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カフェで見つけた素敵な「飛沫防止パーティション」3選



いつもご愛読いただき、ありがとうございます。

このnoteを読んでくださっているあなた。
あなたは、インテリアデザイナーさんでしょうか。
それとも、お店のオーナーさんでしょうか。

今日は、デザイナーさんと店舗オーナーさんに向けて書きます。
内容は、「飛沫防止パーティション」のデザインに気を使うと、お店の印象がグッと良くなりますよ、という話です。
10分で読めます。

もしあなたがデザイナーなら、以前に設計したお店のオーナーさんから、「飛沫拡散防止用のアクリル製パーテーションをつくってください」と依頼されたら、どんなふうにつくりますか。
その場面を想定してご覧ください。

3つの例を紹介します。
いずれもカフェで最近見かけたものです。



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■VERVE COFFEE ROASTERS 鎌倉雪ノ下店

1軒目。
「VERVE COFFEE ROASTERS(ヴァーヴコーヒーロースターズ) 鎌倉雪ノ下店」です。
エントランスから店内へお客さんを自然に導くような、ロングカウンターが印象的です。
そのカウンターに、木製フレームで組んだアクリル製パーティションが置かれています。
カウンターのデザインと合っているので、違和感がありません。
違和感がなさ過ぎて、カウンターのデザインの一部かと思うほどです。


この写真↓は、「商店建築」掲載用にVERVE COFFEE ROASTERSを撮影している風景です。撮影しているのは、建築写真家の佐藤振一さん。ここで撮ったカットは、9月号P.112〜113の写真です。本誌が手元にある方は、見比べていただくと、面白いと思います。

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なお、このカフェは、ファサードの大部分が開口部になっていて、非常に開放的な空間です。
目の前の道路は、鶴岡八幡宮へ続く参道です。
その参道に向けて、店内の空間が大きく開かれています。
コロナ以前に開業したカフェですが、ウィズコロナ時代の今、これほど開放感があると、なんだか安心して入店できますね。
というわけで、このお店は、9月号の特集「オープンエアな空間デザイン」に大きくお載せしました
バリスタのお兄さんのおおらかな雰囲気が、ますます店に開放感を付け加えています。
コーヒーもとても美味しいので、鎌倉散歩の休憩タイムにおすすめのカフェです。
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=368




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■OGAWA COFFEE LABORATORY


続いて、2軒目。
今年8月、東京・桜新町にオープンした「OGAWA COFFEE LABORATORY(オガワ コーヒー ラボラトリー )」です。
このアクリルパーティションは、店の竣工に合わせて、カウンターと同種の素材でオリジナルで制作されています。そのため、まったく違和感なく店の風景に溶け込んでいます。
このカウンターは、バリスタの所作が美しく見えるように、シンプルかつダイナミックにデザインされています。空間に余計なものが置かれていません。というわけで、アクリルパーティションが、空間の中で「余計なもの」になってしまわないように細心の注意が払われています。


なお、この「OGAWA COFFEE LABORATORY」は、いくつもの点で非常に興味深いお店です。
近いうちに誌面で詳しく紹介しますので、今日は簡単にお伝えするにとどめておきます。
まず、業態が興味深い。店内に珈琲豆の保管庫や焙煎機を備え、非常に上質なコーヒーを提供しているカフェでありながら、同時に、本格的な料理も提供し、レストラン業態としても利用できます。一般的に、コーヒー専門店で提供されるフードは軽食が多いですから、この店は非常に稀な業態に挑戦していると言えます。
そして、この店舗の理念も興味深い。コーヒーや料理を提供するだけでなく、例えば「もっと美味しくドリップコーヒーを淹れるために、コーヒー道を究めてみたい」と考えている、地域の人たちが、ラボとしても活用できるよう運営されていきます。
そのように、従来のコーヒー専門店を超えた業態を目指すこの店では、多様な活動が行われます。そのためには、シンプルで力強い器のような空間が求められます。そんなシンプルで力強い空間を、デザイナーの関祐介さんが、非常にうまくデザインで実現しています。


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■Paul Bassett 新宿店


続いて、3件目。
西新宿にある、「Paul Bassett(ポール・バセット)新宿店」です。
ここは、取材で訪れたのではなく、個人的にお気に入りのカフェです。
コーヒーが美味しく、空間の雰囲気も非常に良く、さらに弊社のオフィスから近いため、今までの人生で最も多く通った(そして、今も通い続けている)カフェです。
このカフェから、何人もの有名なバリスタが巣立ち、彼らが現在の日本のコーヒー業界を牽引していると言っても過言ではありません。

ここで見かけたアクリルパーティションは、アクリル板が曲面形状になっています。黒いフレームは、存在感がありますね。
この店を象徴するのは、なんといっても、エスプレッソマシン。このマシンを含め、店内には少しインダストリアルな雰囲気が漂っているので、このパーティションが違和感なく、店に馴染んでいます。
 
ちなみに、ポール・バセット新宿店で、夏メニューの私のおすすめは、マッサマンカレーとキュウリ味のドリンクです。美味しかったです。


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■まとめ


さて、最後に。
感じたことを、3点まとめておきます。

内装に合った素材だと、違和感がない。(これは、当たり前ですね)

フレームがあることで、むしろ、存在感を消せる。
 フレームのないアクリルパーティションも、よく見かけますね。しかし、むしろ、カウンター天板の素材や店内の雰囲気に合ったフレームであれば、フレームがあるほうが、アクリルパーティションが店内に馴染み、その存在を消すことができそうです。

「置き式」だけでなく、「吊り式」の良い事例も見たい。
 「置き式」のパーティションでは、こうしたデザイン性を考慮したものが少しずつ出始めています。しかし、まだ「吊り式」のパーティションでは、なかなかデザイン性を配慮したものを見た記憶がありません。ビニールシートを天井から吊っただけ、というものが多いように見えます。「吊り式」でも良い事例を見てみたいですね。


以上です。
では、最後に、カフェに関する関連情報を、コンパクトにお伝えして終わりましょう。

■関連情報

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「VERVE COFFEE ROASTERS 鎌倉雪ノ下店」が大きく掲載されている9月号は、こちら。
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=368
この号の中身は気になるけれど、「立ち読みしている時間がない!」という多忙なあなた。
大丈夫。ご安心ください。
既にnote記事に、9月号の見どころと読み方を、編集部のメンバーがコンパクトにまとめました。つまり、擬似的に「立ち読み」の代わりになるように書かれています。
以下3本の記事をどうぞ。はっきり言って、9月号の要点は、これで7割は理解できます。
https://note.com/shotenkenchiku/n/n2a43ec95744a
https://note.com/shotenkenchiku/n/n740b2f976a01
https://note.com/shotenkenchiku/n/nb1cb73783645

上記3本の記事を読んで更にご興味を持った方、そして、「お施主さんから『オープンエアなテラス席を設計してほしいと言われたが、どうデザインしたらよいか、アイデアが欲しい』」という方は、こちら↓をどうぞ。オープンエアな空間に関するアイデアの宝庫です。
 https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=368

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最新のカフェ特集号なら、「2020年6月号」
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=363

●実は、これから、次のカフェ特集号の制作を始めます。どうぞお楽しみに!


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●そして、数年分のカフェの事例を、網羅的にまとめて見たい! というあなたには、以下がぴったりです。
「Good Design Cafe」シリーズ。
vol.1
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=273
vol.2
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=297
vol.3
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=355


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●カフェ開業を目指すオーナーさん、そして、「オーナーさんと対等に運営や起業の話をしないと、良い設計ができないよ」と考えている設計者さんには、以下が最適です。

カフェ開業 パーフェクトマニュアル
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=303

飲食店の企画プロデュース 資料作成と設計チェックリスト
https://www.shotenkenchiku.com/products/detail.php?product_id=254

●そして何より、「立ち読みする時間がない」多忙なあなたには、定期購読がスマートで便利です。デジタル版も無料でついてきます。
https://www.shotenkenchiku.com/user_data/subscription.php



今日も、お忙しい中、最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
またお会いしましょう。
もし、少しでも役に立ったと感じてくださった方は、「スキ」と「お気に入り登録」お願いいたします。〈塩田〉


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