合同会社Uluru(ウルル) 山田勝己

合同会社Uluruの代表:山田勝己と申します。愛知県名古屋市が本拠地ですが、これまで東…

合同会社Uluru(ウルル) 山田勝己

合同会社Uluruの代表:山田勝己と申します。愛知県名古屋市が本拠地ですが、これまで東は埼玉、西は大阪まで呼んでいただき、児童虐待など子どもの人権問題、地雷被害の問題、海洋プラスチックなどSDGs関連をテーマに、人権教育・国際理解教育のファシリテーターをさせていただいております。

最近の記事

愛知一中予科練総決起事件~「嵐のあとに」~

 私の母校である南山大学の神言神学院チャペルにて「“愛知一中予科練総決起事件”  嵐のあとに ~ある少年と家族の記録~」と題した朗読会が開催され、母と一緒に参加させていただいた。私はキリスト教の信者ではないが、南山学園には中高大の10年間お世話になったので、チャペルに入ると南山学園の「人間の尊厳のために」という言葉を思い出し、厳粛な気持ちになる。  朗読台本を制作したのは、馬場豊先生、私立南山国際高校・中学校で国語科の教員を務め、演劇部の顧問をされていた方だ。南山国際高校は

    • 366日

       女優の広瀬アリスと眞栄田郷敦主演のフジテレビ系月9ドラマ「366日」の最終回が6月17日に放送された。このドラマはHYの名曲「366日」の世界観に着想を得たオリジナルストーリーで、高校時代に実らなかった恋をかなえようと再び動きだした男女が、予期せぬ悲劇に直面しながらも、愛する人を想い続ける壮大な愛の物語だ。これ以上の説明はネタバレにつながってしまうので、このドラマを見逃してしまった方は、ぜひビデオ・オンデマンド・サービス等で視聴してほしいと思う。  ドラマの世界観をぐっと

      • 京都の水の源 貴船(氣生根)神社

         一生に一度は行ってみたいと思っていた貴船神社を妻と一緒に訪れた。貴船は、京都を流れる鴨川の源流であり、「きふね」は古くから気の生ずる根源として「氣生根」と記され、御神気に触れることで気が満ちるとされてきた。この貴船が貴船神社の御鎮座地である。春は風雅な山桜が彩りを添え、初夏は新緑がしたたる瑞々しい御神氣に溢れ、秋はもみじの錦が光り輝き、冬は無垢な雪化粧が水墨画のごとき光景を魅せる。その豊かな自然のなかで、立ち並ぶ朱色の春日灯籠や優雅な御社殿が見事に調和するように美しく、まさ

        •  紫陽花の美しい京都の藤森神社

           妻と京都へ日帰りバス旅行に行き、2つの神社を取材してきた。   京都でも特に歴史ある古刹である藤森神社だが、私はすっかり「ふじもり」神社だと思い込んでいた。現地を訪れて初めて「ふじのもり」神社が正式な名称であることを知った。菖蒲(しょうぶ)の節句の発祥の地としても知られ、“菖蒲”と“勝負”をかけてか、“勝ち”にゆかりの深い神社として知られるようになった。  最初から「藤森神社」という一つの神社であったわけではなく、歴史を遡ると、神社のある深草の地の周辺にあった三つの神社

        愛知一中予科練総決起事件~「嵐のあとに」~

          アフリカのきれいな街プラットフォームとは? ~日本のごみ処理技術をアフリカへ~

           人が暮らせばごみが出る。急激に人口が増えるアフリカ、特に人口集中が進む都市部では、ごみの量に対して収集・処理能力の整備が追いついていない。  2017年からJICA海外協力隊としてスーダンの首都ハルツームに赴任して、廃棄物収集の改善に取り組んだ隊員は、その現状を目の当たりにした。当時、収集車が各地域の国収コンテナを巡る仕組みはあった。しかし、収集車や人員の不足で収集作業は不定期。コンテナからごみがあふれ、それを家畜 やのら犬があさっていた。ごみの中にあるビニール袋を食べる

          アフリカのきれいな街プラットフォームとは? ~日本のごみ処理技術をアフリカへ~

          島崎藤村原作の映画『破戒』を観て想う

           2年前の夏、島崎藤村の小説『破壊』が映画化された。先日、この映画を観る機会に恵まれた。  映画のストーリーを以下に載せる。なお、このストーリーは映画『破戒』公式HPのストーリーから引用したものである。役名の次の( )内は演じた俳優の名前である。  これまで、所属している人権問題について学ぶサークルの仲間たちと、京都、奈良、堺にて被差別部落についてのフィールドワークをしてきた。名古屋に住んでいると被差別部落の問題を実感することはほとんどないのだが、この問題を抱えた府県に行く

          島崎藤村原作の映画『破戒』を観て想う

          プノンペンの奇跡をカンボジアの奇跡へ

           ベトナム戦争の影響とその後の長い内親で、カンボジアの首都、プノンペンの上水道施設は壊滅的な状態だった。当時のプノンペンの市街地では20%ほどしか水道が普及しておらず、給水できるのは一日10時間程度。それを改善するために、日本をはじめ世界銀行やアジア開発銀行、国連関発計画などが参加し、水道施設の復旧復興にあたった。同時にプノンペン水道公社の総裁のもと、水道事業の運営・経営能力の強化にも力を入れ、漏水率を減らし、水道料金の徴収率を上げ、公社の経営を安定させた。1999年には24

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          プノンペンの奇跡をカンボジアの奇跡へ

          日野原重明さんの「命」の授業

           2017年7月、日野原重明さんが105歳で亡くなられた。生涯現役の医師として活躍し、命の尊さについても積極的に発言してきた日野原さん。  2006年ごろだっただろうか、日野原さんは2週間に1回のペースで小学校に出向いて、10歳の子どもを相手に45分間の授業をされていた。テーマは「命」だ。  最初に子どもたちに校歌を歌ってもらい、前奏が始まると子どもたちの間に入って、日野原さんがタクトを振る。そうすると子どもたちは外から来た年配の先生が自分たちの校歌を指揮してくれたことで

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          日野原重明さんの「命」の授業

          ラムサール条約で保護されるべき藤前干潟がゴミだらけに…

           名古屋の海にラムサール条約の「国際的に重要な湿地」に登録された「藤前干潟」がある。藤前干潟はシギ・チドリ類やカモ類などの渡り鳥たちの重要な中継地であり、訪れる人々の心をなごませる自然豊かな干潟だ。また、渡り鳥にとって重要な場所であるだけでなく、名古屋市民が循環型の社会をめざすきっかけとなったのが藤前干潟だ。藤前干潟は2022年11月にラムサール条約登録20周年を迎えた。今回は藤前干潟とはどんなところなのか、藤前干潟がラムサール条約に登録されるまでの経緯や干潟の保全がなぜ必要

          ラムサール条約で保護されるべき藤前干潟がゴミだらけに…

          障がい者へのマイクロアグレッション

           1948(昭和23)年に国連で採択された「世界人権宣言」は、以下の条文で始まる。  世界人権宣言は法としての効力がないため、国連が1966年に国際人権規約として採択した。そして2006年、障害者権利条約が国連で採択された。この条約を策定するに際し、世界中の障がい者団体が「Nothing about us without us! (わたしたちのことを私たちに抜きに決めないで!)」というスローガンに基づき、草の根の運動を続けた結果、条約の採択に至った。  しかしながら、障が

          障がい者へのマイクロアグレッション

          マイクロアグレッションって何だろう?

           マイクロアグレッション(Microaggression)という言葉自体は、1970年代にアメリカの精神医学者であるチェスター・ピアス氏が提唱したものだ。ピアース氏が当時注目したのは、白人と黒人のコミュニケーションのなかに潜む、無自覚な「けなし行動 put downs」である。  また、2000年代にコロンビア大学教授のデラルド・ウィング・スー氏がこの言葉を再定義した。同氏は人が無意識の差別攻撃を受けたときの精神的悪影響に関する研究のなかで、マイクロアグレッションを「特定の

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          インクルーシブではない災害避難所

           東日本大震災が起こって9か月以上経った2011年12月24日の毎日新聞に「障害者の死亡率2倍」という記事が載った。東日本大震災の被災死亡者は15,900名に上り、その約2%が障害者手帳を所持する人だということがわかっている。  2024年3月1日現在、震災関連死は3,802名に上るが、その9割が65歳以上の人や障害を抱える要配慮者に集中している。関連死に至らないまでも、被災3県では高齢者と障害者の震災後の介護度が格段に増加しているという。

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          洲崎神社と廣井城

           職場の近くにある洲崎神社の前を通りかかった。どんな謂れをもつ神社なのかわからないままお参りした。  史料によると、太古この地は入江で洲崎になり、地神(石神)が祀られていた。貞観年間、石神の導きにより、出雲から素戔嗚尊がこの地に遷座、奉斎された。洲崎(洲嵜)という呼び名が示すように、古代このあたりは入り海に突き出す格好の岬だったと考えられている。洲はもともと中州を意味する言葉で、洲崎というからにはその先端ということだろう。  ここに石神を祀ったのはどういう勢力だったのか。石

          中南米と日本の歴史:伊達政宗が派遣した支倉常長

           そんな中南米と日本との関係は、メキシコがスペインの植民地だった時代にさかのぼる。16世紀に始まった、フィリピンとメキシコを結ぶガレオン船貿易において、日本はアジアのハブの一つとして陶磁器などを輸出していた。  江戸初期には、伊達政宗が治める仙台藩がメキシコに外交使節団を派遣している。1613年10月仙台藩主伊達政宗の命を受け、支倉常長を大使とする支倉使節団は、乗組員約180名と共に、日本船サン・フアン・バウティスタ号で仙台領月ノ浦港から、メキシコ(当時ヌエバ・エスパーニャ

          中南米と日本の歴史:伊達政宗が派遣した支倉常長

          カリブを旅してみたいものだが…

           2024年は、日・カリコム(カリブ共同体)事務レベル協議開始後30年が経過した年であるとともに、日本とジャマイカ及びトリニダード・トバゴ共和国との国交樹立60周年にも当たる。これを記念し、2024年を「日・カリブ交流年」とすることを決定した。日本と中南米は距離的には遠いものの、歴史的なつながりは深い。全世界約390万人の日系人のうち約6割が中南米で暮らし、現地に根づいた「ニッケイ社会」は双方の交流や経済的な結びつきに大きく貢献している。  青い空とエメラルドグリーンの海、

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          「身代わり忠臣蔵」:身代わりの弟は早逝していた!

           『身代わり忠臣蔵』というムロツヨシ主演の映画が話題になった。吉良上野介義央の代わりに、弟の孝証法師が身代わりになって赤穂浪士に首を討たれたいう話になっている。  愛知県西尾市吉良町にある華蔵寺は、吉良家の菩提寺だ。その華蔵寺で「吉良公の末弟孝証法師」と題した歴史講演会があったので妻と一緒に参加した。講師は西尾市史調査員の小林輝久彦氏。私も妻もこの映画を観ていないし、孝証法師の存在も全く知らなかったのだが、面白そうな話が聴けるかなと思って参加した次第だ。  吉良氏は、武家

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          「身代わり忠臣蔵」:身代わりの弟は早逝していた!