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忘れ去られた史上2番目に多くの日本人に読まれた本に学び直す

昨日のnoteでは、私が職人育成の高校を立ち上げるにあたり、子供たちへの教育に最も多くの日本人に読まれた本と言われる「学問のすすめ」に書かれている概念を中心に取り入れるのを考えていると書きました。また、圧倒的大多数になってしまっている学問のすすめをちゃんと手に取ったことがない大人たちも改めて読み直すべきだと強く思っています。

独立自尊の精神

福沢諭吉先生は、慶應義塾大学を創立したことでも有名ですが、大学を作ったのは独立自尊の精神を持った若者を社会に送り出すためだったとも言われています。「学問のすすめ」にもその思想は色濃く反映されており、西欧列強による植民地計画に飲み込まれないようにするには、日本人がもっと視座の高い目的意識を持ち、精神性を高める必要があると説いています。
そして、その当時、「学問のすすめ」の次に多くの日本人が読んだ本がサミュエル・スマイルズの自助論だと言われています。その中に書かれている中心的な概念「天は自ら助くるものを助く」とは非常に有名な言葉ですが、明治から昭和初期の日本人がこぞって、自己啓発本の元祖と言われるこの本を手に取って、独立自尊を担保するための自助の精神について共通認識を持っていた事、明治維新の新政府の学制発布の際には教科書にとりげられていたとの事実は政治、経済や社会に対する意識が希薄な今の日本の現状を考えると驚きを隠せません。

サミュエル・スマイルズ

職人的自助論

私は20年以上の長きにわたって職人の社会的地位向上を志に掲げて職人育成を行ってきました。その根本にあるのは、「職人は自ら守られるべき存在にならねばならない」との自助論です。
職人と言う仕事が、若者に圧倒的に忌み嫌われるようになり、職人自体が自分の子供に対して職人なんかになってはならぬ、と学校での勉強に励み、成績をあげていい大学、安定して安穏と暮らせるいい就職先に就くようにと言い始めたのは職人自身が時代の変化に対応出来ず、価値創造が行えなくなり、その結果、誇りを失い自虐的になった職人の劣化に他なりません。
世界最高峰の技術を培い、承継してきたはずの大工にその傾向が強いのは本当に残念なことです。
私は、現代の社会に適応した、コミュニケーションと心の奥にある良心に従った判断、そしてイメージし、計画を立てて実行することで着実に技術や知識を身につけられる能力を持った職人を育成することで、守られるべき存在になってもらい、職人の地位向上を果たそうと教育にまつわる活動しています。

経済・社会の原理原則論

福沢諭吉先生は「人は生まれながらにして貴賤・貧富の別なし。ただ学問を勤めて物事をよく知る者は貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるなり。」と言われました。ここで言われている無学のものとはもちろん、学歴の高い低いではなく、学ぶことをしない者を指しています。明治から昭和初期の多くの人々は、学ばねば下人となって自由を手にすることなく、奴隷のように人にこき使われるなるのだと気づき、熱心に自助論を読んだのだと思います。そこに書かれているのはごく当たり前の原理原則であり、後に世界を席巻する自己啓発本の代表とも言われる「7つの習慣」に書かれている原則と基本的に同じことが書いています。自助論が自己啓発の元祖と言われる所以です。以下はWikipediaにある概要です。

概要
1859年にジョン・マレー社より出版された。序文の「天は自ら助くる者を助く」という言葉は有名である。
西国立志編
当時幕府の留学生だった中村正直が自助論を翻訳、『西国立志編』として1871年(明治4年)7月に日本で発売された。これは明治時代の終わりごろまでに100万部以上を売り上げた。
構成
1.邦国および人民のみずから助くることを論ず
2.新械器を発明創造する人を論ず
3.陶工三大家、すなわちパリッシーベットガーウェッジウッド
4.勤勉して心を用うること、および恒久に耐えて業をなすことを論ず
5.幇助、すなわち機会を論ず、ならびに芸業を勉修することを論ず
6.芸業を勉修する人を論ず
7.貴爵の家を創めたる人を論ず
8.剛毅を論ず
9.職事を務むる人を論ず
10.金銭の当然の用、およびその妄用を論ず
11.みずから修むることを論ず、ならびに難易を論ず
12.儀範(また典型という)を論ず
13.品行を論ず、すなわち真正の君子を論ず
教科書への使用
1872年に学制が公布されると、『西国立志編』は教科書として使用されるようになった。しかし1880年に当時の文部省が、君民一体、共和政治を志向する点で翻訳書を不適当とする。そして1883年に文部省が教科書を許可制にしたため、『西国立志編』は教科書として使用できなくなった。
出典:Wikipedia

消し去られた常識

自助論の構成を見ればわかる通り、そこで論じられているのは結局、自助の精神を実際の行動に移して独立自尊の誇りと生き甲斐を持って働けるようになるには、勤勉に地道な努力を積み重ねて地力をつけること、人からの信頼を得られるような人格を身につけられる修養すること、目先の金儲けに血道をあげることなく、計画性を持って自分自身への投資を行う等、当たり前すぎる原理原則です。この当たり前のことを国民の圧倒的多数が知り、実践したことで西欧諸国に植民地にされてしまいかけていたこの国が独立自尊を守り続けたのだと思っています。
結局、太平洋戦争で敗戦しアメリカの植民地になってしまってからは、明治井時代の常識だった福沢諭吉先生の「学問のすすめ」もサミュエル・スマイルズの「自助論」も教育の世界から抹殺されて、当たり前が当たり前に出来ないのが当たり前の社会に日本はなってしまいました。最近、GHQによって焚書された書籍をよく読んでおり、日本は教育で殺された、もしくは殺されかけているのだと強く感じています。

最も重要で効果的な社会課題解決

原理原則を理解した上で、思考を実践に移せる「自らを助く者」とは自分が考え、善悪の判断を下せる、創意工夫を凝らして大きな価値創造ができる、誰かに依存することなく自立出来る者です。そんな人達ばかりが集まった企業は圧倒的な価値を生み出すのは創造に難くありません。実は企業は人なりとは、どんな人でも良い訳ではなく、自助の精神を持った人がどれくらい集まっているかを問うています。
そんな企業が数多く集まる地域は栄え、人格主義が成長した全体最適を考える利他の精神に溢れる自立循環型の地域になる。そしてそんな地域が全国に広がると、この国はもう一度、日出る国として世界から脚光を浴びて、高い精神性を以って世界をリードする国になると私は考えています。まずは、小さな単位から自助の精神を持つ人達がムーブメントを起こすことが、閉塞感で溢れた今の日本には必要だと思うのです。地域企業の経営者がそんな社員の人材開発、社員育成を行うことが社会課題解決への最も大きな貢献であると言われる所以だと思っています。

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建築業界のみにかかわらず、志を中心価値に据えた人材育成、人材開発を行うコミュニティーを運営しています。ご興味があればお気軽にお問い合わせください。

経営者としての在り方の学び、共同体の再構築と社会変革を進める研究会の世話人をしています。ご興味がある方は共に学びませんか?






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