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ビジネスを哲学する|14. 気分って何だろう?

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目的はモチベーションよりも長く持続する。

だから、目的はあるのにモチベーションがないという状態が生じてしまう。

組織でこの状態が生じたらどうなるだろう?

共通の目的はあるのに、メンバーのモチベーションがなくなってしまっている。

これはとても苦しい状態ではないだろうか。

共通の目的があるので、各メンバーのモチベーションがあることは見込まれている。だから、同じことをするという約束は、〈慣性〉によって続いていく。そうすると、ただ同じ約束をしないだけでなく、わざわざ「やめたい」と言わなければいけなくなる。

そこでは、目的とモチベーションがごっちゃにされている。お互い、相手に目的があれば、モチベーションもあるだろうと見込んでしまっている。

モチベーションがあることを見込まれているなか、「やめたい」とは言いにくい。

「目的があるのだからモチベーションもあるに決まっている。やめたくなるのは気力がないからだ。あるいは何かが嫌になったからだ。」

そう思われているところで「やめたい」と言えば、「気力がない」「何かが嫌になった」と発表するようなものだ。つまり、「やりたい気分じゃなくなった」と発表するようなものだ。

けれども、必ずしもそうではない。やりたい気分じゃなくなったわけでもないのに、モチベーションがなくなるということはありうる。

モチベーションは、目的に向かうために必要な原動力だ。それは楽しみだったりお金だったりする。それがなくなれば、モチベーションはなくなる。

モチベーションは気分ではないのだ。

気分は、約束を果たすことの外側にある。約束を果たそうとするとき、気力があるかどうか(たとえばそのとき元気かどうか)、何かが嫌になっていないか(たとえばほかのメンバーが気に入らなくないか)、そういったことは、約束を果たすことそれ自体から出てくる事柄ではない。

それに対して、モチベーションは、約束を果たすことの内側にある。約束を果たそうとすることがどれだけ楽しいか、約束を果たすとどれだけお金がもらえるか、そういったことは、約束を果たすことそれ自体から出てくる。

モチベーションは目的とは異なる。モチベーションは気分とも異なる。この区別をはっきりさせておかないと、苦しい状態に陥ってしまう。

この区別をはっきりさせたうえで、できることなら、モチベーションを維持していきたい。

組織であれば、お互いのモチベーションを維持させていきたい。

さて、どうすればモチベーションを維持できるだろう?

 つづく

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