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【最終回】試し読み連載!アメリカが恐れる中国発のAI技術とは?この1冊で、徹底解剖。


クリス・ストークル・ウォーカー著のビジネス書『最強AI TikTokが世界を呑み込』。本文から厳選したハイライトを全10回でご紹介してきましたが、今回が最終回です!

今回は第7章『ティックトックの未来』~37. SNSをめぐる大国間の覇権争い~より。

テクノロジーの将来の方向性を考える上で、我々が理解するべきこととは….!?


1. 『ティックトックをつくり出すハイテク文化』

私たちはティックトックに注意を払う必要がある。
しかし、ただティックトックにだけではない。本書が、そのアプリを超えてバイトダンスにまで調査を広げた理由とは、そして今後数十年におけるテクノロジーの将来の方向性に関するデリケートな討論をするために、それが重要だからである。イーミンが初めてビジネスパーソンの伝記を読み始めて以来、彼はグーグルと肩を並べる多国籍企業をつくり上げようとしてきた。中国の権威や国際的な政治家が彼に課した束縛にもかかわらず、彼はそうすることを定めたのだ。
ティックトックは足がかりとなり、そこからバイトダンスは多様化して拡大していく権力の座を得ている。

テクノロジーの未来、そしてカリフォルニアからの世界的権力の移行を理解するために、私たちはバイトダンスを、その野心を、その支配から生まれる落とし穴と可能性を理解する必要がある。私たちはティックトックをつくり出すハイテク文化を、そして世界中どこであっても采配を振るっている政治家がいて、その要求を遵守しなければならないことを認識している経営責任者の不安を理解する必要がある。

2. 『単なるSNSアプリとその未来以上のもの』

私たちはまたシリコンバレーの巨人たちを生み出したハイテク文化についても知る必要がある。そして、ティックトックのようなアプリの台頭が、コンテンツを監視する権威主義的な国家に生じたわけだが、なぜそのようなことが起こったのだろうか? フェイスブック、ユーチューブ、ツイッターの成功は自由を擁護する自由放任主義者から生まれている。それは最小限の監視
によって、いわゆる「ハイテクユニコーン」の成長を許した市場経済における自由放任主義の態度である。今日の政治的対立、共謀理論の受け入れ、フェイクニュースなど私たちが直面している問題の多くは気にしないでいい。ティックトックを生み出したのは正反対の環境である

私たちは、これは単なるSNSアプリとその未来以上のものであることを知っておく必要がある。私たちの情報はどこに行くのか、そしてどのように使われるのかについて、どんなことが考えられるのだろうか。

私たちは何年も費やして、中国と中国におけるハイテクの台頭を外国人として外側から見つめ、調べてきた。私たちの使う端末を中国産ハードウェアで充電するには何十年もかかった。しかし最初は、中国に根ざしたテクノロジーを庶民が毎日のように使える可能性を見ていた。会話は移り変わっていく。中国の会社は単に西欧から最新のテクノロジーをコピーしているのではないか、そしてもはやきちんと使えないような劣ったバージョンを製造しているのではないか、というジョークまで飛び交っていた。今や中国の会社といえば、バイトダンスやクワイショウやテンセントといった、革新を導く会社であり、フェイスブックやユーチューブ、インスタグラムがそれらをコピーしている。

3. 『中国産というレッテルを剥がすという痛み』

もちろんティックトックは、そのアプリから中国産というレッテルを剥がすという痛みはあったし、通過した国のセンサーをうんざりさせたくないという慎重な態度もあった。2020年9月、それは狡猾なイギリス議会証言で脚光を浴びた挑戦である。ティックトックのヨーロッパ公衆ポリシーの責任者であるテオ・バートラムは次のように言った。「ティックトックは中国の外でのビジネスである。イギリスにおけるティックトックは皆さんと同じような心配と世界観を有するヨーロッパマネジメントチームによって運営されている

ところがバートラムは、西欧の経営責任者たちが中国寄りという先入観を会社から取り除こうとしていることを認めた。「皆さんにご心配いただいていることを知っておりますし、それは中国の問題がわれわれに重くのしかかっているからだということも承知しております。私たちはほかの誰よりも高いレベルの透明性をお約束します。それというのも、私たちのプラットフォームが中国から何の影響も受けていないことを証明したいうえに、ここはLGBT社会、ボディ・ポジティビティ(プラスサイズの体をありのままに愛そうというムーブメント)の人々は大歓迎、彼らは守られ、祝福され、称賛されるでしょう」