見出し画像

初夢

今年は就活を。脇目も振らず頑張ろう。
まずは、自己分析。当たり前を見直そう。決意を固めた年始め。
手始めに初夢の分析から。見たことは覚えている。見たことだけは。
ただ、とりあえず一の『富士』でも、ニの『鷹』でも三の『茄子』でもなかったな。どれか一つでも出てきていたら、確実に覚えていたことだろう。
おや、ストップ。そもそも、どうして「一富士二鷹三茄子」であるのか。思うに、『富士』について言えば、静岡県、山梨県の人の方が圧倒的に有利じゃないか。一年の最初も最初、初夢から、公然とこんな贔屓がまかり通って良いものだろうか。
危なかった。この悪事をみすみす見逃すなんてあってはならない。ただ残りの『鷹』と『茄子』、このニ名に関しては、とりあえず「良し」としよう。
おや、ストップ。『茄子』は果たして縁起が良いのだろうか。あまたある野菜の中でよりによってあの『茄子』が。そもそも『茄子』はただひとつでも一番になれる器にあるのだろうか。「なす」で「いち」なんてのは、これまでもこれからも那須与一くらいである。那須与一でさえ、中学国語のいち登場人物でしかないではないか。それともなにか、「彼がよっぴいてひょうど放った矢の様に、今年は勢い良く前進するでしょう。」とでも言いたいのか。おのれ一富士二鷹三茄子め。まさかこんな身近に敵が潜んでいるとは。ここは下手に対峙するべきではないだろう。ただ、幸い今は家の中にいる。いくら一富士二鷹三茄子といえど、ここまでは追ってこられるまい。もう安心だ、ぐっすり眠って良い夢でも見ようか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?