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受験ですよ!②思春期の助走は長い〜キニナル彼女が気になる私〜

 11月スタート。
 まだ志望校が絞り切れない彼女(中3)。
 思春期において、コンフォートゾーンから出る為の助走は長い。そして高く跳ぼうとする。

 公立か私立の普通科でどこする?みたいな話でもんもんとした三者面談は、娘が、デザイン系専門学校良いなーとぶっ込んできて、混乱の中終了した。
 その帰り道、この前見学に行った習い事
行きたい?と私が聞くと、行きたいし連絡しておいてほしい、サラッと返された。

‥なんか違う。

 そしてこれが原因かも。

 何となく、これは自分がしたらあかんな、と思い、
「自分でお父さんに話して、自分で(教室の先生に)電話して。」
と彼女に頼んでみた。

 思っていた以上に、その助走は長かった。
 風呂上がりのドライヤーはいつもより長く、
トイレに暫くこもって出てこない。

 天の岩戸か。
 息ひそめてるし。

 何とかでてきても、彼女は電話を前にして、丸くなってごちょごちょしている。
 電話のプッシュボタンを押しては切り、押しては切り。
 あれー?あれー?とかからない感じを繰り返す。
 子機の液晶をよく見ると0000000000。
 そら、かからんわね。

 自分でかけられるようになったら、かけて。
 そう言えばいいのかもしれないけれど、それだと 彼女はもうかけないだろな。
 そう思って、私は執拗に、今かけて、と言い続けた。

 言い続ける私と、黙って電話をもてあそぶ彼女。膠着状態は20時をすぎて展開を見せた。急に立ち上がり、一人でかける、と彼女は自分の部屋に子機を持って入ったのだ、
 親機の通話中ランプは中々つかない。
 部屋の前を通った2つ下の妹は、耳に当ててたよ、と、報告してくれた。
 通話中なってないよー。

 妹が彼女の部屋の戸を閉めたあと、通話中になった。

 外線ボタン押してるだけかと、耳をそば立てると、話し声が。
 めっちゃしゃべってるやん。

 電話で話し終えたあと、彼女はテンションやや高めで、晴れやかな顔でリビングに来た。

 次の回から行くことや、持ち物などの報告の後、小さく一言つぶやいた。

電話かける時、これで世界が終わるわけじゃないし、
って思った。

 私はすこしポカンとしたあと、(彼女が)そう思うとかけることが出来たってことか、と気づいた。

 電話かける前は
 世界終わりそうって思ってた?

 思ってないけど。

 でも そんな顔してたよ。
 世界終わらさな、みたいな。

 そうかな。

 明日は行かないの?(明日からきてもいいと言われたのに。)

 心の準備が出来てないし。

 ああ、自分で 決めたんだな、って思った。
 いつだって、自分で動くのを決めるのは、自分の言葉だなって。
 寄り添ってくれる誰かでも、後押しする誰かの言葉でもない。

 やってみて自信てつくんだよ、と繰り返し私は伝えたけれど。
 親の言葉は決め手にはならない。

 弱い自分、怖がって迷ってる自分に、
 自分自身が声をかける。
 跳べることばを。

 逃げて今まで通りでいたがる自分を、なだめすかして前に進む。

 でも自分だってそうだった。
 小5のころ、習い事に、一緒に行かないかと
友人に誘われ、見学にいったときのこと。
 そこの先生に、やりたいなら親に今聞いてみたら?電話で、と言われて、電話の前で黙ってウロウロ。

 何思案してるの?と言われて漸く黒電話の受話器をあげた。
 何や思案しててなかなか電話しなかって。
 電話を変わると、先生は親にそう言ってた。

 電話をかけることが、当時の私には辛かった。なんでだか。

 そうするものだ、と親に言われるたび、胸の中が カタマリみたいになって、動きたくなくなったのだ。

 怖がる自分を押し殺す。
 当時の私は そうした。
 でも彼女は、自分の気持ちを殺さずに、
寄り添って、跳んだ。

 すげーな。
 出来てよかった、と思う反面、ちょっと寂しい。
 子離れしてくの。

 自分を押し殺す決断は、後でえらいことになって、もう一周モラトリアムまわらなあかんようになるので、やめといた方がいい。
 まあこれも、言ったところでどうなるわけじゃないので、本日の自分のサトリということで
おしまい。

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