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【イベントレポート_vol.2】 「Nagoya Access Point Project」キックオフイベント! 〜 Sustainability 関連スタートアップのパネルセッション〜

こんにちは!Plug and Play Japan Mobility Program ManagerのShoです。

先日、2021年4月7日に「Nagoya Access Point Project(以下、「NAPP」)」 Kick-offイベントを開催いたしました。本イベントは2部構成で実施し、前半は、 業界の垣根を超えて中部圏を代表する産官学のキープレーヤーにお集まりいただき、「Mobilityー移動ー」を起点としたイノベーション創出、そしてこれからの取り組みについて思いを語っていただきました。こちらについては前回のnoteでご紹介しましたので、そちらを読んでいただければと思います。

前回のnoteはこちらからどうぞ!
https://note.com/shoishida/n/n18324f2f3de2

後半は、モビリティ領域でも大変重要である「サステナビリティ」をテーマに活動されている国内外のスタートアップにご登壇いただきました。今回のnoteでは、後半のダイジェストをご紹介していきたいと思います!

Plug and Play Japanのメッセージ〜Sustainabilityの重要性について〜

スタートアップピッチの前に、弊社Partner Success Managerの長谷川泰斗から今回のKickoff Eventのテーマである「Mobility x Sustainability」に関する背景をご紹介させていただきました。

長谷川泰斗(Partner Success Manager)
Sustainabilityに関する社会課題は1社だけで完結して解決できるものではない。弊社は、社会課題解決へ強い思いを持ちながら、そこに100%注力するスタートアップこそが社会に大きなインパクトになると信じている。
Mobility業界にも環境対策等が強く求められる中、弊社は、企業間コラボレーション、スタートアップを含めたイノベーションへの取り組みによりSustainableなモビリティ業界の実現を目指していきたい。

今、世界中でSustainability対策が注目されています。Sustainabilityへの取り組みは、やはり様々なステークホルダーによる協業によって解決策を導き出せると思います。NAPPは様々なステークホルダーを繋げるプロジェクトであるため、Sustainabilityが今回のNAPP Kick-offイベントにぴったりのテーマだと考え、Sustainabilityにフォーカスしているスタートアップの方々をお招きしました。

Sustainability スタートアップピッチ:

Sustainabilityというテーマに関連したプロダクト・サービスを提供する以下の国内外スタートアップにピッチしていただきました!

AZAPA株式会社
超小型モビリティのコンセプトカー「AZAPA-FDS Concept」を発表。デザインはAZAPAデザインセンターセンター長、根津孝太氏の手によるもので、動力源には水素を使う燃料電池車(FCV)を開発をしている。
https://www.azapa.co.jp/

株式会社エネコートテクノロジーズ
ペロブスカイト太陽電池の材料開発、モジュールの製品開発を行う。環境保護・自然エネルギーの有効利用を目指し、薄膜太陽電池でエネルギーの未来を創っている。
https://www.enecoat.com/

Opus 12
CO₂を化学物質や燃料にリサイクルする装置を開発。CO₂などの排出物を新しい化学商品にリサイクルをすることで、新しいリサイクルのビジネスを作り上げている。
https://www.opus-12.com/

CircularTree
サプライチェーンにおけるコンプライアンスマネジメントとCO2排出のトレーシングができるサービスを開発している。
https://circulartree.com/

株式会社名城ナノカーボン
カーボンナノチューブ合成技術の開発と単層カーボンナノチューブの提供を行う。アーク放電法を利用することにより、質の高さを維持しつつ、収量を確保することに成功。レアメタルの代替として透明導電膜が有望視されている。
https://www.meijo-nano.com/

スタートアップのピッチ詳細内容は、当日ご参加された方のみの特権とさせていただきます!今後のイベントでもスタートアップピッチを実施するので、ピッチにご関心がある方はぜひご参加くださいませ!

スタートアップパネル

株式会社エネコートテクノロジーズ代表取締役の加藤尚哉様と株式会社名城ナノカーボン代表取締役、名古屋大学未来創造機構客員准教授の橋本剛様にスタートアップパネルにご登壇いただきました。2社の共通点は、Sustainabilityに関連するプロダクトを作り、かつ、大学発スタートアップである点です。今回のパネルでは大学発スタートアップという観点から、起業秘話、プロダクト制作秘話、数々の苦労話についてお話を伺いました!

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モデレーターPlug and Play Japan 小林俊平(以下、「小林)」:
起業に至った背景を教えてください。

株式会社エネコートテクノロジーズ 加藤様(以下、「加藤様」):
自分は技術者ではなく、大学発のシーズを世に出すことを目的とした京都大学のベンチャー支援スキームを利用してこのスタートアップを立ち上げたんですね。きっかけは、たまたま、京都大学の若宮教授と同窓で近所に住んでいたという縁で一緒に会社を起こそうという話になりました(笑)。

株式会社名城ナノカーボン 橋本様(以下、「橋本様」):
自分も研究者ではなく、大学卒業後は三菱UFJ信託銀行に5年ほどいたのですが、当時ブームだったナノテク関連の技術でベンチャーを立ち上げたいとずっと考えていたんです。ナノテク関連でツテがなかったため、カーボンナノチューブの発見者である名城大学飯島教授に直接アポを取り、その2年後に共に名城ナノカーボンを立ち上げました。

小林:
技術者バックグラウンドを持って起業されたと想像していたんですが、全く予想外でした。大変面白い起業秘話ですね。大学発というバックグラウンドで良かった点、難しいと思った点はありますか?

加藤様:
大学発技術を世に出すという京都大学のスキームを活用したため起業しやすく、同時に、京都大学の知名度やネットワークを活用できた点がアドバンテージでしたね。逆に、大学発スタートアップあるあるなのですが、アカデミアとビジネスが完全に理解しあえない部分があって、難しいと感じたことは何度もあります。アカデミアは長期間かけて研究の成功を目指しますが、ビジネスは限られたタイムラインの中で成果を出すことを目的としています。今ではこのギャップに対しては半ば悟りの境地に達しています(笑)。

小林:
アカデミアとビジネスが完全に交わることが難しいとのことですが、アカデミアとビジネスの間でバランスを取るために工夫されたことはありますか?

加藤様:
大学発スタートアップの失敗事例を徹底的に洗い出して、その失敗例をしないよう心がけました。

橋本様:
大学からは、「金銭的支援は難しいが人とモノは支援する」と言ってもらい、大学施設を使わせてもらえたのはアドバンテージでした。ただ、弊社が立ち上がった2005年当時は、大学側もベンチャーを立ち上げるという発想や制度がなかったです。また、大学研究者の起業に対する興味が薄かったため、全ての事業やプロダクト開発を自分で行わなければならなかった部分は本当に苦労しました。でもこの経験によって、プロダクトに対する知識が深まり、営業に役立てることができたと思っています。

小林:
いろいろ苦労されたとのことですが、ビジネスをする上でこれだけは譲らないと守ってきたポイントはありますか?

橋本様:
手元のキャッシュを確保することだけを最重要視してきましたね。そうすれば何があっても会社は潰れないから(笑)。

小林:
大学発のスタートアップを増やすための各大学の取り組みが活発になってきていますが、どのような支援が必要だと思いますか?

加藤様:
ディープテックスタートアップとして、短期で結果が出にくいという課題があります。日々、自社のR&D部門の研究者が頭を悩ませながら開発を進めていますが、開発が成功しなければ会社を潰さないといけないのだろうかと不安に思うこともあります。資金調達してもらっている京都大学ベンチャーは結果を出すまで15 年間の猶予をくれていますが、そこまで長期間本当にサポートしてもらえるのかという不安もあります。いずれにせよ、ディープテックは短期で結果を出すことが難しい分野であるため、長期目線でのサポートが必要だと思いますね。

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橋本様:
加藤さんがおっしゃった通り、短期ではなく長期でしか結果を出せない難しい分野であるが、皆さんにはもっと気軽に、「迂闊に」ディープテック業界スタートアップに投資してほしいなと思います(笑)。

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小林:
プロダクトについて、今後どのような業界にフォーカスしていきたいと考えていますか?

加藤様:
小型デバイス向けに活用できるよう開発しています。それ以外にも、現在ゼロカーボンに向けた動きがあるため、再生エネルギー分野にも注力したいです。「水素」というキーワードがスタートアップピッチで話題に上がりましたが、水素を作る方法として電気分解があります。電気分解を太陽電気を使って発生させる使用方法も実現可能です。また、本日のテーマであるモビリティの分野では、車載電池を開発していきたいと考えています。

橋本様:
バッテリーと半導体の分野に注力しています。バッテリーに関して、現在急速充放電できないという課題がありますが、我々の伝導性の高いプロダクトを使うことで課題を解決できると考えています。半導体に関して、シリコン半導体は多額の設備投資が必要でエネルギー消費も激しいのですが、我々のカーボンナノチューブは、ペーストにして印刷技術を使って素子を作ることができます。この方法は、既存の半導体製造よりも低コストで低エネルギーで製造できるため、この技術を使ってIoT分野にも注力していきたいと思います。

大学の技術者ではなかった加藤様、橋本様が、それぞれ違う方法で大学へアプローチし、大学の技術を世に出すために起業したというストーリーは大変ユニークでした。これから起業したいと考えている方々にとっても有用なインサイトが多く含まれていると思います。

NAPPイベントに参加する価値とは

ここまで読んでいただき、少しでも面白いと感じていただけたら嬉しいです。このnoteでは、ダイジェストで内容をまとめてしまいましたが、イベント本番では上記の内容をさらに深堀りした内容を話されていました。次回でも深い話や本音トークを引き出していきたいと思います!
NAPPは、皆様に新規ビジネスに役立つ情報やスタートアップを理解するための情報をお届けするだけでなく、ビジネスに繋がる「仲間探し」のお手伝いもしたいと考えています。今回のイベントでは、イベント中にアンケートを取り、登壇者の皆様と希望された視聴者の方々をイベント後にお繋ぎさせていただきました。この取り組みによって、イノベーションを推し進めるための「仲間」と「仲間」をつなげることができたのなら幸いです。今後のイベントでもこのような「仲間」同士をお繋ぎする取り組みを行っていきます。イノベーションを起こしたいけれど何からすればいいかわからないという方はぜひ!次回イベントにご参加ください。

次回イベントのご案内

7月14日(水)10:00-12:30
「全国アカデミア発スタートアップ大集合!CENT Pitch 拡大版」

お申し込みサイト:https://peatix.com/event/1878019

CENT Pitchとは、中部圏のオープンイノベーション/スタートアップエコシステム醸成を目的とした名古屋大学主宰の月次開催ピッチイベントです。7月14日はPlug and Play Japanが共催させていただき、中部圏・他地域の大学発スタートアップにご登壇いただく予定です!
本イベントの最後のパネルで大学発スタートアップとしてのお話を橋本様、加藤様に伺いましたが、次回はさらに大学発スタートアップに焦点を絞っていきたいと思います!
スタートアップとの連携を通した新規事業開発に興味のある企業の皆様や、スタートアップ立ち上げに興味のある大学教員・学生の皆様必見です!どうぞお見逃しなく!

最後に

最後に、ご登壇いただきました皆様、本プロジェクト立ち上げにご尽力いただいた皆様に改めまして心より感謝申し上げます。引き続き、名古屋から中部圏、東海地域でイノベーションを加速できるよう尽力して参りますので、これからもどうぞPlug and Play Japanをよろしくお願いいたします。それでは、次回のNAPPイベントでお会いしましょう!

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イベント終了後に登壇者様、運営にご尽力いただいた方々、ご来場いただいた方々で集まってパシャリ!

Special thanks to:

<NAPP Kick-offイベントの準備・運営にご尽力いただいた方々>
名古屋大学 イノベーション戦略室 特任教授 藤原啓税様
一般社団法人中部経済連合会 産業振興部 部長 黒柳考司様
NAGOYA Innovators Garageの皆様

<ご登壇いただいた方々(登壇順)>
一般社団法人中部経済連合会 副会長兼産業・技術委員会委員長 佐々木眞一様
愛知県 経済産業局長 伊藤浩行様
名古屋市 経済局長 難波伸治様
名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 人材育成・情報発信部門 部門長・教授 河野廉様
株式会社三菱UFJ銀行 成長産業支援室 室長 剱持隆雄様
株式会社アイシン 先進開発部新価値創造推進室 主査 鈴木展生様
東京海上日動火災保険株式会社 本店営業第三部 部長兼鉄道運輸室長 坂本真様
AZAPA株式会社 事業企画部 平龍将様
株式会社エネコートテクノロジーズ 代表取締役 加藤尚哉様
CircularTree Co-Founder & CEO Gunther Walden様
株式会社名城ナノカーボン 代表取締役兼名古屋大学 未来創造機構 客員准教授 橋本剛様
Opus 12 Chief of Staff Heidi Lim様

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