火垂るの墓 解説 【清太は何を守りたかったのか】
8/22 今日は節子の命日です
節子はなぜ死んでしまったのか
戦争という枠組みではなく、もっと小さい枠組みで、語っていきたいと思います
「清太は何を守りたかったのか」
考えていきましょう
今回の話
かなり長くなっているので、まずは
1つ目の 清太は何を守りたかったのか
2つ目の 清太は何を守りたかったのか 以降の話
を目次から飛んで行ってもらえると、僕が話したいことが伝わっていただけると思います
ですが、途中の話を聞いていただくと、より理解が深まるので、よければ見たいただきたいです
清太は何を守りたかったのか
この作品を語る上で、この話をしておかなければなりません
清太は何を守りたかったのか
それは大きく分けて3つです
1.プライド
2.節子を悲しませないこと
3.自分(清太)と節子の命
それでは、この3つの守りたいことを意識しつつ、時系列を追って、この作品を見ていきましょう
(時系列が間違っている可能性もあります。ご了承下さい)
川辺で節子と話すシーン
神戸が空襲されてしまい、川辺へ逃げたのですが、節子が怖がってしまっています
それに気付いた清太が気をつかい、話してあげていました
これを見ると清太は妹思いの良いヤツだと分かります
清太の逆上がり
母親に会えず、悲しみ、泣いてしまった節子
清太は、そんな節子を悲しませたくなく、逆上がりをしました
ここでも、清太の節子に対する気持ちというものが伝わってきます
ですが、少し空回り感がありますね
母親の死を節子に伝えない清太
これは清太本人が言っていた様に、節子を悲しませたくないから行った行動ですね
しかし、最終的には節子が母親の死に気付いてしまいました
この行動も、節子にとって良い行動だったかは分かりませんね…
おばさんとの亀裂
親戚のおばさんの家に居させてもらえることになり、衛生面やそれなりのご飯が確保できるようになりました
なので、この家にいればかなり安全と言え、もしかしたら清太も節子も助かったかもしれません
しかし、清太は出ていくことにしました
なぜそのようなことをしたのか
それは以下の2つが考えられます
1.プライドが傷つけられたから
父親の影響で裕福な暮らしをしていた清太にとっては、働くこと、おばさんの言うことを聞くことは、とても屈辱的で、プライドが傷つけられることでした
なので、清太はおばさんの家を出ていってしまったのではないでしょうか
2.節子が悲しむから
最初は多くあった食料も、少なくなっていき、
全員が沢山食べれる状況では無くなってしまいました
そうなってくると、まず減らされるのは、仕事もせずに、ダラダラしている清太とその妹の節子です
このような状況に節子はおかゆ以外も食べたいとだだをこねてしまいます
それを見た清太はこう思ったことでしょう
「節子が悲しい思いをするぐらいならこんな家出ていってやる」と
さらに、おばさんの言うとおり、働いてしまえば、節子は一人になってしまうので、清太はそのような状況にはなりたくなかったのではないでしょうか
これも清太が家を出ることの大きな理由となっているでしょう
2つとも、清太にとっては重要なことで、これは「命よりも大事」だったのかもしれません
防空壕での暮らし
おばさんの家から旅立ち、防空壕で暮らすことになった清太と節子
もともと裕福なこともあり、お金や食事には困っていない様子でした
美味しそうですが…、最初に大量の食費を使ったことで、最終的には最悪の結果となってしまいます
これも、清太の子供な部分と言えます
しかし、この行動も「節子を楽しませたい」という気持ちからくるものがあったのでしょう…
盗みを始める清太
食料に困ってきた清太と節子
不安が増す中、清太はあることを思いつきました
盗み
盗みなら、お金を使わずに、様々なものをもらえますもんね!
ですが、
少し疑問に思うことがあるのではないでしょうか
それは
「プライドが傷つかないのか」
ということ
あそこまでプライドがあった清太が盗みを始めることは少し考えづらいですね
これは、あくまで僕の考察ですが
清太は、「節子のため」と考えることでプライドが傷つかない様にしたのではないでしょうか
さらに、このときは「日本の大人は敵」などと考え始めているので、盗みは「良いこと」と考えているのではないでしょうか
節子の前で泣く清太
清太はいつもどおり盗みをしているのですが、とうとう、畑の人にバレてしまいます…
そこで、清太は「母も死んで、妹は病気なんです」と言い訳をしてしまいます
その後、ボコボコにされ、警察に行かされます
その状況を節子にも見られており、節子が悲しんでしまいます
清太は「節子を悲しませないこと」を守りたいと、この記事でも何度も言ってきましたが、このシーンで、節子をとても悲しませてしまいました
ここから徐々に、清太は守りたいことが分からなくなっていきます
父の死を知る清太
食料が尽き、銀行に行き食料を買うためのお金をおろそうとしている中
他の人の会話で、父が死んでいたことを知ります
そのことにかなりショックを受ける清太
なぜ、あれほどまでにショックを受けたのでしょうか
それは言うまでもなく、
「プライドが傷つけられたから」
です
今まで、「自分は偉い海軍の人間の息子」という自信があったのにも関わらず、父が死んだことによって、そのプライドが傷つけられたのでしょう
節子の異変
そして、節子に異変が出てきます
まず、栄養失調
先程も言ったように食料が不足しており、ちゃんとした栄養が取れない状況でした
さらに、節子が訴え続けていた目の異変
これもどんどんひどくなっていきます
こんな状況を救うには食料が必要でした
なので、清太は節子に好きな食べ物を買ってくることを告げました
しかし
一緒にいてほしい節子
食べ物よりも、一緒にいてほしいと節子は清太に伝えました
しかし、一緒にいてやりたくても、節子が死んでしまったらいけない
なので結局、食べ物を買ってくることにしました
節子の死
食べ物を買ってきた清太は、悲惨な光景を目の当たりにします
節子は、ものすごく弱っており、おはじきを飴と間違えるまでの幻覚症状を起こしていたのです
それでも、節子に食べ物を食べさせようと、ご飯を作りましたが…
もう時すでに遅し
節子は死んでしまいました
このシーン、なぜ食べさせようとしたのでしょうか
それは、節子の死を防ぐためというより、節子を喜ばせるためだったのではないでしょうか
それの根拠として、清太は節子の死を、かなり速い段階で受け止めていました
それは、節子が弱っていたことを知っている清太なら、節子がいずれ死んでしまうことを悟っていたからでしょう
節子の回想
泣けてくる節子の回想シーンを紹介します
この回想はおそらく、清太が盗みやどこかに行っているときのシーンでしょう
どれも、寂しげに、一人で遊んでいました
おにぎりを食べない清太
「清太は食べ物が無くて死んでしまった!かわいそう!」
と思われる方もいるかもしれませんが、
実はそうでもないかもしれないです
なぜなら、清太は優しい大人に、おにぎりをもらっていたのです
なのに、清太は食べなかった
このとき、清太は死んでいませんでした
なのにも関わらず、清太は食べなかった
それは
「プライド」
の問題でしょう
今まで、敵だと思っていた「日本の大人」
そんな大人から与えられたおにぎりを食べることなんて、清太にとってはとてもプライドが傷つけられたのではないでしょうか
清太は何を守りたかったのか
お疲れ様です…
僕もかなり疲れました…
皆さん、最初に話したこと覚えていますか?
清太が守りたかったのは
1.プライド
2.節子を悲しませないこと
3.自分(清太)と節子の命
でしたよね
この3つ本当に守れたのでしょうか…
清太は何を守れたのか
少し、ひどい言い方になりますが
清太が守れたのはプライドだけだったのではないでしょうか
節子を悲しませまいと防空壕で暮らし始めたのにも関わらず、結局は節子の命の方を重要視してしまい、節子に悲しい思いをさせてしまいました
なのにも関わらず、節子を悲しい気持ちにさせたくないと言って、節子の命を削らせてしまったのです
中途半端
これにつきます
優先順位を間違えてしまった
これが、清太の最大の失敗です
本当は自分(清太)と節子の命を優先させるべきでした
プライドより、節子の気持ちより、命の方が大事でした
命優先で動いていれば、清太も節子も助かったことでしょう
僕達は清太だ
ここまで、見てくださった方なら
「清太が悪いんだ!清太がもっとちゃんとしていれば!」
と思ってしまう方もいるかもしれません
ですが、僕はそうは思いません
それは、清太が自分のことのように思えてしまったからです
僕も、優先順位間違えまくりです
本当はいろんな勉強をしなければいけないのに、YouTube見てゴロゴロして
本当はちゃんと人づきあいしなければいけないのに、めんどくさくなって
大人も子供も優先順位なんて分かるわけがありません
そんな大げさな
と思われるかもしれませんが
実際、今の日本はかなりピンチな状況にありますし、それに、また戦争が起こってしまったら、清太のような子が同じように優先順位を見誤ってしまい、死んでいってしまうかもしれません
清太はまだ思春期で、それこそ優先順位なんて分かるわけありません
ですが、考えなくてはならないのです
本当に大事なことは何か
どうすれば良いのか
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