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就活の面接で、ラーメン食べ歩きについて語った話

今年も、3月1日から多くの企業が就職活動を本格化させます。
とはいえ、新型コロナウィルスの影響で、中止になる就活イベントも少なくないようです。

感染拡大を防ぐためには止むを得ないですが、就活生にとっては不安が募るでしょう。
今年は、説明会はオンラインで聞いて、いきなりエントリーシート・面接というケースも増えるかもしれません。
十分に情報を集められないまま、面接に望まざるを得ない場合もあるかもしれません。

そこで今回は、私自身の就職活動のささやかな体験を書きたいと思います。

私自身は、面接官をしたことはありますが、就職活動の専門家ではありません。ただ、いくつかの大学で非常勤講師をしているので、学生からよく相談を受けます。

話を聞いていると、私が就職活動をした15年前と比べて色々変化があるようです。

例えば、この記事にもある通り、終身雇用を前提とした、学生のポテンシャルを重視する「メンバーシップ型」の採用から、部門別採用なども増えたこともあり、スキルや成果を重視する「ジョブ型」の採用になりつつあるようです。

だからでしょうか、時々、「他の学生よりも高いスキルや成果が、自分の中に見つかりません・・・」という悩みを打ち明けられることもあります。

自分が大学生の頃を振り返っても、プログラミングができるわけでも、ビジネスコンテストで優勝した経験も、何もありませんでした。(そもそも、そういうコンテストがあまりありませんでした。)

なので、今の学生は大変だな、と思います。

しかし、全ての企業が、スキルや成果の大小だけを見ているとも思えません。

むしろ、そのスキルを使って誰の役に立ったのか? とか、成果に到るまでにどんな工夫や苦労があったのか?など、プロセスを見ているのではないでしょうか。

だから私は、「そんなに『凄い』ことじゃなくてもいいんじゃない?」と思っています。

私が面接を受けたのはもう15年前なので、今はあまり参考にならない、という前提の元で、学生に紹介する自分のエピソードがあります。

徹夜で用意したエントリーシートを持ち、挑んだ一次面接。

語る気満々だった「自己PR」や「志望動機」にはほとんど触れられずに、「趣味」の欄に書いてあった「ラーメン食べ歩き」の話だけでほぼ終わったのでした。

ちょっと再現してみたいと思います。

青春18きっぷで巡る、日本全国麺の旅

面接官:よろしくお願いします。ところで、この「ラーメン食べ歩き」って、なに?

学生の私:(おっ、そこから来るのか。意外・・・)
えっとですね、ラーメンが大好きで、あの、新横浜にラーメン博物館ってあるじゃないですか。

面:あるねぇ。

私:6店舗ぐらい入っているんですが、全店舗制覇しました。
で、それには飽き足らなくて、友達と一緒に「青春18きっぷ」を使って、ラーメン博物館に入っている店の本店に行ったんです。北は札幌、南は鹿児島まで「麺の旅」です。

面:へぇ。

私:(おっ、ちょっと興味持ってくれた)
それで、私、気が付いたことがあるんです。
ラーメン博物館のお店と、その本店。
同じお店なのに、味が少し違ったんです。
どう違うと思いますか?
(逆質問しちゃえ・・・)

面:え、何だろう。何が違うの?

私:どこも、本店の方が、ラーメン博物館より「あっさり」しているんですよね。
旅をしながら、その理由を自分なりに考えたんです。

私の推測なんですが、ラーメン屋の本店は、いわば1号店。まさか将来、新横浜に支店を出すなんて思っていないですよね。
むしろ、町の商店街の中にあって、毎日来ても飽きない味を目指していたのではないでしょうか。

一方で、ラーメン博物館は、隣も向かいも全部がライバル。パンチの効いた味を出さないと、印象に残らない。
だから、同じお店でも味が違うんじゃないかなと思いました。

面:なるほどねえ。ちなみに、君はどこのラーメンがオススメなの?

私:逆に、何系が好きですか?
(ここでも逆質問・・・)

面:そうだな、醤油ラーメンが好きかな。

私:だったら、目黒にある○○の本店はオススメですよ。柚子が入っていて、飲み会の後とかに最高です。
(僕はお酒飲まないけど・・・)

面:ほお、じゃあ今度行ってみるよ。あ、もう時間だ。

プロセスの解像度

私の面接は、こんな感じで「あっさり」終わりました。

今だったら、このラーメン食べ歩きの旅をnoteに書いて情報発信・・・みたいな話が続くのかもしれませんが、当時はまだSNSもない時代。

ただ、だからこそ、気になるものは手足を使って調べたり、わからないことは自分で考えたり、そういうことが重視されていたのかもしれません。

いや、今もそれは同じかもしれません。

私が面接官だったら、スキルや成果がすごくなくても構わないので、経験したプロセスを解像度高く話してくれると、ついつい引き込まれてしまうと思います。

この「解像度高く」というのがポイントで、面接官(=最近の学生のことをよく知らない年上の社会人)でも、頭の中にクリアにイメージできることが重要です。

私は、「逆質問」をすることで、解像度をあげていたのかもしれません(今振り返ればそう思うだけで、戦略があった訳ではありませんが・・・)。

スキルや成果の「凄さ」ではなく、プロセスの苦労や発見を「解像度高く」話すこと。これはきっと、面接だけでなく、どんな仕事をする上でも大事なコミュニケーションスキルではないかな、と思います。

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意外な質問に、うまく答えらるか

ちなみに、ラーメンの話でも盛り上がった(はず?)面接官の方と、入社して7年後に飲みにいきました。

覚えているかな、と思っていた私とのラーメンの話は全然覚えていませんでしたが(笑)、次のようなことを言っていました。

「自己PRとか、志望動機とか、事前に答えを用意したものを聞いてもつまらない。急にきた質問を、どうやって切り返すかを知りたいから、いつもちょっと角度の違う質問をしているんだ。」

確かに、広告の仕事はコミュニケーションが大事ですから、一理あるなと思いました。

それにしても、もう少し、徹夜で用意した自己PRや志望動機も聞いて欲しかったような気もしますが・・・。


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