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路上で出逢った、家無し名無しの星読みお姉さんの話。

路上アーティスト活動をしていた時の話。

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いろんな出会いがあったけれど、
今日は、謎の星読みお姉さんの
ことについて書いてみる。


当時、新宿の西口で、
毎日お店を出していた。

ある日、じーっとこっちを見ている、
お姉さんがいることに気が付いた。

何だろう、しろくてふんわりした、
不思議な、おそらくアジア系の服を着ている。

話しかけてみたら、
「すごいことやってますね」
みたいなことを言われた。

彼女によると、
俺の周りには、浄化のエネルギーが包まれていて、
場の癒しに繋がっているとのことだった。


「生年月日を教えてもらえますか?」
と言われたので、伝えたら、
太陽星座、月星座の特徴を教えてもらった。
彼女は、星読みを勉強しているらしい。

終電になったので、
その日は、さよならした。


その時期、新宿でお店を開くたびに、
そのお姉さんと遭遇した。

自然と会話するようになったが、
彼女は名前を教えてくれなかった。

そして、びっくりすることに、
彼女は家を捨てる実験中だそうで、
家がないらしい。

「でも、大丈夫。
 日本の駅前って、
 世界でもとっても
 安全な場所ですからね。」

なんてことを言っていた。

が、何日か後に話を聞いてみたら、
つきまとってくる人がいたそうで、
迷惑をしているようで、
一緒に、彼女が安心して寝られる場所を
探しに歩き回ったこともあった。


ある日、
「私にもできるかな?
 路上のお店。」
と聞かれたので、
できますよ、と答えた。

「看板に、星読み1000円とか書いて、
 座っていたら、絶対来るよ。
 お姉さんの星読みすごいし。」

と、伝えたら、
何日か迷った後で、お姉さんは、
新宿路上で星読みを始めた。

「はじめてお客さんきたよ。
 翔太さんのおかげ。
 ありがとう。」

と喜んで、成果報告をくれた。


しばらくの間、
新宿で路上するときには、
隣で営業活動を、したりしていた。

俺が新宿にいない時も、
ひとりでお店を出したりしていたようだった。


この話に、落ちという落ちはなくて、
何かドラマチックなことが
あったわけでもない。

いつしか、お姉さんと、
路上で遭遇することは、
なくなった。

俺も、新宿から川崎へ、
メインの活動場所を変えていった。


お姉さんの、ホームレスという、
実験は、その後どうなったんだろう?

路上は、さすがに、
もうやっていないんだろうか?

どこで、何をしているのかな。


今日、久しぶりに思い出したら、
気になってきた。

これは、死ぬまでわからない、
俺の人生の謎のひとつなんだろうな。


いろんな人がいろんなことを感じて、
生きている。

路上ではそれを、
たくさん感じさせてもらった。

また、そんなエピソードも、
書いてみたい。

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