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監督 第4話:嫌気

大部屋に住むパリの若者たち、彼らには、同じ部屋に暮らしているということ以外、何の共通点もないようにみえる。

けれども、彼らには〈無目的〉という共通点があった。

日本人の若者も、目的があってパリにいるわけではない。

つまり彼も、〈無目的サークル〉の立派な一員だったわけだ。

ただ一つ、彼が違ったのは、その〈無目的〉に嫌気がさしてきているという点だった。

大部屋の〈無目的〉に浸りはじめた頃、それは解放的に感じられた。

それでも、そこには一抹の違和感が紛れていた。

その違和感が、いまや得体の知れない嫌気となり、彼の胸を重たくしているのだった。

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