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「皐月の精進料理」 2015年5月

風薫る五月となりました。たからの庭も緑一色で、鶯も今は朗々とさえずっています。路地のシャガも満開です。
食材もがらっと変わってきました。山菜もいよいよ終盤となり、新ものの牛蒡や玉ねぎ、天豆、きぬさやなどが旬を迎えています。
今月は新玉ねぎのさっぱりした澄まし汁や小豆で作った豆腐、、新牛蒡に包丁を入れて銭に見立てた大銭煮、カラフルなプチトマトを使ってちょっとした口代わりに便利な甘酢漬けなどを作りました。

1.新玉葱の澄まし 2.小倉豆腐 3.新牛蒡の大銭煮と焼万願寺 4.赤茄子の生姜酢漬け


1.新玉葱の澄まし
新玉葱は辛みも少なく、火を入れると本当に甘くて美味しいですよね。半分に切って、丸ごとお鍋でコトコトとするだけのお澄まし。クリームチーズやサワークリームを乗せて味の変化を楽しんでください。

材料:新玉葱各1/2個、昆布出汁4C、淡口・酒各・味醂大1、万能葱1本、サワークリーム

1)玉葱は皮をむいて繊維に沿って半分に切ります。
2)鍋にたまねぎを敷き詰めて出汁を張り調味料も加えて、火にかけます。この料理は、調味料も一緒に一番最初から入れてしまって大丈夫です。

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3)沸騰後、15分ほどでやわらかくなるので、必ず味をみて、味が足りないようなら塩で調整します。塩は玉葱の甘さを引き立てるためなつもりで控えめに・・・が肝心ですよ。
4)お椀に盛り付け、天にサワークリームを乗せ、小口にきった万能葱を散らして召し上がってください。


2.小倉豆腐
小豆はあんこ以外にも様々なお料理で使われます・・・という見本にご紹介します。味わいも重厚感があり、おもてなし料理にぴったりです。それでいてミキサーでぱぱっと作れてしまうのでとっても便利な一品です。レパートリーに入れてくださいね。生豆はほしい量の半量を目安にしてください。もし余ってしまったらあんこにどうぞ。

材料:流し缶小1つ分
ゆで小豆300g、牛乳・生クリーム・昆布出汁各70cc、塩少々、粉ゼラチン8g、粉寒天3g
下ろし生姜小1、薩摩芋各1枚、あげ油
出汁醤油(出汁1:醤油1)

1)小豆150gはひたひたのお水でワイン色になるまでゆで、茹で汁は捨てます。これを渋きりといいます。次にたっぷりなお水を新たに注ぎ、豆が煮崩れるまで大体1時間程度煮ていきます。煮る時間は豆の中の水分で違ってきます。つまり新豆のほうが早く煮上がるわけです。
2)1をミキサーにかけます。日本料理ではさらに裏ごしにかけますが、ミキサーまでで全然問題ありません。

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3)出汁70ccに粉寒天をいれ混ぜてから牛乳と生クリーム、塩を入れて沸かして、ふやかしたゼラチンと2を加えてよく混ぜてから流し缶に入れ、冷水で固めます。

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寒天は沸騰させないときれいに固まりませんから、しっかりと沸騰させてください。逆にゼラチンは温度を上げると凝固力が弱まってしまいますので、火を止めてから加えます。また、寒天は常温でも溶けませんが、舌触りがその分固いです。一方でゼラチンは舌触りは滑らかですが、25度で溶けてしまいます。なので、いいところを生かすため、両方使用しました。
4)3が固まったら適当な大きさに切り、出し醤油を張って、おろし生姜、揚げたサツマイモのスライスを乗せて召し上がってください。出汁醤油は昆布出汁に醤油を加えただけです。ポン酢でも美味しく召し上がっていただけます。上に乗せる野菜は薩摩芋のほかに茹でて小口に切ったオクラやプチトマト、あるいは茹で小豆、茹で枝豆などでもいいですね。


3.新牛蒡の大銭煮と焼万願寺
新牛蒡の季節です。キンピラや煮物というのもありですが、たまにはこんな遊び心ある料理もいいのではないでしょうか。これは江戸懐石で習ってから、よく茶事の八寸などでも登場させている料理です。

材料:牛蒡1/2本、出汁昆布の残り適宜
昆布出汁1/2C、砂糖大1、醤油小2、酒大2
万願寺唐辛子各1/2本、サラダ油適宜、塩適宜

1)牛蒡はたわしでよく洗って、2mm間隔で包丁目を10個入れ、10個目で切り落とします。

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2)米のとぎ汁でゆで、やわらかくなるまでコトコトと茹で、洗わずにそのまま煮汁に移し、10分程度煮ます。煮あがり1分前くらいに、細く切った昆布を入れます。

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3)2をゆっくりと冷ましてから牛蒡に楊枝などで穴をあけ、出汁昆布を通します。これがちょっと大変です。しっかりと穴を空けておくことが肝心です。
穴が通ったら両サイドを結んで留め、3cmくらいで切ります。

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4)万願寺はヘタを取り、縦1/2に切って種をぬき、金串を並行にうってから油をぬって直火で炙り、熱いうちに串を抜き、塩を振っておきます。

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5)器に大銭煮と焼き万願寺を盛り付けて、召し上がってください。


4.赤茄子の生姜酢漬け
最近はカラフルなトマトが沢山出回っています。生姜が効いた甘酢たれはさしずめ和のピクルスです。暑くて食欲のないときにもぴったりです。1週間程度は持ちますので、これからの季節の常備菜としてお役立てください、メイソンジャーなどに入れてお土産にも喜ばれますよ。

材料:プチトマト30個程度、生姜1かけ
砂糖・米酢各1/4カップ、出汁大1、塩小1/4

1)プチトマトは洗って、ヘタを落とし、熱湯に数秒おとしてから、すぐに冷水につけて皮をむきます。熱湯にはあまり長く漬けてはいけません。形が崩れてどろどろになってしまいます。また必ずそばに冷水を用意してから始めてくださいね。料理は段取りが肝心です。

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2)砂糖と米酢、出汁、塩を火にかけ、かき混ぜて砂糖が溶けたら火からおろし、冷ましておく。これもあまり長く煮てしまうと酢が飛んでしまいます。砂糖が溶ければOKですので、必ずかき混ぜてくださいね。意外と沈殿しているものです。
3)2に1を入れて最低1時間は冷蔵庫で休ませる。一昼夜寝かせると味がよくなじんで美味しいですよ。

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レシピ&原稿:温石会 入江亮子(北鎌倉たからの庭<旬を楽しむ精進料理> 5月の献立より)

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