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うつろいの場 −夏− を終えて 〜夏の訪れ、夏の音連れ〜(京都のお寺・長慶院にて7月11日に開催)

7月11日、「うつろい」という場を開きました。和ろうそくの中村ローソクの蝋燭職人・田川さんと臨済宗妙心寺派・長慶院のご住職さんにお話いただき、坐禅をおこないました。

うつろい −和ろうそくと共にすごす夜の坐禅会−
臨済宗妙心寺派 長慶院

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集まったのは、たそがれ時。少しずつ暗くなっていく空の様子を部屋に差し込んでくる光のうつろいを感じました。

ジジッ・・・ジジッ・・・ジーーーー

途中から、蝉が鳴き始めました。夏がやってきました。

「うつろい」という言葉は、
古語の「うつろふ(移ろう)」という言葉からお借りしました。

物事は滞ることなく、すべからく移り変わります。

それは、季節も、自然も、社会も、私たちも、です。

昨日の会は、和蝋燭のゆらめく火を前にして、
ただ坐り、うつろいを感じる時間となりました。

音がやってくるということ

昨日の長慶院のお坊さんの法話の中で、音についての話がありました。

一字一句、正確ではないのですが、このように話されていました。

坐っている(坐禅をしている)と、だんだんと音が聴こえてきます。最初はいろいろ雑念がわいてきますが、息を数えているうちに、周りの音が気になってくるんです。こころを静めていくと起こっている音がやってくるようになります。

とっても共感しました。

そうなんですよね。音がやってくるという感覚。

視覚的なものごとの変化を見ることによって、私たちは季節の変化を感じることができます。一方で、「音」もまた、うつろいを感じる大切な要素だと思います。

耳が開かれていくという感じでしょうか。それは何か起こっていることを聴こうとすることだけではなく、すでに起こっていることと自分自身を同化させていくようなものかもしれないなぁと思います。

昨日は、坐禅をしているお寺の本堂に面したお庭から、名前も知らぬ虫の声が、そして、蝉の声が聴こえていました。

季節の訪れは、音連れでもあります。

音を聞いてみることで、季節や自然の移り変わりに調和してみようとすると、驚くようなゆたかな世界が広がっているのではないかなぁ。

諸行無常の響きと私たちの心

お坊さんのお話でもう一つ、なるほど、と思うことがありました。それはインドでの諸行無常と日本での諸行無常のニュアンスの違いについてです。

諸行無常という言葉は、「あらゆるものは移り変わる」ということを言い表した言葉です。お坊さんの小坂さんは、インドと日本の間で、言葉に込められるニュアンスに違いを感じているとのことでした。

その違いとは、「心情が入るか否か」です。

インドの方は、結構、ニュートラルな意味合いとして語られるようです。「あらゆるものは移り変わるよね」と。日本の方は、「あらゆるものは移り変わるよね(そこに風情がある / 心が動く)という心を伴うようなニュアンスが入ってくるのだとか。

日本は、奈良時代、平安時代から、和歌をはじめとして、自然について詠ったものがとっても多いですよね。そこに、自然を愛でるというニュアンスが入ってくるのは必然的なことかなと思います。

「草木国土悉皆成仏」という哲学者の梅原猛さんの言葉(造語)を借りると、ありとあらゆるもの・人・コト・さらには無機質な物に対しても、命が宿るという認識の仕方は私たちの物の捉え方を象徴しているのではないかと(雑に)思います。(※このあたりは、文化研究をしている友達たちに聞いてみたい。)

そういえば諸行無常という言葉を聞くと、こちらの歌を思い出します。古典や国語の教科書で習いましたね。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。

『平家物語』第一巻「祇園精舎」より

みなさんの周りには、どのような音が起こっているでしょうか。

みなさんの周りに起こっている季節の音連れを、どうぞ大事にされてくださいね。

うつろいの場は、つづく

「うつろい」は、わたしたち文化の言葉です。
うつろいを感じることは、全国各地でできます。

私の願いとしては、うつろいの場が、全国の寺社仏閣でや文化施設で、さらには山・川・海などの自然環境で、起こっていってほしいなぁと思っています。

都会も田舎も関係なく、うつろいを感じることができます。むしろ田舎の方がうつろいを感じるのに適しているのではないだろうか?と思うくらいです。

私が開くというよりも、地球・自然・季節・私たちの心のうつろいはすでに起こっているものなので、すでに起こっていることを何よりも大事にしながら、「うつろいの場」が増えていったらいいなぁと思う次第です。

その過程で、うつろうことを大事にする うつろいびと の方々とも、たのしくつながっていけたらと思います。

今回、ご参加いただいた皆さまは、
お越しいただき、ありがとうございました。

秋のうつろいの場も実施しました

秋にも行いました。秋には特に「身体で体感することの大事さ」を感じました。うつろいの感覚を改めて言葉にすると、自然と同期することで起こっていく身体感覚の変化だと言語化することができました。

オンラインのうつろいの場のご案内

2020年12月8日、オンラインのうつろいの場「月待講」を始めました。「自分自身がどのような変化の只中を生き、何を想い、何を感じているのか」を集った方々と分かち合う定期的な会です。

みなさんの創造的な人生のリズムづくりをお手伝いする習慣の流れを作ります。興味がある方は、以下に月待講について書いた Note 記事を書きましたので、ご覧ください。

では!





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