ショートショート② どっちみち
陽光が届かない。数多の浮遊物で遮断されているからだ。
私は倒れて目を閉じた。あまりの飢えのせいである。
どれだけの時間そうしていたかはわからないが、誰かの声がしたから目を開けた。
「お腹が空いて死にそうです」
青い魚がいた。私の二倍以上の大きさである。
私が黙っていると、魚は口を開けた。
歯が欠けている。
「困った世の中になりましたね」
私がそう言うと、魚は申し訳なさそうに頷いた。
「すみません」
「いえいえ」
私は着ていた服を脱いだ。
「どっちみち、ですからね」
解説
ちょっと何を言っているかわからないとの評価を受けるこの作品。
そういう人は、もしかしたら、この作品における「私」を人間だと思っているかもしれませんね。
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