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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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#グッド・アンセスター

カンファ・ツリー・ヴィレッジのはじまり

実はここ一年ほど、大きな大きな難問を抱えながら、水面下で仲間とともに試行錯誤を重ねていた。 いよいよ機が熟し、4/29にその「はじまりの集い」が開催されることとなったので、このタイミングで自分の思いを書いてみたい。 カンファ・ツリー・ヴィレッジ(武蔵野大学100年記念プロジェクト) その難問とは、突き詰めると「ブッダ・ダルマ(仏法)を中心に据えて、現代世界の諸課題の解決に貢献すること」だ。 私はここ5年以上、武蔵野大学で非常勤講師として「現代仏教特殊研究」という講義を

滋賀県勉強会〜『グッド・アンセスター』著者ローマン氏を迎えて〜

滋賀県では、『グッド・アンセスター』を読まれて触発された三日月知事の呼び掛けで、県職員による「よき祖先」をめぐる読書会や勉強会が開かれていて、昨年末には、 北野唯我さんのオンラインサロンとの共同企画でトークイベントも開催され、僕もお声がけいただいた(当日の様子はこちら)。 県を挙げて「グッド・アンセスター」に取り組んでいる滋賀県で、定期的に国内外の有識者をゲストに招いて開催している知事勉強会。2022年はじめの勉強会には『The Good Ancestor』の著者ローマン・

あらゆる教理から自由になる

先日、藤田一照さんとオンラインで対談する機会があった。一照さんとはもうかれこれ10年以上のお付き合いになるけれど、イベントのような公開の場で対談するのは案外、今回が初めてだ。 「身体系僧侶」の一照さんを囲む会に、僕がゲストで呼ばれた格好。最初に一照さんのリードによる小さな瞑想から始まる。オンラインだから、皆それぞれ自分のいる場所で、一照さんの声のガイドに従って、坐禅的な瞑想をする。この日は「坐る」になり切る、というような瞑想だった。 その後、何の台本もなく、対話が始まる。

「私たちが育つ」社会

先日、とあるビジネス誌の取材で「人を育てる」をテーマにおしゃべりしました。その時お話しした内容を、振り返ってみました。 _____ 「誰かを育てる」から「私たちが育っていく」へ 仏教的「人を育てる」とは最近、企業人事・人事開発といった分野でお声がけをいただく機会が多くなりました。コロナの影響も後押しをして、従来の講義や登壇といった場の他に、社員の方々との One-on-one の対話などかたちは様々。「Monk Manager(モンクマネジャー)」や「(産業医ならぬ)産

Post-religionトーク|宮下仁志(法名:宮下覚詮)さん

宮下仁志さん × 松本紹圭 『法螺の音と共鳴して溶け合う世界』 プロフィール 宮下仁志(法名:宮下覚詮) 幼い頃から自然や素朴な信仰に親しみ育つ。日本テレビ入社後、「元気が出るTV」「ぐるぐるナインティナイン」などを演出。縁あって修験道に出会い、金峯山寺にて得度、修験本宗教師・法螺師となる。笑いと響きを神さん仏さんに奉って30年以上、現在も日本テレビプロデューサーとして「ぐるナイ」「さんま岡村マツリ」を手掛けながら、LIVE配信コンテンツの演出プロデュースにもチャレンジ

ローマン・クルツナリック『グッド・アンセスター:わたしたちは「よき祖先」になれるか』を翻訳して

「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」 このゴーギャンの有名な作品と同じ問いを、幼少期より抱いて生きてきました。社会の仕組みから一定の距離をおき、寺を持たない僧侶の道を自ら選んで20年、自らに問い続けて今日に至ります。 2020年秋、イギリスの文化思想家ローマン・クルツナリック氏と対談をするにあたって彼の著書を読み終えた時、知り合って間もない彼に「あなたの本を私に翻訳させて欲しい」と頼んでいました。「私たちは、よき祖先になれるだろうか」という本書の