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実は強い"誠実"という交渉スタイル

正直者が馬鹿をみない交渉の世界

実はシンプルな交渉のコツでは、交渉は自分と相手の"want"を把握することが第一歩だということをお話し、
本質のつかまえ方では、自分と相手の"want"の本質の把握の仕方をお話ししました。
ここまで読んでくださった方の中には、「でもどうやって相手の”want”を把握すればいいのだろう?」と疑問に思った人も少なくないはずです。

今回は、相手の"want"を的確に把握する方法と、これに絡めて交渉スタイルについて投稿したいと思います。

交渉のスタイルには様々あり、一概にどういうスタイルが良いというものはありません。ガツガツ有利な提案をするスタイル、何を考えているか気づかせないスタイル、混乱させて有利をとるスタイル、やられたらやり返すスタイル、期限をタイトに切って相手に検討の余裕を与えないスタイルなどなど。

いろんなスタイルがありますが、私は"誠実"というスタイルをオススメします。私自身の交渉スタイルも"誠実"です。

相手の"want"を的確に把握する方法

相手の"want"をどのように把握するか。相手の情報を集めて分析したり、相手からの提案を分析したり、これらの分析を踏まえて推測したり。いろんな方法が考えられますね。

でも、一番確実で、一番早くて、一番コストのかからない方法は、直接相手に聞いてしまうことなんです。”御社(あなた)がこのディールで得たいメリットってなんですか?”って。簡単ですね。

でも、相手もそんなに簡単に教えてはくれません。

”誠実”スタイルの効能

ここでいう、”誠実”スタイルとは、相手にとってのメリットも踏まえつつ、提案理由を合理的に説明できるような内容の提案をしていくスタイルだと考えてください。早い話が、相手を出し抜くような提案はしないスタイルです。

こういうスタイルをとると相手はどう思うか。自分のメリットをも考えてくれるのであれば、自分が得たい内容を積極的に伝えたほうが得ですよね。"want"を伝えるインセンティブが働くわけです。

他方、あわよくば相手を出し抜くようなスタイルをとった場合はどうでしょう。"want"を伝えるよう求められても何か裏があるんじゃないかって身構えてしまいます。

交渉はポーカーのようなwin-loseの関係を作るものではなく、お互いの"want"が重なる範囲で妥結点を探す共同作業なのです。合理的な交渉は常にwin-winとなるのです。

であれば、かかる共同作業の相手となるに相応しいスタイル、すなわち、”誠実”スタイルが交渉に適しているのです。

交渉は一度きり、とは限らない

実は、相手を出し抜くスタイルが有効な場面もあるんです。それは、一度きりの交渉です。一度切りの交渉であれば、相手を出し抜いたほうが有利ですよね。でも、一度切りの交渉なんてなかなかありません。

しかも、その相手とは一度切りでも、その業界、コミュニティ、地域での交渉が一度切りということはほとんどありません。そこで”あそこはエグい交渉するから気を付けたほうがいいよ”なんて評判が立ってしまえばひとたまりもありませんね。

むしろ、”あそこはホントに合理的な交渉をする良い相手だ”って評判が立てば、今後も交渉をやりやすいですよね。

交渉のキホンが共有された整った土俵で、相手の"want"をすぐに的確に把握でき、すぐにそれぞれにハッピーにまとまる。そんな状況ができたらめちゃくちゃ楽しいですし、事業や生活もどんどん良くなります。

”誠実”スタイルの効能は計り知れないのです。

結語

いかがでしたでしょうか、”誠実”という交渉スタイル。自分の"want"と相手の"want”を的確に把握し、突き合わせて、相手と一緒に最良の方法を探る作業ってホントに楽しいですよ。

感想等がありましたら是非是非コメントください。

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法律書よりビジネス書が好きな弁護士。弁護士業務や弁護士になるまでに培った経験をなるべく言語化して共有したいと考えております。皆様からサポート・リアクションをいただき本当に感謝しております。励みになります。