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本にまつわるツレヅレ#6 数年かけて染みてきた映画

こんばんは。
No,No,Yes! 所作生産部の椿より、「本にまつわるツレヅレ」の時間です。
先週、姫路居住歴7年目を迎えました。地元・山口弁と東京5年間・標準語と、中途半端な関西弁と、イントネーションのバランスが宙ぶらりん。



常盤新平『おとなの流儀』マガジンハウス、1998年。

こちらはついひと月前に、本が購入できる近所の喫茶店にて入手した。最近は持ち帰りもできて、飲み物が淹れられるあいだ本を物色するのも楽しい。

題名から想像するような「大人ならばこうあれ!」という内容のエッセイよりも、「筆者自身が好きなもの」の頻出が目立つ。
特に競馬と山口瞳、『ニュー・シネマ・パラダイス』。

映画といえば。
(『ニュー・シネマ・パラダイス』については、「観た」というひと言しか言えず申し訳ない)
姫路に来て初めて観た映画は、東京を後にした日に観た映画と同一だったなぁ(正確に言うと字幕スーパー版・吹替え版との違いはある)、と昨年続編が公開されて思い出した。

いままで観た映画で一番好きな映画は?
となると、答えに詰まる。
ここ数年を通して 思い出含めて印象に残っている映画、とすれば、
トム・ティクヴァ監督『パフューム ある人殺しの物語』(原題: Perfume: The Story of a Murderer )2006年
だ。
初見はゼミにて。ドイツ文学科の身体表象文化ゼミに属していた。
個人的所感でない(ことを信じたい)が、ドイツ文学科でありながらも研究発表対象にドイツが絡んでなくてもよい、ところが面白かった。(現に卒業論文で、『氷菓の流動的美味しさ』を書いて卒業させてもらえている)
そのときは、「香り・におい」がテーマの学期であった記憶。題材に『パフューム』を選んだひとがいた。発表の中で映像が部分的に流れるのを見て、頭の中の引き出しに「近いうちに観よう」メモを入れた。
「香り・におい」がテーマ時のフィールドワークは目白庭園の赤鳥庵で「組香」の初体験。
いくつかのお香を聞いて、その香りが何なのかをあてるお遊び。紙に縦線横線を書いた覚えもあるから、あれは源氏香だったろうか。場所柄に、良き香りに、無縁の風流さに、酔った夕暮れ時。匂いが記憶を呼び起こすというのは有名な話であるが、その匂いを脳内で再現できないというのはなんとも むずがゆい。

「近いうちに〜」が一昨年になった。(どんだけ経ってんねん)
空飛ぶ巨大な金属内での暇つぶしに観た。残念ながら字幕スーパーも吹替えもなく、予測で観る。(これまた残念なことにドイツ語はおろか英語もだめときた)
ただただ美しかった。「近いうちに」また改めて観たい。わかる言語を介して…。


『おとなの流儀』を読んで、
好きなものを好きと堂々と言えるのがおとななのかもしれない、と考えたり。
もともと雑誌『ダカーポ』1994年10月19日〜1998年8月2日号連載の「僕の恥さらしな日記」をまとめたものとのこと。(あとがきにて知る)
「僕の恥さらしな日記」題のほうがしっくりくるエッセイ集だが、「大人の流儀」的内容では傘のくだりなんか好きだ。手元に魅せられ、愛着のある傘はGuy de Jean!




それではまた次の日曜日に。
「落下傘奴(らっかがさめ)のノスタルジアと」。

椿


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