体重100キロの博士が100キロのままで考案したダイエット法がなぜか大ヒットした事件
ある面では「良い」とされることが、別の面では「良くない」となる。
食育の世界にも、そういう例は数多くあります。
たとえば、近年、健康に関心のある人々のあいだでは
「砂糖などの炭水化物を控える、減らす」
が常識のようになっていますね。
「糖質制限」「ローカーボ(ロカボ)」などと呼ばれる考え方です。
これにもとづき、人々は甘いお菓子を控えるとともに、パン食や米飯食を減らしています。
ところが、いわゆる「食育の人たち」は、これに対してあまりいい顔をしません。
なぜなら「食育の人たち」は、つねひごろ、
「日本の食文化や日本の農業を守るため、日本の米をもっと食べなさいよ」
と、わーわー訴えつづけているからです。
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それはともかく。
「糖質制限」「ローカーボ(ロカボ)」は日本だけでなく、いまや世界中の「健康意識高い系」のあいだで常識化している感があります。
その発祥の1つとされるのが、「アトキンス・ダイエット」です。
その名のとおりアトキンス博士という内科の先生が提唱したもの。
1990年代から2000年代初頭にかけ、アメリカで一世を風靡しました。
アトキンス先生が唱えたのは
「炭水化物だけ避ければよく、脂肪については気にしなくてよい」
これが「肉好き」アメリカ人に歓迎され、大ヒット。
当時のアトキンス・ブームはすさまじく、
多くの飲食店が「アトキンス・メニューあります」の看板を立てて客の呼び込みをはかった
ほとんどの健康食品店に「アトキンス・コーナー」があった
炭水化物食品の売上が激減し、たとえばパスタメーカーが倒産した
そんな状況でした。
その人気絶頂のさなかに、当のアトキンス博士が他界しました。
その際、「アトキンス先生は体重が100キロを超え、そのせいでコケて亡くなった」という噂がまことしやかに流れました。
その結果、アトキンス・ブームはその後3年ほどで終息してしまいました。
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アトキンス・ブームは終息しましたが、その中身そのものは、「糖質制限」「ローカーボ(ロカボ)」という名前になって広がりつづけました。
「アトキンス」の名前のついたものも、まだ残っています。
たとえば、博士の死後、ヨーロッパでアトキンス・ブームが巻き起こりました。
アメリカではアトキンスはオワコンとされていますが、ヨーロッパでは今でもアトキンス関連商品が売れているようです。
また、「エコ・アトキンス・ダイエット」と呼ばれるダイエット法が、ベジタリアンのあいだで注目されています。
本来のアトキンス・ダイエットは「肉を好きなだけ食べたまえ」というものだったので、当然、ベジタリアンから支持されませんでした。
ですがこの「エコ・アトキンス・ダイエット」はアトキンス・ダイエットをベジタリアン向けに改良したもののようです。
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というわけで、
「糖質制限で体調がよくなった」
「ローカーボ(ロカボ)で体重が落ちた」
という人には、”始祖” アトキンス先生の墓参りをおすすめします。
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