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大国のはざまで拡大するグローバルサウス①

 米中対立やウクライナ戦争などで世界の分断が深まる中、存在感を増している国々がある。グローバルサウスとよばれるグループで、欧米やロシア・中国とも一定の距離を保ちつつ、独自の外交を展開している。

 中でもインドはグローバルサウスの盟主としてふるまい、先進国に対して開発途上国の代表として意見を述べるなど、開発途上国の代弁者としての役割を担っている。インドやブラジルなどの地域大国だけではなく、アフリカに多い後発開発途上国もグローバルサウスに含まれるそう考えると、多種多様な国家群であることがわかる。

 モディ首相は、G20議長を引き継いだ直後の今年1月、「グローバル・サウスの声(Voice of Global South)」サミットをオンラインで開催し、125カ国が参加した。そこで次のように語った。

 戦争、紛争、テロ、地政学的な緊張、食糧、肥料、燃料の価格高騰。気候変動による自然災害と、新型コロナウイルスのパンデミックによる長引く経済的影響。世界が危機的状況にあることは明らかだ。この不安定な状態がどれだけ続くのかは予測困難である。
 私たちグローバルサウスは、将来に対して最大の利益を享受する立場にある。世界人口の4分の3がグローバルサウスの国々に暮らしている。それにふさわしい発言力も有するべきだ。したがって、80年間に及ぶ世界秩序の古いモデルが緩やかに変化している現在、われわれは新たな秩序を作り出す努力をしなければならに繰り出す努力をしなければならない。
 地球規模の課題のほとんどは、グローバルサウスによって引き起こされたものではない。しかし、それらは私たちに大きな影響を与えている。これは、新型コロナウイルスのパンデミック、気候変動、テロリズム、さらにはロシアのウクライナ侵攻の影響でも見られる。だが、解決策の模索においても、私たちの役割や声は考慮されていない。
 グローバルサウスの人々は、これ以上、開発の成果から排除されてはならない。私たちは力を合わせて世界の政治的および金融的ガバナンスの再構築を試みる必要がある。これにより、不平等を解消し、機会を拡大し、成長を支援し、進歩と繁栄を広めることができる。
 バランスのとれた国際的課題を枠組み化することで、グローバルサウスの優先事項、貧困、国民皆保険、人的能力構築といった困難な課題を克服できるだろう。

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