デザインワークにおける「アナロジー」のススメ
私の好きな発想法「アナロジー」についての話をしたいと思います。そもそも、なぜ好きかというと、単純に発想法の中でもダントツにプレイフルなやり方だと感じているからです。自分一人でおこなう時もそうですが、複数人でのアイデア出しなどでは、人によって違う見立てや、「なるほど!そこを引っ張ってきたんだ!」という自分では思いも寄らない発見がもたらされて、個々の発想だけでなく、対話が生まれやすい手法です。
そんな「アナロジー」を、どんなふうに使っているか、少し紹介していきます。
アイデア発想に役立てるアナロジー
アイデアの発想法にはいくつか種類がありますが、普段よく使っている方法を大きく分類すると、以下のようなやり方に分類(あるいは組み合わせ)されると考えています。
アナロジーの発想は「類推」にあたります。
Bというプロダクトやサービス(ターゲット)に別のA(ソース)の要素を代入して「A(ソース)のようなB(ターゲット)ってなんだろう?」という問いかけで発想していくものです。
アイデア発想が「未知」と「既知」、「既知」と「既知の再解釈」による新結合だとすると、ターゲットとは全く関係ないものをソースとして持ってくると、思わぬアイデアにつながることがあります。
例えば「天気予報」のような「ドライヤー」で考えてみると(←実際に付箋にいくつかキーワードを書いて裏返し、ランダムに引いてみた組み合わせです)
💡天気予報のようなドライヤー その1
これは、天気予報の「明日のことを予測して備える」ことをドライヤーに代入したアイデアです。
💡天気予報のようなドライヤー その2
これは、天気予報でよく見る台風の進路予想図を髪の上に見立てて、そこを横断するドライヤーを台風に見立てたアイデアです。
発想のコツはソースの要素分解にあります。「天気予報って、何をしてるんだろう?」「天気予報ってどうやって伝えてるっけ?」「僕らは天気予報から何を受け取ってるだろう?」という、ソースへの様々な問いかけが、ターゲットのアイデアを飛躍させます。
ユーザーとのコミュニケーションに役立てるアナロジー
アナロジーは発想の起爆剤としても使えますが、「類似性(似た者同士)」という共有参照を用いることで、使い方や体験などプロダクト自身がユーザーへ語りかけるコミュニケーションを促します。
例えば、腕時計メーカーのswatchが「ネクタイのような腕時計」というアナロジーを用いて、「ネクタイのように毎日、その日の服装に合わせてコーディネートを楽しみながら付け替える」というユーザー体験を浸透させました。(1人に1本の腕時計ではなく、1人が何本も持つようになれば、売れる本数も増えますよね)
実際に、私もまんまと十数本のswatchを持っています。
「ネクタイ」という「毎日付け替える」「その日の服装に合わせて選ぶ」という習慣が既に根付いていたものをソースとすることで、ターゲットの「腕時計」というプロダクトの新たな体験をくどくどユーザーへ説明せずとも伝えることができます。新しい習慣や体験をユーザーが想起しやすくさせるには、既にある似たような体験を持ったソースを引っ張ってくると、すんなりとコミュニケーションが進むという事例です。
他にも、無印良品の「換気扇のようなCDプレーヤー」もわかりやすい事例です。
このように、アナロジーをプロダクトやサービスの中に溶け込ませることで、ユーザーとの関係性をより構築しやすくなります。
さいごに
オススメのアナロジーのトレーニング方法を紹介します。日々の風景の中で「これ、○○っぽい!」って感じたものを写真に撮っておくワークです。
自分がなぜそう感じたのか?や、本当にそういうものがあったらどんなプロダクトになるのかな?など、少し想像を膨らませてみると楽しいです。ぜひぜひ、これは簡単なのでやってみてください。
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