チーム

強いチームを作るためにやったこと

今日も暖冬の影響で温かく、マックの空調が効きすぎているため汗だくになりがらパソコンに向かっております。暖冬の影響は、スキー場などは直で受けているようで「雪がない」のは異例のようです。

2019年は7月に雨が続き、プールなどのレジャー業界も大打撃を受けていました。このような例年と違う気候のことを世間では「異常気象」と表現し、「地球に異変が起きている!」のような解釈をしますが、私は少し違和感を感じてしまいます。

地球は1日で1回自転しており、1年に1回太陽の周りを公転しています。常に引力は働いていて、動き続けているのが事実です。「動き続けている」ということは、位置関係も少しづつズレるのは当然で、「気候が変動しない」ということはあり得ません。

おそらく、世間では「物事は一生変わらない」という前提で話をしているために、少しの変化を「異常」と捉えてしまうのだと思います。しかし、この前提は間違っており、1億年前の地球とは気候も環境も生息する生物も違うのが当然です。

物事が「変化しない」ことを前提とする癖は、いろいろな面で変化の波に乗れないと思うので、物事は「変化するもの」という前提を持てると良いのではないかと思います!

『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。』

弱小チームから強豪を脅かすチームへ

バスケに限らずですが、何かを成し遂げるには「チーム」という形をとり、人と人がある目的に対して「協力」することで動くと思います。

私は大学時代に、中学校のバスケ部のコーチとして指導する機会を頂きました。顧問の先生はバスケ素人で部活への熱量も高くなく、練習は平日1回、土日どちらか1回の週に2回のみ。練習の内容はウォームアップして男女交互にゲームをして終わり。待ち時間には体育館の端で座りながらしゃべっている姿が当たりまえでした。こんなチームが、2年後に区内の強豪と接戦をするまでに私が行ったことを書いていきます。

今回は、具体的な練習メニューや戦術ではなく、「チーム」を作る上で大切なことをなるべく端的にお伝えします!

まずは生徒や顧問の先生との「信頼」を構築する。

ほとんどの生徒がバスケットを初めて経験する状況でスタートするので、伝えることは多岐に渡ります。理解力もバスケに対する熱量も物事の受け取り方も一人一人違う。そんなカオスから「良い一体感」へ導くには、指導者である自分が生徒から「信頼」されることが必要でした。意識していたわけではありませんが、自然とそういった接し方になっていたという方がいいかもしれません。

人間は基本的に「嫌いな人」「むかつく人」のいうことは聞けません。仮に、言っていることが1000%正しくても、「嫌い、苦手、知らない人」の言うことは聞き入れられないと思います。これは人間が持つ、かなり強いシステムで、逆に「好きな人、認めてくれた人、親しい人」の言うことは、少し間違っていても肯定してしまう傾向があると思います。特に敬意を持つ人間の言葉は、前提すら疑わずに何でも信じてしまうこともあるかもしれません。

同じ内容のことを、同じ言葉を伝えても、「好き嫌い」で、聞き方と吸収率に差が出るのはなぜか?

それは、その人との間にある「信頼」の度合いの違いが原因です。

自分が相手のことを何パーセント信頼しているか?この信頼のパーセンテージが高いと、言葉や思いは「伝わりやすく」なります。これは指導にかかわらず人間関係においての原則で、「指導者」である私は、まず生徒からの信頼を得ない限り、どんなに崇高な理屈をこねて、どんなに高いレベルの見本を見せても、すべては無駄になると考え、生徒たちと向き合いました。

また、中学校の部活なので、練習できるかできないかは、「顧問の先生」にかかっています。顧問の先生との信頼関係も、「チーム」を作るうえでは大切な要素でした。当時は大学生だったので、どちらかと言えば顧問の先生との関係づくりの方が気を使ってしまい大変でした。運が良いことに、同世代の新人の先生が入ってきて副顧問になったことで、当時のコミュ力の低さがカバーできました。笑(勝つことしか考えてないギラついた内面だったので、笑)

信頼構築の仕方

信頼構築するために具体的に行ったことは、「上下、階層」で見ずに、いつも一人の「人間」として接する。とにかくこれを実行しました。

一般的には、自分が年齢も上で相手が中学生、となれば、心のどこかで子ども扱いし、「指導者が上で生徒が下」という前提で接してしまいます。そのような場合、「指導者が言うことが正解で、生徒は意見してはいけない。」という空気が充満し、独裁的な雰囲気のなかで練習をすることになります。職場などでもこのような状況はあるかもしれませんが、上司がいる前でだけパフォーマンスをし、裏では不満や愚痴、息抜きがないとやってられないような組織は成果が出にくいです。

実際に自分が中学生の時には、典型的な「鬼コーチ」で、ミスが続くと帰ってしまい、謝罪をしなければ練習をさせてもらえないことが頻繁にありました。体育館に入れてもらえず、校庭でひたすら声出しやラントレ、キャプテンであった私は、嫌々ながら「練習させてください」と言いに行っていた記憶があります。本心では教えてもらいたくないと思っていました。

上手くいくチームに共通するのは、「風通しのよさと、良い意味での遠慮のなさ」で、それすなわち、互いの信頼の度合いで決まるものだと思います。そこには、指導者、生徒という「役割」があるだけで、上下関係は存在しない。「つけあがる。」「礼儀が身につかない」という反論があるかもしれませんが、基本的には生徒の考え方を肯定しますが、「単なるわがまま」や「他人に迷惑をかけている」場合などは、しっかり改善する旨を伝えました。「対等に接する」ことと、「甘やかす」ことは、似て非なるものであり、甘やかせば、礼儀知らずになりますが、対等に接した場合は、しっかり礼儀、感謝は身に付きます。

ちなみに、顧問の先生は、典型的に生徒を下に見る方でした。口癖は、「○○しないと練習させないぞ。」「話を聞かないなら罰として○○だ。」というタイプの先生でした。案の定、生徒は逆にその先生の言うことを聞いていません。しかし、先生はそのことには気づいておらず、同じ接し方を繰り返し、生徒との信頼関係は希薄になっていたように思います。

生徒を下に見ないということは、自分と同等に見るということ。それができれば、自然と相手に変化を求めるのではなく、自分から導いていく行動ができてきます。上の例でいえば、「○○しろ!」ではなく、生徒が勝手に「○○」するように工夫する。「話を聞け!」ではなく、話を聞いてくれるように面白い話を自分がする。

このような方向に思考と行動が向かえば、組織の風通しは良くなり、良い意味でリラックスしたコミュニケーションが取れます。また、自分の思想や意見を「押し付ける」ことはせず、生徒に「考えさせる」時間を与えることで自然と互いに信頼が生まれます。

信頼構築のタイミング

信頼を得るためのシーン(場面)は練習中だけでなく、練習前や練習後のコミュニケーションの比重が大きいです。バスケと関係ない授業の話や、恋人の話など、その人が今気にかかっていることについて共有すると、一気に信頼が深まり、練習中のアドバイスも自然に聞いてくれるようになっていくのを実感しました。

職場でも「飲み会」が大事と言われていますが、まさに、仕事の話以外でコミュニケーションを取り、互いの情報を開示することで、「信頼度」は深まるのだと思います。

練習前も練習後もずっとピリピリしているコーチもいらっしゃいますが、私だったら、「話しかけにくい」と感じてしまいます。コーチが見ていると過度に緊張し、「良いプレーをしなければ!」「さぼったら叱られる!」という気持ちでいっぱいになりそうです。

これでは、指導者としては本末転倒、選手のパフォーマンスを上げるための「役割り」を果たすことにならないので、私は、練習前、練習後には、「調子どう?」「今日の授業なに?」「楽しかった?」など、軽い話題でコミュニケーションを取りました。

練習中は特に態度を変えませんが、しっかりと、狙いや目的を共有し、そこには一切の妥協がないので、選手たちは勝手に引き込まれ、良い緊張感を作り出せました。ミスをしたら怒鳴ったり、叱るのではなく、「どうすればよかったか?」を話し、「次やってみな!」ということを徹底しました。もちろん良いプレーをしたら、「グータッチ」をし、思いっきり選手を褒めました。

また、自らが練習に入った際には、選手を見ながらも、練習の目的に対しては妥協なくプレー、ダッシュやジャンプも手を抜かずに行いました。これも後々、生徒から聞きましたが、コーチは座って指示する人という認識が崩れた。コーチが全力でやっていると、やる気が出た。そうです。全コーチが一緒に動けとは言いませんが、もし一緒に練習に入る場合は、全力で走りましょう!笑

褒めるのか叱るのか?問題の本質

信頼が構築できると、「褒めても叱っても」、良いフィードバックとなり、行動が変わりました。よく、「現代の若い人は、厳しくするとついてこれないから褒めて伸ばすべきだ。」という論調がありますが、私はこれと少し違う感覚です。

正確には、褒めるも叱るも、「互いの信頼度」により、影響が決まります。

信頼がない人が褒めた場合、表面上は「ありがとうございます」と言いつつ、心の中では「気分よくさせるために建て前で褒めたな」という感情が沸きます。信頼なく叱った場合も同様に、その場での行動はしつつも、「嫌な気持ち」で嫌々行動をします。

逆に互いの信頼関係があると、褒めた場合は「褒められた」ことに対する嬉しさが溢れ、もっともっとやる気が高まり、行動に現れます。叱った場合も、嫌々聞くのでなく、「自分がもっと良くなるためのアドバイス」と捉え、どんなに厳しく、耳の痛いことを言っても受け止めて行動を改善します。プライベートでのあとくされもありません。

したがって、「ただ褒めればいい」という論調は明らかに間違いで、「信頼関係」があって初めて「褒める」ことに効果が出るのだと思います。

「勝ち」を目指すことの意味を伝え、目標と理念の共有

信頼を構築しながら、まずは何のために「練習」しているのか?を生徒に聞きました。多くの生徒が「上手くなるため」「成長するため」という返答をしたので、「勝ち」を目指さないと「上手く」ならいことを全員につたえました。仮に、「楽しむ」ためという返答があれば、「楽しい」ということを具体的に深堀りさせ、そこに「勝敗」が関係なければ、「勝つ」ための練習はしないつもりでした。※「勝ち」を目指さないと「上手くならない」意味の詳細は私の過去の記事にあります。

次に、チームの「目標」と「理念(チームで一つだけ皆で守る約束)」を生徒に話し合いで決めさせました。目標は「区で優勝」、理念は「最後まで全力で」に決まりました。目標も私は何でもよく、生徒たちが決めたことに対し、相応の行動を選択するつもりでした。

ここで大切なのは、指導者(私)が決めたことは「一つもない」ということです。同じことをするとしても、「やらされていることと、自ら進んでやっていること。」には物理的にも、精神的にも大きな差があります。先生やコーチが目標を決め、生徒がそれに向かう図式には違和感しかなく、その先に何があるかは目に見えていたので、私は、議論の方向性のサポートのみに徹し、生徒に決めさせました。

ちなみに、「キャプテン」と「部長」についても、先生が勝手に指名し、指名された生徒が無条件に請け負うスタイルでしたが、私は違和感を感じたので、生徒に話し合いで決めさせました。このスタイルだと、「選ばれた生徒」も「選んだ生徒」も互いに納得しているので、「役割り」が明確になります。※従来の選抜方法を変更したことに対し、先生だけ「納得していない」感じだったのは触れないでおきます。笑

他者に決められたことをやる際には、「やってられない」人と、「淡々とこなせる」人、のどちらかしかほとんどおらず、「心から賛同してできる」人は少ないです。「やってられない」、「淡々とこなせる」人は文脈からも最大のパフォーマンスが出ないことが分かると思います。「心から賛同する」人は、一見よくみえるのですが、悪く言えば奴隷的なので、言われたこと以上のパフォーマンスは出ません。

したがって、他者が決めたことをやり続けるというのは、パフォーマンスを出す際の前提としておかしなことになります。人間は自分で決めたことに向かう時だけパフォーマンスが最大化します。

チーム目標と個人目標

チームでの目標を決めた後は、チームのスタイルが決まりますので、そのスタイルに対し「自分は何でどのように貢献するか?」を個別で考えさせました。ここは個人差があり、なかなかかけない子もいましたが、「自分がやることを自分で決める」ことを徹底しました。

小学校・中学校は基本的に「言われたことを言われた通りにやる」訓練をする場所です。しかし、バスケットという競技は、状況が1秒ごとに違う中で最善の判断をするスポーツです。「言われたことを言われてた通りにやる」能力が高くても、バスケットでは活躍できません。

バスケットで必要なのは「状況に応じて自分で解決策を見つけて実行する」能力です。実社会でも本質かもしれませんが、「言われたことを言われた通りにやる」能力は一つの能力としては良いですが、この能力に偏ってしまうとだれかに言われないと思考と行動ができなくなるという弱点もあります。

中学生のうちから、「言われたことをやる能力」と「自分で考えて行動する能力」両方を肯定して、伝えました。練習中は、他人のプレーを評価し、「狙いに対し良かったか、悪かったか、どうしたら良かったか」をコーチである私ではなく、選手たち自身に言わせました。もちろん関係が悪くならないように、言う側も言われる側も、「チームの目的に対し」という前提を考えたうえでのアドバイスや賞賛をすることを強調しました。

結果ではなく「今やるべきこと」にフォーカス

個人の目標を決めた後は、それに対して「今やるべきこと」まで考えさせました。例えば「ミドルシュートを武器にする」場合は、「ミドルシュートを武器にする」ために何を練習するのか?「シューティングを毎日○○本」「シュートの際に○○を意識」「家で体幹トレーニング」など、「今やるべきこと」を自ら考えさせ、「やったかやらなかったか」にフォーカスすることを全員で意識しました。

目標だけ決めても、3日後には忘れてしまったり、いつもと同じ意識で練習なんとなく練習をしてしまいます。しかし「今やるべきこと」を練習前に意識するだけで、練習への取り組み方や、練習から吸収することが変わってきます。

また、目標に対して進んでいるのか進んでいないのかを意識するよりも、日々の「やるべきこと」を「やったかやってないか」で良し悪しを判断していきました。

結果や伸び具合を賞賛することは悪いことではありませんが、結果はいろいろな要因に左右され、伸び具合は「やるべきこと」の質と量に依存します。一番見るべきは、やるべきことを「やったかやってないか」、やっているのに成果が出ない場合は、やるべきことの質を見直せば、目標に対し、確実に進むことができます。

以上のベースが決まればチームは自然に変化する。

1.信頼を構築(差別しない。人間として対等に接する。)
2.目標と理念(皆で守る約束)を決めさせる。
3. チームの目標に対して、自分が何でどのように貢献するか?
4.目標に対して「今やるべきこと」にフォーカス

ここまでできれば、練習の内容はおのずと決まります。(本音を言えば、中学生(初心者)に教える練習はほとんどが基礎的なものなので、目標によるメニューの差はありません。)逆に、1と2をほとんどのチームや組織はやっていない場合が多く成果が出ていません。

そういったチームや組織は、練習メニューをいくら変えても、目標がぼやけているため、「成長」のしようがありません。独裁的な雰囲気、建て前でしか話せない感覚、意見が出ない、自分たちで考えられない。組織は、何をしているかでなく、どんな雰囲気かで決まると思います。

「指導者」は導く人であり、上に立つ人間ではありません。選手が「上手くなったかならないか」にフォーカスし、「言うことをきかせる」のではなく、「聞いてもらえるように工夫する」ことが大切だと感じました。

今回は「チーム」づくりの考え方をお伝えしましたが、グダグダなチームが強豪校を脅かすまでになるには、相応のやることをやりましたので、具体的な戦略、戦術、考え方は、次の記事でお伝えします!

最後までお読みいただきありがとうございました^^


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