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コロナなのに、米国株が上がり続ける理由は?

世界のコロナ感染者数は依然として増え続けています。米国は、そのコロナ感染の真っ只中にいます。しかし、なぜか米国の株価はどんどん上昇しています。

そこで、なんで今、米国株が上昇し続けているのかを簡単に解説したいと思います。

米国は世界で最もコロナ(COVID-19)の影響を受けているが…

まずは、世界のコロナ感染の状況を見てみましょう。

新規感染者数の推移をみると、依然としての世界の新規感染者数が伸び続けているのがわかります。

<世界の新規コロナ感染者数の推移>

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出所:Google News

それでは、米国はどれくらいコロナの影響を受けているのでしょうか?

世界のコロナ感染者数は、約2300万人ですが、米国は断トツの1位で500万人超えです。

<国別の累積コロナ感染者数>

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出所:Google News

米国の株価は右肩上がり

米国でコロナが深刻化した3月は、米国の株価は急落し、NYダウはマイナス30%を超える下落となりました。

しかし、現在の米国の株価は、すでにコロナ前の水準まで回復しています。そして、今年最高値を目指して突き進んでいます。これだけ見ると、コロナが収束していないのに「なぜ?」と思ってしまいます。

<米国の株価(NYダウ)の推移>

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出所:Yahoo! Finance

コロナで世界の株の2極化が加速

コロナによって、人の物理的な移動が制限されたことにより、急速に”デジタルシフト”が起こり、多くの消費行動がオンラインへとシフトしました。

たとえば、ショッピングはよりオンライン化し、外食はデリバリー中心になり、人との面談はZoomなどにオンライン会議へと変わりました。

その結果、世界の”伸びる株”と”伸びない株”の2極化がものすごいスピードで起こったのです。そして、”伸びない株”から引き揚げられたマネーが”伸びる株へ”急速に移転されました。

今、世界の株価の上昇を支えているのは、いわゆる”グロース株”というものです。

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出所:楽天証券研究所

グロース株とはどんな株かというと、アマゾンやマイクロソフトのようなハイテク株に加え、抗ウイルス医薬株、ニューエネルギー、ヘルスケアサービスの株などのこれからの世の中で成長が期待できる株をイメージしてください。

一方、バリュー株として落ち込んでいるのが、観光・宿泊施設、輸送系(航空など)、商業施設や飲食業、化石燃料などの旧来型エネルギー系、金融機関など、です。

米国のグロース株が世界を牽引

世界で伸びているグロース株を地域別にみると、米国のグロース株の伸びが突出しています。これは、米国には、世界的なハイテク企業の代表であるアマゾン、マイクロソフト、アップルに加え、テスラなどのニューエネルギー系の企業があり、他国に比べてグロース株の割合が高いことが影響しています。

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出所:The Wall Street Journal

米国の巨額の経済支援策も後押し

米国株が伸びている要因は、世界的なハイテク企業株を要しているからだけではありません。米国政府によって、コロナ対策として投じられていた巨額マネーが大きく影響しています。

コロナの蔓延によって、ほとんどすべての株の株価が下落しましたが、政府から巨額のマネーが投じられ、市場にお金が溢れたことで、これから伸びが期待されるグロース株に一気に資金が流れたのです。

米国政府による支援額を他国と比較するといかに米国が突出しているかがわかります。以下のように、GDPに対する経済支援額の割合は、米国が12.3%となっており、10%に満たないヨーロッパ諸国と比べても、規模が極めて大きいことがわかります。

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これまで見て頂いた通り、米国の株価上昇には、「米国株に占めるグロース株の割合が高いこと」と「米国政府による巨額の経済支援」が背景にあることがわかったと思います。

結果として、S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズのデータによると、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどの上位10銘柄を合わせた時価総額は、約8兆ドルに達し、S&P500種全体の29%を占めることになりました。これは少なくとも40年ぶりの高水準らしく、2019年末の22.7%と比べても一気に伸びたことがわかります。

今後の米国株の投資について

米国株の伸びは、米国株全体が伸びているのではなく、”デジタルシフト”によって急激に利益を伸ばしたハイテク企業などに依存しています。そのため、今後の米国株投資を行う際には、米国全体の株の動きや景気をみるというよりは、米国のハイテク株がグローバルでどれだけ伸びていきそうかをよりしっかりと検討していく必要性が高まっています。

また、直近の株価の上昇は、上述した通り、米国政府の超積極的な経済支援が背後にあります。短期的な投資を考える場合には、米国の大統領選挙を含めた今後の米国政府の動きにも注意する必要があります。

まとめ

いかがでしょうか。現在の米国株が伸びている状況を超簡単にまとめてみました。今後の米国投資に少しでも参考にしていただければ幸いです。

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