在外公館派遣員:2次試験、日本語面接の巻
在外公館派遣員試験の1次筆記試験を無事合格すると、次は日本語と外国語の面接試験が待ち構える。
▼▼1次試験の様子は以下の記事をどうぞ▼▼
ユニクロばんざい
2次の面接試験は、指定された日時に外務省内で行われた。
平日の午後を指定されたので、私は会社の午後休をとって面接に向かった。
私の会社は服装が基本オフィスカジュアルだったため、スーツを着ているとさすがに浮く。「これから転職の面談ですけど、何か!」と言っているようなものだ。
仕方なく愛用のユニクロセレクション(仕事服の8割ユニクロかも)から、グレーのアンクルクロップドパンツに、白のインナー、同系色のまたもやユニクロのジャケットを合わせた。スーツではないけれど、それっぽくなった。ザ・無難。ユニクロさまさまである。
会場に到着すると、待合室に通された。暇なので周りを観察してみる。
応募者は20代の若者が多数を占めており、現役大学生や新卒も多いため、彼らは就活本のお手本に出てきそうな、ばっちりリクルートスーツでキメていた。
社会人組と思われる割合も一定数いたが、全身ユニクロでキメていたのは私くらいだったかもしれない。ユニクロ最高!
順番に名前を呼ばれて、面接会場に案内された。
日本語個人面接
面接官は4~5人だっただろうか。真ん中にボスと思われる人が座っていた。
まず簡単な自己紹介と応募動機を聞かれた。移動の電車内で読み直した自分の応募書類の内容を反芻しながら、無難にまとめる。
次に趣味について聞かれた。
私は大学からブラジル音楽をやっており、就活の面接でもほぼ100%の確率で趣味欄に書いた「サンバ」について聞かれる。
なんなら、社会人1年目に興味本位で行った街コンでも、全テーブルでその話題になった。段々説明するのも面倒になるし、突っ込まれるのが嫌なら、書かなきゃいいだけの話なのだが、場を温めるにはけっこう使えるネタだったりする。
場が和やかな雰囲気になったところで、別の面接官に「これまでの経験で学んだ自分の強み」について聞かれた。
事前の説明会や調べた情報では、「派遣員という仕事は決して華やかな仕事ではない、むしろ裏方の仕事だ」という話をよく聞いていたので、
「自分は学生時代からサブの役回りが多く、人をサポートをするのが得意だし、好きだ」という話をしたら、うんうん、と面接官はうなずいた。
戦略丸出しの回答だが、手ごたえあり。
そして最後に沈黙を破ってボス登場。
他の面接官はにこにこと和やかでフランクな印象だったが、ボスは完全に無表情。これはラスボスに間違いない。
ボスは私の応募書類を見ながら、
「アフリカは希望しないって書いてますけど、どうしてですか?」
核心をついてきた。
通常、派遣員の募集は言語ごとに分かれているが、勤務公館は自分では選べない。
ただ、一応応募書類には第3希望まで行きたい公館を書くことはできる。そしてその下に「希望以外の公館でも行く意思はありますか?」というような趣旨の質問が続く。
私は①フランス②スイス、そして③モーリシャスの順に希望を出した。
そして、家族の賛同を得られないので、希望以外の公館はなるべく行きたくない、と書いていた。
絶対になんとしてでも派遣員になりたい!という場合は、「どこでも喜んで行きます!!」とアピールした方が採用してもらいやすいのは間違いない。
ただ、私は海外ならどこでも行きたい!というよりは、フランスに行きたい!という気持ちの方が強かった。
アフリカも行ってみたら、絶対面白くて貴重な経験になるはずだし、もし私がまだ在学中でハタチそこらであれば、どこでも行きます!と答えていたと思う。
ただ、20代後半で今後の人生プランなどを考えて、将来的にフランスに戻るという目標の途上で、アフリカの2年はちょっと長いな、と感じていた。
また、会社を辞めてフランスに行く!と言い出す、アラサーのひとり娘を、心配しながらも渋々応援してくれていた家族も、行き先がアフリカとなると事情が変わってくる。
このような理由を正直に面接官に伝えた。
すると、ボスは
「じゃあ、モーリシャスならいいんですか。アフリカって言っても他の募集公館は治安悪い国じゃないですよ。」
とちょっぴり意地悪な表情でこちらを見た。やるなボス!
ただ、こちらもそういう質問がくることは想定済み。
「外務省の危険度マップで一定の数値以上の国は希望から外しました。モーリシャスは危険度が低いようですので、モーリシャスなら行きます。」
と淡々とロジカルに答えたら、ボスもふむ、と納得したようだった。
もしこれで落とされても、当面の仕事はあるし、また次回の募集だったり、ワーホリだったり、別の手段を考えればよい、と思っていたので、緊張もせず、ほぼ言いたいことを伝えられたような気がする。
そんな感じで、日本語面談は終了した。
もしあの時、「アフリカでもどこでも行きます!」と言っていたら、本当にアフリカのどこかの公館に行っていたかもしれない。もしかすると、気に入って今も住みついているかもしれない。
結果から言うと、私はフランスではなくスイスの公館に派遣された。
スイスの生活が予想以上に気に入ったので、これはこれで大正解だったな、と思うけれど、フランスに行っていたら、また違う人生になっていたかもしれない。
ほんと人生は、各場面での選択によって、何が起こるかわからないなぁ、と思う今日この頃である。
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また無駄に長くなったので、次回へ続きます。
次回はいよいよ外国語面談の巻!
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