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バイデン政権による増税案 - SHIELDについて

今日はバイデン政権による増税案のメインのひとつでもある、SHIELDについて 書いていきたい。ちなみに法人税に関わる増税案。

概要

U.S. Department of the Treasury (米国財務省)が2021年5月にバイデン政権による増税案の詳細が記載されている通称”Green Book”を発表した。正式名は「General Explanation of the Administration's Revenue Proposals」

読みたい人はこちらをどうぞ⇒

https://home.treasury.gov/system/files/131/General-Explanations-FY2022.pdf

というてもあくまでも案なので、これから議会で揉まれる予定なのだ。バイデン政権としては、”こういう方針で増税をしたいですよ”、というのを文章にしたものがGreen Book である。

SHILED とは

Stopping Harmful Inversions and Ending Low-Tax Developments の略

簡単に言っちゃえば税源浸食と法人税の低税率化をやめようねって話。

もともとの背景としては、多国籍企業が現地税制や国際課税ルールの合法的に抜け道を探り、意図的に支払う税額を減らしたり、タックスヘイブンなどに合法的に利益移転をし、税負担を減少させ、税引後利益を増大させる国際税務プランニング =BEPS (Base Erosion and Profit Shifting, 税源浸食と利益移転)がきっかけだ。

ちなみにこの言葉が出てきたのは比較的新しく、実際にOECDで対応策の議論がスタートしたのは2012年からだ。

そして現在では、その対応策の一環として以下のような動きもある。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7bb1cc0b9be086c5e20b975a22dddcc721dd6ada

ようはアメリカを中心にOECD加盟国では、世界の最低税率を15%以上に決めて、法人税率の引き下げ競争に歯止めをかけようとしている。

で、その流れは当然、米国内でも議論の的となるのだが、実際、現行制度でもBEAT=Base Erosion and Anti-Abuse Taxとうものが存在している。

BEATもBESP対応策ではあるのだが、実はそこまで機能していないのが現状だ。BEATは、連結納税グループベースでの過去3年間の売上平均が$500M以上で税源浸食割合3%以上の法人が適用対象。

一方のSHILEDの対象となるのは、連結財務諸表ベースで$500M以上のグループに属する法人やパートナーシップ。その連結財務諸表に含まれる米国外関連者の実効税率がグローバルミニマム税率より低いケースで、この米国外関連者に対する支払いを損金不算入にするっていうのが、SHILEDの中身だ。

グループ内に低税率のメンバーがいる場合、一部損金不算入となる可能性がある

詳しい話は、置いておくが下記グリーンブック内の文章を見て欲しい。

In addition, payments made to financial reporting group members that are not low-tax members would be partially subject to the SHIELD rule to the extent that other financial reporting group members were subject to an effective tax rate of less than the designated minimum tax rate in any jurisdiction.

日本語に訳すとこんな感じか

他のグループメンバーがいずれかがミニマム税率未満の実効税率を課されている限り、部分的にSHIELDルールの対象となる。

これはやばい。多国籍企業はグループ全体で取り組まなければいけないということになる。例えば、多くのグローバル企業はアイルランドをはじめとした低税率国にグループ会社を持っている。アイランドは法人税率12.5%なため、ミニマム税率未満(OECDの提案と同じなら12.5%)となる可能性が高い。

これを見て思ったこと。Big 4 の国際税務担当、儲かるな~笑

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