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邦訳アメコミの「顔」を創る!ブックデザイナーインタビュー
書籍に欠かせないのは、見た目の第一印象を決める装丁デザイン。もちろん弊社から出版している邦訳アメコミのデザインにも、デザイナーさんのこだわりが詰まっています。
そこで今回は、「バットマン:ラストナイト・オン・アース」や「スパイダーマン/デッドプール」シリーズ、「バットマン:ダーク・デザイン」など、多くの邦訳アメコミのカバーデザインを手掛けているデザイナーの矢野 啓太さんにお話を伺ってみました。
▲矢野さんが担当したデザインの一部がこちら。左から「バットマン:ラストナイト・オン・アース」、「続 スパイダーマン/デッドプール:スパデプ、パパになる」、「 バットマン:ダーク・デザイン」。
すでに原書があるアメコミをデザインするうえで心がけていることや、デザインのこだわり、また4月新刊「サノス・ウィンズ」のデザイン秘話などを沢山お話していただきました。ぜひご覧ください!
Q1:これまでさまざまな作品を手掛けられていますが、デザインをするうえで心がけていることはありますか?
私はコミック関連の作品を担当させていただくことが多いので、イラストを使用したデザインが主です。そのため、基本的には作家さんの描いたイラストが主役になるようなデザインを心がけています。
デザインに取り掛かる前に「どうすればこのイラストをもっと魅力的に見せることができるのか」をまず第一に考えることが多いですね。
Q2:アメコミはすでに原書が本国で発売されていますが、そのイメージをもった読者の方も多いかと思います。デザインをするにあたって、日本の漫画とここが違う! という点はありますか?
これに関しては毎回どうしようかちょっと迷います。
原書のイメージを持った読者の方が多いので、デザインを変えるべきかどうかは編集さんとの打ち合わせで決めています。
英語ロゴを日本語ロゴに変える場合も、原書のイメージに寄せたデザインにすることが多いです。ただそれだとうまくはまらないことも多々あるので、その場合は前述したように、イラストをどうすればもっとかっこよく魅力的に見せられるかを考えて、原書の雰囲気にはあえて寄せずにオリジナルのデザインで作成したりもします。
Q3:これまで手掛けたアメコミのデザインで、特に気に入っているものはありますか? また、制作のエピソードや注目していただきたい点などがありましたら教えてください。
今まで有難いことに本当にたくさんの作品に携わらせていただいてますが、
最近担当したもので気に入っているのは4月刊の「サノス・ウィンズ」です。
この作品は編集さんとの事前打ち合わせで、
・表紙は原書と同じイラストを使用
・ロゴは日本語ロゴにするが原書のイメージに寄せたものにする
という方向で決まってました。
しかし、いざロゴデザインを進めていくと、どうもしっくりこず……。
というのも、「THANOS」は英語だと6文字ですが、これを日本語にすると「サノス」と3文字になってしまうため、原書よりもスペースが空く分、かなりイメージが変わってしまうのです。
▲「サノス・ウィンズ」原書書影
また、原書だと角ばっていて厚みのあるロゴですが、日本語のロゴでこの方向に寄せると画面に綺麗に収まりすぎて、あまり主張がなく目立たない表紙になる気がしました。
そこで、原書に寄せて最初に作っていた角ばったイメージのロゴを一旦破棄して、イラストの雰囲気と、サノスの荒々しいイメージに合わせたオリジナルのロゴを作成してみることにしました。
出来上がったものを見ると、やはりオリジナルで作成した案の方が断然良く、この案を提出することにしました。
もし編集さんに「もっと原書に寄せて欲しい」と言われたら、最初に作っていたものを詰めようと思っていましたが、オリジナルの案が気に入っていただけたので良かったです(笑)。
▲上が初期のロゴ案。下が修正後のオリジナルロゴ案。初期は原書と同じように角ばったデザインですが、修正後は文字に加工が施され、荒々しいイメージに。少しの加工で大きく印象が変わります。
最終的には、もっとサノスの顔を大きく見せたいということになり、裏表紙で使用していたイラストを表紙に使用することになりました。
他にも、5月新刊の「バットマン:スリー・ジョーカーズ」もめちゃくちゃかっこ良く仕上がっているので、そちらも是非チェックして欲しいです!
Q4:アイデアのもとにしているものなどはありますか?
ほとんどのデザイナーさんがそうだと思いますが、街中や日常の中で見かける広告などは自然と目で追ってることが多いです。
あとは映画の広告や海外のデザインなどもよく参考にしています。
Q5:好きなアメコミのキャラクターを教えて下さい!
デアデビル、ハーレイ・クイン、ヴェノム、アクアマン、デッドプール、タートルズとかが好きです!
ありがとうございました!
ひとくちに「邦訳アメコミのデザイン」といっても、タイトルひとつひとつ「どうしたら読者の方に喜んでもらえるか?」「どうしたら書店で注目してもらえるか?」ということを考え、デザインを進めていただいています。
そんなこだわりの詰まった邦訳アメコミのデザイン。ぜひ、すみずみまで注目してみてください!
■プロフィール
矢野 啓太(やの けいた)
東京都在住のデザイナー。toyvoxという屋号で活動。
主にコミック関連のデザインを多く手がけている。
【HP】
【twitter】
@KToyvox