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極上カニ鍋の合間にチョコパイ配る女の子

自分は大学時代の悲惨なスクールカースト底辺生活での暗い思い出とは裏腹に、卒業後のニート期間に大学生であるような生活を取り戻していたので、実を言うとその時期のことは結構憶えていたりする。後に、既卒での就活がドツボに嵌ってしまい、数年ほどは英語勉強に憑りつかれる闇の期間も被ってはいるが、この時期は意外にも友達の知り合いの同学年女子と話す機会もあって、社会からは不在のようなものだったが、自身としては”存在”を感じられる日々であったことは間違いない。

そんな日々の中でも特に印象的だったのが、当時仲間の1人Aが重機のメンテナンス等に携わる仕事をしていて、出張先で購入した日本海産のズワイガニを(仕事の都合で一人暮らしをしていた自分の実家で)食べようということになった日のことだ。開催前に、その仲間を除いた参加者3人…自分と、同じく地元仲間のB、そしてAの知り合いの女性だったCと共に、寄せ鍋の材料を買いに行き、鍋の準備を進めていた。

実を言うと、女性Cと自分は割とよく話す感じで、向こうも自分のようなガツガツしていないような男性の方が話しやすかったのか、他の男性陣と比較してフランクに話してくれていた印象があり、個人的にも好印象だったので他の誰よりも積極的に話しかけていた気がする。感覚的には、(校区は異なっていたが)小中学校では意識をすることのなかった女子と、大人になって話してみたら結構居心地の良さを感じるみたいなものに近かったのだろう。

Aが到着したと同時にカニも到着したので宴を始めて、待望のカニに皆で舌鼓を打ち楽しんでいたのだが…ちなみに、カニ自体は一杯数千円ほどの高級なものだったので、味も食感も何もかも文句のつけようもないほどに絶品であった、のだが…

少し鍋が半分か3分の2になってきたころ、2名ほどはお腹が膨れてきたのか、あまり鍋に手を付けなくなってきたので、少し休憩という形で時間をおいてカニ鍋を続けようと思った矢先、唯一女性参加者であったCが突然…

「ねぇ、みんなチョコパイ食べない?」

と言い、事前に「終了後のおやつ」として購入したソレを配りだし…自分もなんとなく普通に受け取ってしまったが、正直いったい何があったのだろうという感じで困惑してしまい…(笑)食後であるのなら、もちろんデザートやお菓子という感じで分かるのだが、鍋の合間にチョコパイ、しかも高級カニを目の前にして…一番呆気に取られていたのはカニを振舞ってくれたAだったが、確かに困惑するほかなかっただろうと思う…(笑)

何故だかチョコパイを食べた後の舌で引き続き、極上カニを楽しむような形にはなってしまったが、結局主にAと自分で平らげる形になり、〆は少し時間をおいて大学帰りの地元仲間Dによってほぼ完食されてしまったが(笑)あのチョコパイムーブは一体何だったのだろうと、未だに意図が分からず思い出すたびに困惑しているので、どうしても記事に書きたくて実現させてしまった…(笑)ただ、彼女のチョコパイムーブがなければ、これほどまでに印象的な思い出として刻まられることもなかったかもしれないので、その意味では感謝すべきなのかもしれない…かも?

余談だが、仲間Dが別のときか何かに、仲間たちの印象についてお酒の勢いで尋ねたことがあるらしく、「付き合ったり遊ぶ」間柄としては別の人物の名前を挙げたものの、「一緒にいて落ち着くという意味での結婚相手」として自分の名前を、自分が不在の際に挙げてくれたらしく、先から触れているように自分も好印象ではあったので、それを10年越しに仲間から聞いた際にとても嬉しかったのは覚えている。

勿論、現在はもう連絡も取れないので、互いに状況も心境も変わっているだろうが…お互いに独身であるのなら、というか自分はそもそも彼女すらできたことのないほどに底辺なんだけど(笑)色々と機会があればまたお話ししたいなと思っていたりする。そう思うと、あの時のチョコパイの味すら恋しくなってしまう。

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