見出し画像

試合をするための地図=ゲームモデル

前回のブログで、プレー原則という言葉がでてきた。

これらは、戦術的ピリオダイゼーションの中でも重要な「ゲームモデル」から来ている。

ゲームモデルとは、
"試合の中でそれぞれの選手たちの頭の中にある戦術的な地図"である。

地図を共有して、チーム全員が実行する。

選手たちが迷わないように、解決できるように。

(この理論について、僕が深く紹介できるものではないので。。
あくまでも自身の整理のために書いている。)

理想のサッカーと、ゲームモデルの差はそのまま理想と現実の差である。
ヴィトール・フラーデ
監督のやりたいサッカー(理想)
↓↓↓
・所属している選手
・クラブの歴史
・国の文化
・予算
・目標
・環境
↓↓↓
などを考慮して、現実となる。

サッカーはコントロールすることが難しい、予測できないスポーツである。

チームメイト11名、対戦相手11名。それぞれが[意思決定]を行うことができる。

そんな中、それぞれが「自由に」にプレーすることなどできるのだろうか。

狙いをもったプレーを再現することができるだろうか。

戦術的ピリオダイゼーションでは、サッカーを意思決定のスポーツとして捉えて考えている。

試合の中で、何をするにしても「判断」が伴う、判断を切り離すことはできないのだから、「戦術(判断)」を中心に置いてチームを作っていく。

サッカーの局面を大きく4局面(攻撃、攻撃→守備、守備、守備→攻撃)に分け、それぞれの局面でのチームで統一された意思決定基準を決めておく。

「ゲームモデル」一部を公開

プレー原則とは、ゲームモデルをより理解しやすいように噛み砕いたものである。

主原則、準原則、準々原則のように、階層に分かれていく。

上位の階層である「主原則」は抽象的な表現であり、
「準々原則」では、より細かく具体的な表現になる。

以下、実際に使用している「ボール非保持」でのゲームモデルの一部である。
(※実際には4局面で設定していて、「ボール非保持」でも複数のプレー原則がある。あくまでも下記は一部。)

【主原則】
ボール非保持(Out of possession)
●前線からのハイプレッシングによるボール奪取。
【プレー原則(準原則)】
○縦、横をコンパクトにしてスペースを制限する。
○奪い取るイメージの共有
【準々原則】
・3-4レーンで狭く守り、ボールサイドで数的優位を作る。
・原則に基づいたラインコントロール
・CBへの同数でのPressing
・判断が変えられない時にいく。


「型にはめる」ものでは、ない。

自戒の念を込めて言えば、大事なことは“パターン”ではなく、“原則”である。

ある場面での選手の行動を全て決めて実行させるものではない。

その状況から原則に沿って、選手が最適なものを判断する。

判断するための基準を作ることで、“選手を動きやすく”するものである

「自由にして良いよ!何でもして良いよ!」

だと多すぎる選択肢によって、“結局何もできなくなる。”

以下、わかりやすい説明があるので、抜粋する。

↓↓

「パターン」
というのは、ボールを持ったアンカーが前線から下がってきたCFにクサビの縦パスを通し、CFはそれをダイレクトではたいてサポートに上がってきたインサイドMFに落とし、インサイドMFはサイドから内に寄ってきたウイングにパスすると見せかけて、、。
という一連のプレーを一つのパターンとして記憶し、いつでも再現できるようにするものだ。
“プレー原則とパターンの違いは?
日本と共通するイタリアの悩み”より抜粋
 「プレー原則」
というのは「サイドで数的優位を作って裏のスペースにフリーで抜け出しクロスを折り返す」という状況を、その時どきの状況に最も適した手段を使って実現できるようにするものだ。上に挙げたパターンはその一つの手段であり得るが、それ以上ではないし、この手段を使わなければならないというわけではまったくない。
“プレー原則とパターンの違いは?
日本と共通するイタリアの悩み”より抜粋

参考文献

「慣れ」ている。

サッカーでは限りなく早い判断が求められる。

考えろ!なんて良く言われるけれど、相手が強くなればなるほど、

とてつもなく早いスピードでプレーしなければいけないので、そんな時間はない。

なので、こうなったらこうなるという原則をチームで決めておくことで

選択肢を制限してあげる。(考えるものを減らして、実行に集中できるように。)

選手たちの考える時間を少なくすることができる。

つまり、そういったいくつかの原則は認知→選択→実行の「認知」を助けるものである。

そして、普段の練習では、統一された原則に沿って、試合で起こりうる状況を経験しておく。(慣れている状況にする)

選手は経験していないものや場面に対して、当然反応が遅くなるからである。

最後に、、。

“ゲームモデルのようなもの”を意識しはじめたのは、2年前くらいから。

現在シンガポール代表監督の吉田達磨さんとの出逢いがキッカケである。

あまりにもすっきり整理されているサッカーの考え方に驚いて

判断基準を作ることで、選手たち自身で決断できるし、

そして、本当の意味で自分たちで考えることができるだろうと

それから、自分で色々と考えながらインプットをひたすら繰り返していった。

そして、吉田達磨さんとのご縁から、林舞輝さんを紹介していただき、奈良クラブを訪問して数日間話ができる機会を頂いた。

それだけでなく、上記の二人には、実際に作成したゲームモデルを見てもらい、たくさんのアドバイスをもらった。

それからは、大きくインプットを加速することができ、

そして、日々、選手たちと向き合いながらアウトプットを繰り返していった。

ゲームモデルを作成したからといって、何かができたわけではない。

当たり前だが、「作ってからが大事である」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?