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【伝統工芸とUX】味噌汁好きと考える汁椀作りをしてみたい

作り手として常日頃考えていることがあります。それは、もっとユーザーがものづくりに参加できる形に出来ないだろうか、ということです。

品質の良いものを作れば売れるという時代は過ぎ去り、現在のものづくりにおいて重要なことは、自分の持っている個性(世界観)を表現しながら、同時にユーザーにとって使い勝手(機能性)の良いものをいかに実現できるか、というところなのだと実感しています。

個性だけでは芸術品になり、機能性のみを追求すると他の製品との差別化がとても難しくなります。

個性と機能性の両立は、これからのものづくりにおいて最低限必要なことなのだと思います。

・・・と、作り手が置かれた立場を一丁前に考えてみましたが、最近、ふと「作り手の個性だけではなく、ユーザーの個性がダイレクトに反映されたものがあってもいいのではないか」と思うようになりました。

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これまでも機能性という点からユーザーの意見を抽出して、製品に反映するというパターンは数多くありました。

でも、ユーザーからの意見から機能性だけを抽出するのではなく、想いとか、感性とか、そういうものが反映された製品は少ないのではないかと思います(特に伝統工芸の世界では)。

例えば、味噌汁好きが味噌汁を飲むためだけに、機能性はもちろん、ユーザーが思う、かっこいいや可愛いを詰め込んだ汁椀があってもいいのじゃないかと思ったのです。

グループで想いを整理してみる

一番、ユーザーの意見がダイレクトに反映されるのは、オーダーメイドだと思います。まさに世界で一つだけのものづくりですから。

それはそれで、すごく面白い取り組みだと思います。

ただ、僕もそうなのですが、オーダーメイドで作れますよ、と言われても、そこまで具体的な想いや形って考えられないんですよね。「まあこんな感じでいいか」と自分の中で無難な選択をしてしまうのです。

自分の中で想いが整理されていないからだと思います。

喧々諤々_アートボード 1

学校でも職場でも、他の人の意見を聞いて、「ああ、自分はこう思っているのかも」と気づくことも多いと思います。だから、何人かで集まって喧々諤々やりながら、グループとして想いをまとめて、ものづくりで表現するという方法も、ありなんじゃないかなと感じています。

UX(ユーザーエクスペリエンス)

あえて「反映する」ではなく、「表現する」という言葉を選んだのは、ユーザー自身がものづくりに参加したという体験そのものに満足感を得て欲しいからです。僕がユーザーの意見を吸い上げるよりも、僕もグループの一員として参加したいし、ユーザーも僕と同じような立ち位置でいて欲しい、そんな想いがあります。

ものづくりへの参加から、出来上がった汁椀でみんなで味噌汁を飲む、というところまでできれば、満足感の高いUX(ユーザーエクスペリエンス)になるのではないかと思います。

もちろん、もの方法だと参加できる人数は限られます。いくつかグループで案を出してインターネットを使って人気投票するという方法もあるかもしれませんし、喧々諤々としている様子を事細かにコンテンツ化して、それを視聴することで得られる疑似体験を充実させるのも一つの方法かもしれません。

どのようにしたら多くの人を巻き込めるのか、より良いUXとなるのか、もう少し計画を練りこんでいく必要がありそうです。


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