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トム・クルーズのおもひで『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

中学生のころ、三浦春馬をもっと童顔にしたみたいなイケメン岡本くんが、同じクラスの湯田さんに告白をして、めでたく付き合うことになったんですね。

ルッキズム云々でうるさい世の中なので良い悪いは書きませんが、湯田さんはあれに似ていました。バカボンに似てた。しかも笑っていない時のバカボン。笑っている湯田さんもなぜか笑っていないバカボンに似ているという、なかなかトリッキーな顔立ちをなさっていました。

湯田さんの名誉のために言うと鼻毛は出ていない


湯田さんは頭の回転が速く、さりげなく気も使えるお喋りさんで、イケメンだけどコミュ症な岡本君が唯一普通に会話できる女子だったんですよね。それで「俺には湯田しかいない!」ってなっちゃった。しかないことはないだろうよ、とは思いましたけど。

で、初デートに映画へ行くことになったんですけど、その前夜に湯田さんが「やっぱり岡本君のことは彼氏として見られないわ!」と言い出したんです。湯田さんが。バカボン似でお馴染みのあの湯田さんの方が、三浦春馬似の岡本君のことを彼氏としては見られないと。ほほー!

失意のどん底に落ちた岡本君に「でも前売りチケット買っちゃったから付き合って」と誘われて、上野の映画館(聚楽よー)へ一緒に観にいった映画がトム・クルーズ主演の『カクテル』でした。

私が生まれて初めて保護者なしで観に行った映画です。

いま思えば中学生のデートでこの映画って、岡本君ってばなかなか攻めてましたね。あわよくば映画帰りにチューでもしてやろうと意気込んでいたんですかね? ファーストキッスを湯田さんと。バカボン似の。ほほー!

あのころの私は自分がゲイであるという自覚はまだありませんでしたけど、暗い映画館で、隣に岡本君がいて、スクリーンにはぴっちぴちのトム・クルーズがいて、上映中、なんだかずっとドキドキしていたのを覚えています。

私が今でも映画館という場所に不思議なときめきとほのかな色っぽさを感じるのは、あの日の『カクテル』のせいかもしれません。

あれからトム・クルーズはずっとスターでありつづけて、まぁ、途中「あの人、宗教さえやってなければいい人なのにねえ」みたいな時期もありましたが、Wikipediaを見ると、私は、ほとんど観ていますね、トム・クルーズの映画。格別ファンなわけでもないのに。

トム・クルーズ作品や、それからこの間書いた宮崎駿作品などというのは、私にとってそういう映画です。とりあえず、観る。

そんなわけで『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング  PART ONE』です。


今回の敵は自我を持った新型AI。それを制御できるかもしれない鍵を世界中の悪いやつら(数名だけど)と取り合うという、新しいんだか古いんだかわからないけどシンプルなストーリーです。

まあ、そんなことより、還暦のトム・クルーズがカーチェイスしたり、屋根の上を走ったり、乗ってる汽車の鉄橋が爆破されたり、崖からバイクで飛び降りたり、そういうシーンをいっぱい観ましょう! 観せましょう! というのが、この映画の主たる目的ですかね。

全部すごいシーンですけど、なんとなく全部既視感のあるような… まあ、でも、楽しめます。

これはPART ONEなので「鍵、まだ見つかんないよー」ってところで終わるんですけど、おそらくPART TWOで無事見つかることでしょう。
そしてPART TWOでもトム・クルーズは飛んだり跳ねたり元気いっぱいがんばるのでしょう。
私はそんなトム・クルーズの姿を観ながら「岡本君は元気かなー?」と思い出すのでしょう。

みなさんも、とりあえず観てください。
トム・クルーズですから。

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