雑考「サービスの本質」
皆さんは1人映画したことありますか?
私はしょっちゅう一人映画するんですけど、一人映画できない人の一番のハードルが、チケットを買うときじゃないですか?
例えば、「ドラえもん1枚ください」とか「名探偵コナン1枚ください」とか、この1枚っていうのが「こいつ1人で映画見に来てんだなぁ」ってスタッフに思われそうでちょっと緊張しますよね。
しかも、最近は映画のタイトルとか結構凝っているものが多くて、タイトル名を口にするのが恥ずかしいものもありますし。
ちなみに、今回私が見に行った映画のタイトルが「ヲタクに恋は難しい」(略称「ヲタ恋」)だったんですけど、行く前から「いや、ちょっとチケット買う時恥ずかしいなぁ」とか「『ヲタ恋、1枚ください』で通じるかなぁ」とかいろいろ考えてたんです。
半年ぶり位に映画館に入ったら、「あれなんか違うな」と思って、よく見たらリニューアルしてたんですよ。そこで衝撃だったのが、有人のチケット売り場が無くなって、チケット売り場が自動券売機になってたんです。空港でチェックインする時の機械みたいなのが何台もあったんです。
その時に、「これがサービスなんだな」と思ったんです。なんて一人映画しに来る人には優しいんだろう、と思って。
一人映画しに来る人にとってストレスなのは、冒頭で書いたように、スタッフの人にチケットのタイトルと「1名です」って伝えることだと思うんです。それが自動券売機によって無くなるんです。
これまで一人映画する時にそういうのが嫌で来なかった人たちが、この機械によってハードルが下がって来やすくなりますよね。
こういう、人がちょっと嫌だなぁとか、ちょっとこれストレスだなぁとか、自分にはハードル高いなぁと思っているものを取り除いてあげたり、背中を押してあげることが本当のサービスなんだなぁって、映画館の自動券売機を見て感じました。
逆に、新しい技術やビジネスを生み出すときに、それができることによって人の行動はどう変わるんだろうということを意識するのってすごく大事だと思いました。
たまたま今日見た映画の最初の部分で佐藤二郎さんが話していたんですけど、
女子ゴルファーって最近すごく増えたじゃないですか。それはゴルフ場で乗るカートができたからと言っていて、それがあることでゴルフ場で歩いたりとか重いケースを持ったりとかしなくてもよくなって、女性もゴルフをしやすくなったって言っていたんです。
それで女性ゴルファーが増えるとどういうことが起きるかというと、これまであんまりおじさんたちはこだわってなかったゴルフウェアみたいなそういうファッション的な要素にビジネスチャンスが生まれるってことを言っていました。
何かのサービスや技術が生まれたときに、ただ便利になったって言うんじゃなくて、それが生まれたことによって人の行動がどう変わるかっていうのを考えるのが新たなサービスやビジネスを考えるうえで大事だなぁって思いました。
P.S.
映画「ヲタクに恋は難しい」。菜々緒さんの再現度がヤバめでした。原作から飛び出してきたかと思った…