こころは今日も旅に出る。
熊本地震の前震から4年経った日の朝も、後震から4年経った日の朝も、空には雲が一つもなくて、ただひたすら青かった。朝、空を見上げるのは、家で仕事をするようになったからかもしれない。
地震のあと、自分に何ができるのだろうと思い悩み、何を書いたらよいのかわからなくなったけれど、今もまた、同じように、もしかしたらあの時以上に、とまどっている。
でも、何かしら手を動かしてみようと考え、ふと旅について書いてみようと思った。海外にいる友人たちや旅先でお世話になった人たちと、連絡を取り合ったからかもしれない。
地震のあと、新幹線や飛行機がとまり、高速道路も不通になった。その後、交通網が復活しても、余震が続くなか、遠くへ行くことがためらわれた。
昨年、久しぶりに海外に行き、できれば今年もと思っていたけれど、しばらくは海外どころか、県外にすら行くことがむずかしい。
先日はじめて、海外と県外、離れて暮らす友人たちとオンラインで話した。一緒に何度も旅をした仲間。「次に旅をするならどこに行く?」という話題に、「ギリシャに行きたい」とわたしは言った。
ギリシャに憧れたのは、子どものころに読んだ本の影響だ。大人になって念願かなって訪れて以来、すっかり好きになって何度か旅をした。
星占いの星座は、ギリシャ神話に由来している。わたしは、「旅を愛する」双子座。双子座は、知恵の神ヘルメスの星座だ。ヘルメスは翼のはえた靴を履き、神々のメッセンジャーとして、世界を自在に飛び回る。わたしは自分が双子座であることを気に入っている。
いま世界はめざましく変化し、家にいながら遠く離れた友だちと、乱れることのない音声で会話できる。オンラインの良さを知ったうえで、リアルの価値を感じる。再び旅ができるようになったとき、それはきっと今までとはちがうものになるのだろう。
実際に旅に出るのは、もう少し先になりそうだ。いまは写真や本や映画やネットや、いろんなものの力を借りて、旅の気分を味わおう。翼のはえた靴のように、こころに翼をつけて、旅に出よう。
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