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在外公館派遣員:紙がふやけて、芸術的センスが発揮された筆記試験(後編)

在外公館派遣員の筆記試験を受けたときのお話です。
前編はこちら👇

出題内容はあやふやな記憶をたどりながらなので、細かい部分は多少相違や抜けがあるかもしれませんが、ご了承ください。

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ドキドキしながら、試験会場の部屋のドアを開けると、ちょうど試験が始まったところだった。
みんなちゃんと時間内に辿り着けている(当たり前)。完全にスタートラインから負けた気分である。

試験官の人に平謝りしつつ、席に案内してもらった。
フランス語の受験者はおそらく30人に満たない程度だったと思う。
他の都市の会場もあるので、全体の受験者数はわからないが、英語に比べれば少ない。マイナー言語だと受験者1~2名という場合もある。

筆記試験は語学試験、一般常識、作文、適性検査の4つのパートに分かれる。

語学試験

事前にネットで調べた情報によると、英語はTOEICのようなマークシート形式で難易度も比較的難しくないので、語学試験では差がつかないらしい。

一方、フランス語を含むその他言語は筆記。
少しテクニカルな語彙問題(人材:main d'oeuvreみたいな)や前置詞などの文法問題。そしてメインと思われる、5行くらいの日仏&仏日翻訳がそれぞれ2~3題ずつあった。

これが、自分でもびっくりするくらい全くできなかった。
特に和訳は1問ほぼ白紙。

わかりそうでわからない謎の単語たちのせいで、一歩間違えると、「今日は駅へ行きました」が「今日は火星でスケートしました」くらいの内容の改変になりそうな勢い(実際はもっと複雑な文章だけど)だったので、「こいつ何もわかってなくて誤魔化しているな!」というのがバレるよりは、「時間が足りなかったんだな」と思わせる白紙の方がマシだろう、と考え、何も書かずに出した。意外と戦略的。

遅刻のせいで走ってきたので、手汗で回答用紙はフニャフニャになった。
こんなフランス語じゃ全然ダメだな、と心もフニャフニャになった。

一般常識問題

こちらはSPIのような出題内容のマークシート形式だった。
基本的にあまり常識がないし、簡単な問題から難しい問題まで色々あったが、語学試験よりよっぽどよくできた。
問題数が多くて、途中でタイムオーバーだったが、たぶん最後まで解ける人の方が少ないと思う。

作文

メインは日本語の作文で、「これまでの人生で挫折した経験とそれをどう乗り越えたか」というテーマだった。
学生時代の部活と仕事のエピソードを絡めて、いい感じにまとめて書いた。

その他には、志望公館とその理由を1文で書け、とかその公館で勤務した場合の1日の仕事を想像して書け、など。

私はフランスの大使館が第1希望だったので、朝パリでメトロが止まったり、フランス人現地職員が言うこと全然聞かない、とかフランスあるあるを織り交ぜながら、妄想赴くままに書いた。

もはや語学試験が出来なさ過ぎて吹っ切れていたので、作文は好きなように自由にちょっとネタも織り交ぜつつ書いた。

適性検査

最後は心理テストのような設問。

8つの四角の枠の中に、〇や棒など記号が1つずつ配置されているので、それに自由に線を加えてイラストを完成させる。
そして最後に、最初に手をつけたイラストと最後に完成させたイラストをそれぞれ記入する。

有り余るイマジネーションを発揮して、自分でもびっくりするくらいスラスラとイラストを完成させることができた。

●が中心にポツンと配置された設問は、さらに●をたくさん付け加えてイチゴ畑を描いたし、縦線のみの設問は、今朝走り抜けた光景を思い出して、ビル群を描いた。

絵は得意じゃないが、正直このパートが1番楽しかったし、自分天才だな、と思った。フランス語は全然できなかったけど!
この心理テストで何がわかるのかはいまだに謎である。

そんなこんなで、無事試験は終了。

「語学を活かした業務」なのに語学試験が1番できなくて、心理テストが1番できた。こりゃダメだな、フランス語もっとちゃんと勉強しよう、と思い、帰りに本屋さんに寄って仏検参考書を買って帰った。

そして、忘れた頃に、筆記試験合格通知と2次試験の案内が家に届いた。

まさか、こんなんで受かるなんて!
私が1番びっくりしている。

遅刻したし、肝心の語学試験はボロボロで、紙はフニャフニャにふやけたけど、芸術的センスが発揮された天才的イラストのお陰で受かったのかもしれないし、そうでもないかもしれない。

人生何があるか本当にわからないものである。





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