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フランスのアパートでネズミに遭遇した話

以前、住んでいたシェアアパートでネズミに遭遇したことがある。

そう、ネズミ。フランス語だとsouris(スリ)。

目があった瞬間にお互い「ぎゃっ!」って飛び跳ねた。まるでマンガみたいに、ヒトとネズミがまったく同じリアクションだった。

ネズミはぴゃーっとソファの後ろに入り込んでしまい、私もベッドの毛布にくるまって様子をうかがった。部屋の主は私だというのに、すっかりこの小さな同居人に完全に怯えていた。

そそそ、となぜかつま先立ちで部屋を出て、リビングでくつろぐシェアメイトに、

「ネ、ネズミが出たんだけど…!」

と訴えたら、

「あー最近出るのよ!週末に罠仕掛けるつもりだから、そのうちいなくなると思うよ。」

と、しれーっと言われた。

どうやらキッチンで小麦粉の袋が破られていた事件を皮切りに、リビングでも目撃情報があったようだ。
リビング、キッチン、寝室に住みつくネズミ。いいご身分である。

「ネズミは攻撃してこないから大丈夫よ。ほら、ミッキーやレミーと同じ。あはは!」

と、シェアメイトたちは自分の寝室には住みついていないからか、気楽なものである。

みんなの人気者、ミッキーマウス。
ラタトゥイユが得意料理、天才シェフレミー。

14世紀ヨーロッパで猛威をふるったペストはネズミが感染源のひとつだったという。
日本ではなかなかお目にかかる機会はなかったけれど、築100年なんてザラなフランスの古い建物では、よくネズミが出没する。
数百年以上にわたり、ヒトとネズミは長い戦いを繰り広げていた。

そんなネズミの何がどうなって、世界的にもてはやされるキャラクターに変貌を遂げたのか。謎である。


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