スポーツが持つ可能性


以前から私をご存じの方は周知の事実なのですが、私は昨年5月に離婚をしています。

その理由については今回は置いておいて、私の元夫はボクシング東洋太平洋ミドル級チャンピオンであり、日本で歴代4人しかいない、ミドル級で世界戦をしかもあのゲンナジーゴロフキンと対戦した私から見るとスーパーすごいアスリートでした。

彼と出会ったのは私が当時19歳の頃で、私はトライアスロンに挫折し、(この理由も今回は触れません。)ただのフリーターとしてバイトに明け暮れて、当時彼氏だった彼と会うという生活をしていました。

その当時、私の家庭は厳格で亭主関白な父(今はとても丸くなりました。)とそれに従う母(黒木瞳似) 、中学時代にいじめが原因で不登校になり、入学した高校も1か月も通わなかった上半身タトゥーだらけの17歳の弟(今では内装屋で独立し稼ぎまくってます)、小学6年生の生意気な弟(神奈川大学トライアスロン部)の5人家族です。

とりあえず私は早くこの実家を出たかったのです。(今では実家がいいです。)

良い両親ですし、弟たちも可愛かったのですが、昔からメンタルの弱かった私は文武両道を幼い頃から求められ、学級委員や生徒会役員をやりながら、部活動に所属し、トライアスロンに学業の成績も出さなくてはいけないというプレッシャーがとても辛く感じていました。

努力しなくてはここの家にいることが認められない。そんな感覚がありました。(本当はそんなことはなかったと思います)

そんなこともあり、私は一人暮らしをしていた7歳年上の彼の家に転がり込んでほとんど家に帰らなくなりました。

当時の彼はまだ日本ランカーではあるけど、2度のタイトルマッチに敗戦し、3度目のタイトルマッチに人生をかけて挑戦しようと日々努力している過程でした。

平日は朝から夕方まで仕事をし、夜7時から10時過ぎまでトレーニングという生活で、休日は試合の際にチケットを買ってくれるファンの方々との関係を維持するために外へ出て顔を売っていて、結婚生活を含めると10年一緒にいましたが、まともな「デート」は数える程度しか無かったと思います。

デートと言えば二人でロードワークに行って私が千切って帰ってくるくらい。笑

お前より俺はボクシングと仕事が大事だし、それの邪魔になれば一緒にいることはできない。でも別れるのは精神的ダメージを避けたいからしたくない。付き合って一生一緒にいるか、付き合わずに友達でいるかにしてほしい。俺は好きだし別れないつもりだよ。それかボクシング引退するまで待っててくれない?(別れてるじゃねぇか!と思われても別にいいんです。人間なのでその時と心も状況も変わることは受け入れています)

と今考えると腹立つくらい(笑)上から目線な告白をされて、でも私にとっては努力しないそのままの私の存在を愛してくれる彼の存在は恋人というよりも唯一の私の理解者だと感じていたので一緒に居たいと思い付き合い始めました。

そしてすぐに狭くてボロボロのアパートで2人で暮らし始めました。

ブレーカーすぐ落ちるし、寒くて霜焼けできるし、下の階のシングルマザーがいつも子供を怒鳴ってる家で

デートの時もボクサーの後輩や関係者の人がいる状況もありました。

今思うと19、20歳くらいならもっと幸せな付き合い方や相手があったんじゃない?と思いますが、私にとっては何よりも私のそのままでいいと受け入れてくれる彼とその仲間たちに居場所を感じていました。

プロボクシングはトライアスロンと違い、お客さんが見に来てくれて初めて試合が成り立ちます。つまり、結果、面白い試合、感動、キャラ、人間性などを売り込み人を呼ばなくてはいけません。

1か月で10キロ近い減量にチケットの手売り、発送、管理、コンディショニング、トレーニングとなんでそんなにできるの?というレベルの活動を結果のないデビューの段階から全員がしているわけです。

ある程度のレベルまで行けば今度はその事務作業を協力してくれる協力者を得なければ手に負えなくなります。

どうしてもスポットライトの当たる舞台だけを見られがちですが、リングに立つことよりもボクサーの本当のすごさは全員が試合を作ること、ファンや協力者を作ることにコミットしている。そこだと私は一緒に生活してきた中で感じています。

我が家も大してお金があるわけではないのに、後輩にお金を出させたところは一度も見たことはありませんし、お金を出してあげているのに、後輩に自分の売り方や練習の取り組み方、人間関係を指導までしているんです。これ、有料セミナーで良いレベルの話だったと今では思います。

チャンピオンになると栄光ライセンスというものが発行され、国内の世界戦以外の試合はほとんどそのライセンスで無料で観戦できるのですが、試合のたびに後輩のチケットを買い、彼を慕っている後輩の場合は更に私の分としてチケットを2枚買って彼らの売り上げに貢献していました。

これはなかなか出来ることではないと思います。

ボクシングは紀元前に始まったとても歴史の長いスポーツです。スポーツの世界長者番付でも毎年何人もの選手がランクインするほど、認知度、人気、報酬額も高いスポーツである選手たちがここまで謙虚に地道な努力をしているのを見てきているので、勝つ事プラスαで考えながら競技をしなければないのだなと私も学ばせてもらいました。

それは、今の私にとってはものすごい財産になっています。

先日、こんなツイートをしました。


と上げたことに対して

『学生はお金ない』をスタンダードと語る社会人がいるのがいけない。

時間がない。お金がない。なんて言ってたらその後もやっていけない。

29歳以下だけが優遇されるのはおかしい。

自分で稼がせいでからトライアスロンやれよ。

クラファンに対する価値を返せるのか?

気軽にクラファンなんてやらないで欲しい。

などという意見を頂きました。

私もそう思う部分もありましたし、そう思っていた時期もありました。

でも、私の個人的な感覚なのかもしれませんが、トライアスロン始めるのに15万円ほどかかる上に大会出場経費で4万円ほどエントリー代に毎回約2万円以上かかることは安くないですし、奨学金もある子も多く、29歳辺りまでは金銭面でネックになるなと感じてしまいます。

もちろん稼げる学生も裕福な家庭の学生もいますし、お金も時間も器用にやれる人も多くいます。

なので、裕福で余裕のある人が趣味や部活を持てばよい。という考えも確かです。

でもその一方で私の住む八王子の貧困家庭で育つ子供の割合は約7人に1人いる現実も知りました。

未だにボランティアによる炊き出しが行われ、その炊き出しに来る子供の数が100人を超えており、皆痩せて少し異臭のする子供もいるのです。

ボクシングは選手がボランティアで地域のボクシング教室を行ったり、少年院に出向き更生の手助けをしていたり、それがきっかけで少年院や貧困家庭から成り上がってくる選手も実際にいるわけです。

ボクシング史上最強6階級制覇のマニー・パッキャオはフィリピンのスラム街で育ち1試合200円の闇格闘技から一晩で368憶稼ぎ、試合の日にはフィリピン国内の戦争が止まり、視聴率が80%を超えるまでに成り上がり、世界平和にまで貢献している事実もあります。

それを見ていて、私もスポーツの持つ可能性をものすごく感じていますし、私の主観ではありますがボクシングの選手たちを見ているとお金のある選手もない選手もとても心が豊かに感じるんです。

それはプロのリングでやる上で常に自分の市場価値を晒され、弱さと向き合いながら強さを求める謙虚さ。強くなった時に社会や後輩に還元する姿勢をお互いが見せ合っているからなのかなと私は感じています。

そんな彼らの姿を見ていると、トライアスロンもいつかもっとハードルが下がってどの子も始められるスポーツになって欲しいという思いがあります。

それには今いる選手の定着、競技人口をなるべく減らさないようにしながら、増やしていく。魅力のある選手を増やして、選手が個人で続けられる可能性を増やしていく必要があると思っています。

そして、そうなる為にはスポンサーを得るだけでなく、トライアスロンで稼げる可能性も増やす必要があると思うんです。

クラファン実際にやると分かるのですが、みんなリターンを求めて買っているのではなく、その人の思いや熱量、面白さ、魅力に共感、共鳴して支援しているのです。ボクシングのチケットを買うお客さんたちと非常に似ています。

リターンでなんの価値を自分が返せるのか。

自分の強み、魅力、書けることはなんなのか?

お金が掛かることで否が応でも真剣に自分自身の弱さ、臆病な部分、不安、実績の必要性など考えさせられます。

なのでクラファンを反対している方々に支援してくれと頼んでいるわけではないので、今後色んな選手がやりにくくなるようなコメントをわざわざしてくれなくても本人が痛いほどその辺りと向き合って始めていると思います。

また支援を受けた後、結果を出すことに対するコミットをより強く持ちますし、与えて頂いた思いに対するプレッシャーとも戦っているわけです。

なぜ、こんなことを書いているのか?というと、私が立命館大学2年生でエイジ世界選手権出場のための資金としてクラファンを始めた牧田竜明くんを1万円だけですが支援しているためです。

https://readyfor.jp/projects/makita-triathlon


私は彼の

あなたの活動を全力で応援します!

というリターンを選択しました。


これは、私の活動の応援のためではなく、本当に小さな小さな芽にも種にもならないような1歩かもしれませんが、彼がそのリターンに対して誠実に取り組み、考えることが彼の為、トライアスロンの為になると思ったからです。

そう思えたのは、ボクサーの方々の活動を見て、

お金出さないで批判、遠目から冷めた目で斜めに見て、誰かの発信に対して反応し、同じレベルの仲間で群れている大人

なのか

お金出して、応援、協力、励まし、自分も努力し、自分から発信し続け、上とも下とも関わり合える大人

どちらになりたいか?

考えて出した私のお金の使い方とツイートです。


比較したり、批判に対して批判したり。。。かなり感じ悪い私のダークな部分を出してしまい申し訳ないなと思いつつ、私はトライアスロンがただ大好きでトライスリートもみんな大好きなので、みんな辞めないで続けてほしい。今後歴史の長いスポーツとして多くの人に愛されてほしい。いつかは誰かを救えるスポーツになってほしい。そう願っています。

なので牧田君にも頑張ってもらいたいです。

そして、彼を励みに私も頑張ろうと思います!

もし共感頂けましたら彼のクラファンへのご支援も宜しくお願いします。


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