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アラ煮の仕立て方(そのポイント)

※まずはポイントを押さえる


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アラ煮の仕立て方

さて、今回はアラ煮の仕立て方をお伝えいたします。

アラ煮と言う料理は、ご存知の様に決して簡単な一品ではありません。

ですが、魚料理の中では最も基本的な技術を駆使する定番の一品です。

骨付の魚のアラを酒と味醂、砂糖と醤油で短時間にパーッと炊き上げる。

魚から出てきた旨味を煮汁ごと煮詰めて濃厚なソースに仕立ててアラに絡ませる。

・・と言うのが理想的なアラ煮です。

多くの方が勘違いしやすいのは、じっくりと煮含めて素材の芯まで味を浸透させる煮物=含め煮ではありません。


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アラ煮は早煮

アラ煮は早煮の一種で、どちらかと言うと「旨煮」と言う手法です

切り身の中は真っ白で素材の味わいのみ、アラの周囲に絡む煮汁の味わいで全体のバランスが取れている。

魚本来の素材の味わいに濃厚な旨味の煮汁を絡めながら、手に持ってしゃぶる様に食い尽くす・・と言うのが、正統なアラ煮の作法です。

ですから、鮮度の良い素材を使います。

そのまま加熱しても魚の味わいが上質に感じられる素材を短時間で炊き上げます。

そして、火が入った瞬間に煮汁が丁度良い煮詰まり具合になっている、アラ煮を仕立てる際は、そんな仕上がりを目指して下さい。


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最重要プロセス

まずは最重要プロセス、アラを最初に湯通しして鱗の掃除をしますが、そこだけは特に丹念に、しかも時間と手間を掛けて丁寧にやります。

食べている時に、鱗が出てきたら全てが台無しです。

その料理の印象がウロコオンリー、鱗の入ってた料理とだけ記憶に残る。

丁寧に鱗や血合い、汚れを取り除き料理人のプライドを持って臨んで下さい。


強い火力

さて、アラ煮を作る時の具体的なポイントで1番難解な部分は鍋の選択と、煮汁と素材の量、火の強さとのバランスです。

一般のご家庭ではコンロの火力が弱いとは思いますが、カセットコンロでもバランスさえ取れれば、上手に出来上がります。

以前、アラ煮の料理教室を開催した時は初めて挑戦する方達がカセットコンロで上手に照りの乗った、旨いアラ煮を作り上げました。

その時、参加の方達は認識に反して火が強い事に大変驚かれていました。

一気に炊き上げるのがアラ煮ですから、強い火力で煮汁が吹き上がる様に火加減や煮汁の量を調節します。

吹き上がってきた泡で素材が覆われる様な火加減が理想です。

煮汁は素材に対してひたひた程度に、そして酒・味醂・砂糖は最初の段階で加えておきます。

醤油は一呼吸おいてから、何回かに分けて加えるのが味を調えやすく、また醤油の塩分だけが素材に吸収されるのを防ぎます。


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要注意ポイント

そして、最初に出てきた大きなアクを絶対に取り除きます。

このアクが煮汁に回ってしまうと、取り返しがつきません。

味わいが濁って生臭くなります。

全く食べられない訳ではありませんが仕上がりの良し悪しに大きく影響するので要注意ポイントです。

最初に出てきたアクが煮汁と共に沸いて来て一カ所に集まって来た時、一網打尽で掬い取ります。

他には、牛蒡を入れるとフラボノイドの効果で魚臭さを抑えてくれます。

生姜にも同じような効果がありますので、捨ててしまう皮を利用するのも経済的です。


技ありのポイント

最後の仕上げで、技ありのポイントがあります。

炊き上がる寸前、煮汁の泡が大きくなったところに酒か味醂を加えます。

そうすると、大きくなっていた泡が細かい泡に変わり、いっそう吹き上がります。

この時に非常に綺麗な照りが乗ります。

アラ煮を炊く技術とは、バランスとタイミングの妙です。

今回はアラ煮の仕立て方のポイントのみをお伝えしました。

手順、行程につきましてはまた次の機会でお伝え致します。


では、今日も良い一日をお過ごし下さい。

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