読書感想文「現代語訳 学問のすすめ」

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」という一文があまりにも有名な福沢諭吉の著書ですが、僕がこの本を読んだ時に印象に残っている箇所があります。

なぜ、法は作られるのか

その箇所ですが、以下の文章です。

「国民の徳の水準が落ちて、より無学になることがあったら、政府の法律もいっそう厳重になるだろう。もし反対に、国民がみな学問を志して物事の筋道を知って、文明を身につけるようになれば、法律もまた寛容になっていくだろう。法律が厳しかったり寛容だったりするのは、ただ国民に徳があるかないかによって変わってくるものなのである。」

国民が学ぶことをせずにいれば、善悪の基準や物事の道理が分からず、世の中は秩序が保てなくなってしまいます。それを正すために、政府は法律を厳しくしていかざるを得ません。ですが、学ぶことで国民の徳が高まれば、秩序は保たれ、法律は最低限のものになっていきます。

この箇所を読んだとき、法律というものがどうして作られていくのかの一端に触れた気がしました。

組織の生産性の低下も同じ理屈

このことは、国家の法律に限らず、組織にも当てはまることだと思います。

なにか不祥事や問題が起きると、それを監視する部門や検査する作業が追加されます。不良品が出ないようにしたり、仕事上のミスが起きないように確認する作業は大切です。しかし、それが過剰になっているケースもあるのではないでしょうか?

本当に必要なのは監視や検査ではなく、その仕事や作業自体を見直すこと、作業の目的について知ることなのではないでしょうか?

そもそも、監視したり検査したりするのにも人件費等のコストがかかっています。どうせコストがかかるなら、社員やメンバーの教育に投資し、課題を発見・解決する能力を鍛えるほうが生産的だと思います。

学ぶことの大切さに気づかせてくれる不朽の名著。皆さんも是非ご一読を。