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発酵食品/南方熊楠/パラダイス酵母

全国の発酵食品好きの皆さん!

今回は少し珍しく、食べ物の話をします。

ここ数年、いろんなところで「発酵」という文字を見かけるようになりました。世の中的にも「発酵」は流行っているようですが、鶏か卵か、それは仏教人の間での発酵への注目とも連動しているような気がします。

発酵とは何か。

発酵とは、微生物(乳酸菌、麹菌、酵母など)のはたらきによって食物が変化し、人間にとって有益に作用すること。反対に、有害な場合は腐敗となります。発酵は食物のおいしさや栄養価、保存性を高めるだけでなく、腸内環境の改善や抗酸化作用など、健康効果をもたらします。

発酵について詳しく解説してくれているこのサイトはカルピス社の運営ですが、そういえばこのカルピス、実はお経に出てくる「サルピス」という言葉に由来すること、知ってましたか?

「サルピス」は、仏教の「五味」のひとつです。五味とは、牛乳を精製する過程の5段階の味を表し、乳(にゅう)→酪(らく)→生酥(しょうそ)→熟酥(じゅくそ)→醍醐(だいご)と次第に上等なものへと変化していきます。最高位の醍醐は最高の味で、「醍醐味」という言葉の語源ともなっています。語感も考え、熟酥「サルピス」から名前を取って『カルピス』と命名されたとか。

お経に出てくる最高の味、どんなものか気になりますよね。今では詳しい製法は不明となってしまいましたが、一説によると、チーズのような乳製品だったそうです。

そんなカルピスの創業者は、やはりお坊さんでした。内モンゴルで瀕死の状態の時に「酸乳を飲み続けたところ回復を果たした」、その酸乳がカルピスの元となっています。

仏教人にとって「発酵」と言ってまず浮かんでくるカルピスの話ですが、他にも「発酵」といえば、南方熊楠(みなかたくまぐす)という偉人の存在も連想される昨今です。

先日のテンプルモーニングラジオに登場された神田英昭さんが、南方熊楠の研究家で、「南方熊楠と僧侶との往復書簡」を大発見(ジャズ好きのおかげで笑)されたエピソードは、ぜひ聴いてみてください。

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このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじ…

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