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半沢直樹よりも面白いリアルタスクフォース

タスクフォース会議の生配信


一昨日、内閣府主催の「再生エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」なるオンライン会議がYouTube上でリアルタイム配信されていました。タイトルをみて思い出したのは少し前に話題になった「半沢直樹」というTVドラマで、国交相のタスクフォースが航空会社の経営再生の為に金融機関に債権放棄を迫る悪役?として登場し、半沢直樹率いる優秀な金融マンが債権放棄という安易な再建ではなく、航空会社による自主的な努力で健全な経営に戻すロードマップを作り上げ、国交相大臣、タスクフォースの主幹弁護士と戦うストーリーです。池井戸潤作品らしい手に汗握る展開と、巨大な権力に屈せず、最後に正義が勝つといった快活なストーリーには随分楽しませてもらいました。そんなドラマでの印象もあり、タスクフォースの会議が公開されるという情報を知って興味本位でYouTubeを覗いてみたところ、予想に大きく反してドラマよりも感動的で、かつワクワクと面白い展開になっており大きな衝撃を受けました。現実は小説より奇なりと言いますが、自分の事業にリアルに直結していることもあり、半沢直樹よりも面白く視聴しました。

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国交省の公開処刑

この度、YouTubeで公開されたタスクフォースはタイトルに「再生エネルギー等に関する規制等・・」となっておりましたので、再エネの代表格である太陽光発電や風力発電に関する議論が中心かと思いきや、意外にも冒頭から話題の中心は日本の住宅の断熱気密の法規制がない事による住宅性能の劣悪さ、それを容認してきた国交相に対する厳しいダメ出しが続出してまず驚きました。一番のクライマックスは東京大学の前教授による現状の日本の住宅の性能の低さがパリ協定に批准するという、政府の方針と全く整合していない状況への指摘とその解決方法についての具体的な提言でした。「諸悪の根源は2020年に法制化されるはずだった省エネ性能担保の義務化の無期限先送りである。低い性能の住宅を大量に作る業者に慮っていては、パリ協定で目標に掲げたCO2削減目標など、以前の京都議定書の時と同じ未達に終わるのが目に見えている。」と一刀両断された場面でした。国交省が省エネ性能義務化を先送りした理由として挙げられていた中小工務店の技術、知識不足については実際はそんな事実はなく、日本全国にピンからキリのキリではない、確かな知識と技術を持ったピン工務店はたくさん存在する。と私達にとってこれ以上嬉しいことはない言葉をかけて頂きました。

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聖域なき提言

また、前教授は断熱性能=省エネ性能の義務化だけではなく、木造住宅の耐震性能についても言及され、木造2階建住宅の構造計算書の提出が免除されている4号特例の廃止を強い口調で求められました。まさに聖域なき提言といった強い姿勢で、良識のある建築業界関係の人たち全員が以前から必要だと思っており、しかし国交相の腰砕けを見て諦めてきた部分についてタブーにズカズカと踏み込まれていたのはまさに痛快でした。今回のタスクフォースの議題とは少し離れていたため、その後のディスカッションでも耐震にまつわる構造計算の特例廃止については議論はなされませんでしたが、多くの人に今一度、4号特例廃止の必要性を示されたのは大きな意義があったと思います。
とにかく、私たちのような小規模の地方工務店が正しい家づくりをしたいと学び、実践してきたことを国の中枢部の人たちに向けて大学教授が全面的に肯定して提言してくれた事は胸に熱いものがこみあげるほど感動的で嬉しい出来事でした。

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河野太郎大臣の本気

今回のYouTubeライブ配信がドラマよりも面白かったと言うのは、最後に河野太郎大臣の総括があまりにもドラマティックで刺激的だったからです。その前の質疑応答で国交省の審議官が今まで通りの路線を踏襲することを匂わす発言、省エネ性能の義務化は作り手の知識と技術の未熟さと、それが法制化されると今まで(安かろう悪かろうの)住宅を量産し続けてきた会社が家を建てることができなくなり、市場の混乱を招くといったことに対して、「国交省の人たちはゲームチェンジしたことがわかっていない。菅総理が掲げたパリ協定の批准目標は既存路線の延長で達成できるものではなく、あるべき姿から逆算したバックキャスティング方式で取り組まなければならない。」と痛烈な批判を浴びせかけられました。その上で、「国土交通省にその気構えがないのなら、違う部署で預かって法制化を進めていくことを考えなければならない。」と、ドラマさながらの劇的な変化をもたらす発言をされたことです。まさに胸のすく思いでした。

日本の住宅政策の大転換?!

菅総理が総理大臣に就任した際、私は縦割り行政が非常に嫌いだ、と発言されておられましたが、住宅の性能向上は国交省と経産省と環境省と林野庁がそれぞれ独自の政策を打ち出して重複しながらこれまで進めてきました。まさに縦割り行政の見本です。前教授によると、真面目な住宅生産者は困惑している。と言われておりましたが、そもそも目指すべきあるべき姿は1つであり、省庁を横断して予算を一元化し、国民の健康と資産価値の保全に資する安心安全快適な高性能な住宅の供給を行える体制を整えるべきだと思います。もし、今回の河野太郎大臣の言葉通り、行政改革省が強いリーダーシップを発揮して取りまとめを行うことができたなら日本の住宅行政が一気に変わる可能性もあると感じさせられました。私のFacebookの投稿に対して「次の総理大臣は河野太郎さんがいいね」とコメントくださった方がおられましたが、河野大臣の本気の行政改革に大いに期待したいと思います。少し長いですが、↓のドラマよりもずっと面白いタスクフォース会議、是非ともご覧になってください。

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