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ドラマ感想『地面師たち』

Netflixで大好評のドラマです。
面白かったです。
ネタバレあり

1 圧倒的絵力

僕は雰囲気という曖昧なもので作品を評価しがちですが、そのお決まりの表現を使うなら雰囲気の勝利でした。

犯罪チームもののかっこよさが詰まっていましたね。役割分担がされていてそれぞれのキャラの個性が立っているのもそうですし、イレギュラーが起きてアドリブで対処する時の緊張感も、こいつは別の思惑を持っているんじゃないかという怪しさも、全てが僕が思う犯罪チームもののかっこよさと合致して、二日での一気見に至りました。

また、これは他の人に言われて気付いたにすぎませんが、音楽も素晴らしいです。石野卓球さんのサウンドトラックが、確かに映像に緊迫感とリズムをもたらしていました。ドキドキしながらも流れるように観ることができました。

2 王道すぎ?

犯罪者チームがいて、最初は成功するものの、大きい仕事をする中で徐々に崩壊していき、最後は警察側の勝利で終わるというのは、まぁありきたりですよね。

今作も、大まかな流れは王道でも全然よかったのですが、絶対に竹下が何か企んでいると思っていたらちゃんと企んでいますし、綾野剛も復讐を匂わせていていて、実際はどうなのかと思いきや、捻りもなく復讐という感じでした。

見せ方や雰囲気が面白かった分、人間関係やそれぞれの企みには捻りがなく真っ直ぐだったので、終盤にかけての盛り上がりがそこまでなかったのが残念でした。序盤のワクワク感には勝てなかった気がしますね。

3 率直な感想

観終わった後に感じたのは、警察の存在への懐疑でした。
池田エライザさんが真実に辿り着き綾野剛に接触することで、綾野剛はハリソンと対峙することに決めますが、あんな簡単にエライザさんがたどり着けることを綾野剛がたどり着けないとは思えませんし、真実を知った綾野剛が簡単に冷静さを失うのもキャラ崩壊の印象でした。

ハリソンと綾野剛の泥試合も微妙でしたし、それよりは山本耕史の絶望を30分見ていた方がいい気分でした。

特にエライザさんが綾野剛に説教するシーンは最悪でした。あなたたちがやっていることは仕事ではなくれっきとした犯罪です、といった感じのセリフです。

なんというか、クールな犯罪チームものを画面の中で楽しんでいて、せっかく山本耕史も華麗に騙せて痛快な気持ちになっているのに、突然画面を切られてこれは犯罪だよ、何楽しんでるの?と言われている気がしたのです。

もちろん犯罪だってことは知っています。ですが、ここまで散々地面師たちのかっこよさを見せつけておいて、そこらへんに転がっている正義論でカタをつけてしまうのがどうも納得いきませんでした。

犯罪者に罰を与えたいなら、最後までカッコよく、むしろより惨めに、綾野剛が自分で真実に近づき、ハリソンと対峙しての自滅でよかったですし、あるいはもう一つどんでん返しがあって警察を出し抜く感じが欲しかったですね。

地面師たちや、山本耕史たちに感情を移入しているわけで、漁夫の利を掻っ攫っていく警察には、どうもスッキリしないんですよね。

求めすぎですかね?

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