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松本紹圭の方丈庵

このnoteマガジンは、僧侶 松本紹圭が開くお寺のような場所。私たちはいかにしてよりよき祖先になれるか。ここ方丈庵をベースキャンプに、ひじり仲間と対話と巡礼の旅に出ませんか? … もっと読む
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2021年3月の記事一覧

山、巡礼、信仰。

「Bラーニング」という、お坊さんが集い学ぶオンラインの場がある。僧侶の神崎修生さんをリーダーに、主に九州のお坊さんたちが中心となって運営されていて、僕も時々参加させてもらうのだけど、毎回とても良い学びをさせてもらっている。お坊さん方にはぜひお勧めしたい。 中でも、先日のYAMAP代表取締役・春山慶彦さんの勉強会は、最高だった。YAMAPは、登山をする人なら初心者から上級者まで知らない人はいないNo.1登山アプリ。僕もときどき日帰り登山することがあるから、アプリのことは知って

「悲しみ」が感性の器を拡張する

「独立研究者」を標榜する数学者、森田真生さんと、2時間くらい、おしゃべりした。 そのまま録音配信すればよかったと思うくらい豊かな対話けれど、録音配信しないからこそできた対話だったようにも思う。イベントの時の森田さんは、トークが恐ろしく早い。せっかくのイベントだからと、参加者にできるだけ多くの情報を伝えようとしているようでいて、すごい集中力で自分の世界に入っているようでもある。今日のおしゃべりは、僕のペースに合わせてくれたのか、穏やかだった。 おしゃべりの断片をシェア。

「ダスグプタ・レビュー」と鎮守の森

某県知事との連続勉強会、ここ最近のゲストも素晴らしく。 Grafferという会社がすごい。創業者で代表取締役CEOの石井大地さんのお話を伺った。 東京大学医学部に進学後、文学部に転じ卒業。2011年に第48回文藝賞(河出書房新社主催)を受賞し、小説家としてプロデビュー。複数社の起業・経営、スタートアップ企業での事業立ち上げ等に関わったのち、株式会社リクルートホールディングス メディア&ソリューションSBUにて、事業戦略の策定及び国内外のテクノロジー企業への事業開発投資を手

不要不不要 不急不不急

「不要不急」をめぐって原稿を書いてほしいと、とある出版社からお声がけあり。いろんなお坊さんたちが、この「不要不急」という語をめぐってコラムを書いたものを、一冊の本にまとめて出版するという。 臨済禅では、修行僧が悟りの道を歩むための課題として与えられる「公案(こうあん)」を大切にする。修行僧はさまざまな種類の公案に向き合って智慧を開発していくわけだ。白隠禅師が考えられた公案に、「隻手の声(せきしゅのこえ)」という有名なものがある。「両掌相打って音声あり、隻手に何の音声かある(