
最後の部分で「倚りかかるとすれば それは 椅子の背もたれだけ」というあの強い言葉を思い起こします。私もそうありたいと願う、今日この頃です

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