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なんのために学ぶのか?

「自分の頭で考える」「人間とはどういう生きものなのかを学ぶ」
この2つこそ、著者の池上彰さんがこの本で読者に想定している大学生に伝えたかったことだと思います。
「自分の頭で考える」ためには本を読んだり映画を観たりしたら、それでおしまいではなく、その本や映画について誰かに伝えてみると意外と自分が理解できていないことがわかるというのです。これは社会人の自分にとっても胸の痛い話で、ある本を読んで感動したは良いものの、いざ誰かにその感動を伝えようとしてもうまく伝えられないということはこれまで何度も経験してきました。せっかく時間とお金を投資してインプットしたのであれば出来るだけそれが自分の血肉にしたいというのが本望かと思うので、誰かに伝えることを想定したアウトプットのためのインプットを心掛けていきたいものです。また、「自分の頭で考える」というのは、これだけ情報があふれ何が正しくて何を信じてどこに向かっていけば良いのか、日々迷子になってしまうことも多い現代において、学生、社会人問わず、今後ますます必要性の高まるものだと感じます。
「人間とはどういう生きものなのかを学ぶ」とはすぐに役立ちそうなスキルや知識ばかりを装着するのではなく、僕たち人間はどういうときにどんな行動を取るのかという本質を知ることでそれがいつかある出来事と結びつくというわけです。自分は社会人になってから、目先の仕事でより成果を出すために使えそうな即効性の高いスキル本などに飛びついてしまいがちでしたが、それを繰り返していても血にも肉にもなっていない感覚に襲われ、歴史や心理学の本にもようやく手が伸びるようになりました。これらはリベラルアーツと言われ昨今流行りを見せていますが、結局はこれも同じで流行っているから勉強してみようというスタンスでは(もちろん学ぶきっかけとしては素晴らしいと思いますし、かく言う自分も例に漏れません)、リベラルアーツを学び自分の頭で考えるというステップに進めなければ生きた知恵にはならないと感じます。最近、読書などを通して自分が興味のあるジャンルの知識を得ることの喜びはある程度分かってきたものの、それをいかにして実生活で使える生きた知恵に変換できるかに課題を感じていたので、個人的には大変学びの多い一冊でした。

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