バフェット氏が商社株を買った理由の考察。

 ウォーレンバフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが子会社を通じて日本の5大商社の株式を取得したと報道された。

個人的には以前発表された金鉱山の会社の取得よりもバフェット氏の投資らしくないな、と感じた。「投資会社が投資会社に投資してどうするのだろうか」と。

金鉱山の会社を取得した際は、バフェット氏が以前金投資を嫌っていたという事実をもって「考えを変えたのではないか」と報道されていたが、それは違うと思う。バフェット氏が手を出さないのは金そのものであって金を掘る会社はむしろバフェット氏が好きな「サルでも経営できる会社」であり金の採掘権という「強力な参入障壁を持つ業態」だと思う。

つまりバフェット氏は何も変わっていない。

しかし商社は違う。確かに所有している資産に比べて低く評価されているが、今まで低く評価されていたものがバフェット氏の威光で注目を浴びて高評価されだすというシナリオは楽観的過ぎる。もしそうなったら株主から資産の切り売りを求められて商社側が反発するだろう。

商社の手掛けているビジネスに間接的に投資をするという意味ならいくつかはバフェット氏好みのビジネスもあると思う。しかしそれらも各事業にバフェット氏が直接投資すればいい話であり、実際商社の中には手掛ける事業でバークシャー・ハザウェイの子会社と協業している例もあるという。
 それに、得意とする領域の異なる大手の5商社に投資をしたという事実からもこの可能性は否定される。5社への投資は特定事業への間接的な投資よりもリスクの分散といった可能性を肯定する。

ここで、報道されていたもう一つの事実を確認する。バークシャー・ハザウェイは子会社の保険会社を通じて円建てで起債をし、その資金で投資を行うことで為替リスクをヘッジしているそうだ。

そして現在日本の長期金利はマイナスに迫ろうという勢い。つまりほぼゼロコストで資金調達をすることが可能になっている。

ほぼただで借りた資金でかなり割安(これ以上下がりようがないくらい)で3~5%の高い配当利回りを誇る日本の大手総合商社の株式を保有したらどうなるか?

総合商社というカテゴリ全体を巻き込むような大きなスキャンダルで企業価値が蒸発しない限り確実にお金が入り続ける仕組みが出来上がった。

#COMEMO #NIKKEI

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