コーダ

レトロなものは好きだろうか?私はというと、無類のレトロ好きだ。どのくらいかというと、ミーティングで暗すぎる画角になってでも部屋の電気をアンティーク風の電球にしているほどだ。(何度も変えろと言われているが)

某日、私は福岡に(無理矢理口実を作り)行った。野暮用を済まし、電車賃を浮かすために歩いていると、昭和を感じるようなレトロな建物がふと私の目に映った。よく見ると映画館ではないか!しかも、今まさに私が気になっていたコーダが上映されるではないか!!すぐさま、名作に出ていてもおかしくないラウンジをくぐり抜け、席に着いた。余談ではあるが、ほぼ貸切状態で映画にのめり込みまくった。

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と、完全に映画館レポになっていたが、もし福岡へ足を運ぶ機会のある人はぜひ行ってみてほしい。リバイバル上映も盛んで、あの映画をあの時のようなスクリーンでもう一度再現できること間違いなしだ。

さて、2021年度アカデミー賞はほとんどの人はどの作品が何かの賞を受賞したというよりもウィルスミスが妻を侮辱した司会者を殴ったことの方が印象的だろう。実はコーダは本年度の最も良い作品(所謂MVPみたいな)に与えられる作品賞を受賞している。実際に見てみると、作品賞の名に恥じることがないよい作品だった。耳の聞こえない人達の苦悩そして家族の愛についてこの作品以上に謳われることはないだろう。

あらすじ

耳が不自由の家族の一家にいる高校生の歌が好きなルビーは唯一の健聴者であった。一家は彼女のサポートでなんとか生活を行なっていた。ある日、彼女に高校の先生に歌の才能を見出され、名門音大の進学を勧められる。しかし、彼女がいなければ家族は仕事ができないため、コーダは夢と現実の板挟みに悩む。歌か家族か。彼女が下した決断は。昨今の障がい者への理解が非常に進む一作である。


この作品は私の友人である Mに送りたい作品だ。


本作品のいいところは何と言っても、家族愛だろう。この作品の主人公であるルビーの家族は皆耳が聞こえない。そのため、耳の聞こえない家族のために手話で翻訳するヤングケアラーとして生きている。周りから、耳が聞こえない一家と馬鹿にされる毎日だったが、音楽と出会いさらにはよき教師のもとルビーの歌の才能は開花していく。だが、家族は耳が聞こえないため歌などわからない。それがわかる象徴的なシーンとして音楽祭でルビーが歌唱しているシーンだ。最初、ルビーの声が聞こえるのだが、場面が変わりルビーの父の視点に切り替わるとルビーの歌声がなくなり、耳の聞こえない父は観衆の顔を見てのみでしかルビーの歌を評価できない。そのため、ルビーの家族は彼女の才能を認識ができていなかったし、ルビーがいなければ生活ができないことから、音楽大学進学を反対していた。しかし、彼女の熱心な努力と周りの反応から、ルビーからの自立を決めたのだ。この家族に対する愛と、耳に障害を持つ家族との関わりを表現した素晴らしい作品だ。ぜひ見てほしい、そして最初、主人公に脱走しやがったなど言って、は?ゴミかこいつと思った先生。誠に申し訳ありません。何回も遅刻する主人公に怒りはすものの、再起のチャンスを与えていたし、緊張して上手く歌を歌えなかった時に試験をやり直すためにわざと間違えていたところなど、押しポイントが多すぎました。
結論、先生を推すためにコードを見よう

では、最後にこの映画で好きだったセリフを一言
「行け」
ルビーの父が言ったセリフだ。

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