VPSネイティブな都市の実現へ~XRハッカソンの裏側~
街そのものをハッカソンの舞台にする「TOKYO NODE "XR HACKATHON" powered by PLATEAU」がいよいよスタートします。今回はハッカソンを支えるシステムについてのお話しです。
デジタルツイン虎ノ門
今回、開発者・クリエイターの皆さんと新しい都市体験を生み出し、街づくりを目指すハッカソン実現のために開発したのが「デジタルツイン虎ノ門」と「デジタルツイン虎ノ門 SDK for Unity(以下、虎ノ門SDK)」です。
デジタルツイン虎ノ門は、TOKYO NODEを有する虎ノ門ヒルズ ステーションタワーを中心とした虎ノ門エリアのさまざまな情報を基に高精度の都市デジタルツインを構築したシステムです。
そして、デジタルツイン虎ノ門のデータをXRコンテンツ・アプリケーション開発者の皆さんが自由に利用できるようにしたものが虎ノ門 SDKになります。
デジタルツイン虎ノ門では、虎ノ門エリアに関する以下の情報が、虎ノ門SDKを通して、ハッカソン参加者の皆さんに無料で提供されます。
・Visual Positioning System(VPS)
・位置情報(高さ情報)
・屋外・屋内の3Dモデル
Visual Positioning System(VPS)
VPSは、スマートフォンや今後登場するグラス型デバイスに搭載されたカメラ画像から、現実の世界のどの場所からどの方向を向いているのかをリアルタイムに推定する技術です。
現実の世界にARのキャラクターや情報を表示する場合、〇丁目〇番地〇号という住所やGPSなどで取得される緯度経度情報だけでは、「お店の前にARで看板やお店のキャラクターを置く」というような高精度な位置合わせは困難です。これを解決するのがVPS技術です。
スマートフォン等のカメラに映する景色と、3次元的に構築したVPSマップを照合して、GPSなどでは不可能な高精度な位置をリアルタイムに推定して、ARオブジェクトの設置を可能にします。
デジタルツイン虎ノ門では、このVPS技術にフィンランド発の「Immersal」というシステムを採用しています。
※Immersalの公式サイト
今回、Imersal社に全面協力してもらい、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー内の3Dスキャン及びVPSマップの構築を行い、デジタルツイン虎ノ門に整備しました。公共施設内のVPSマップを開発者向けに広く公開する事例としては日本初(世界初?)でしょう。
VPSの弱点
現実の世界の自己位置を推定するのに最適なVPSですが弱点もあります。それは繰り返し構造に弱いという点です。繰り返し構造とは、同じような構造物が並ぶ景色を指します。
例えば、ホテルやビジネスオフィスが入っているビルの場合、エレベーターで5階に降りても6階に降りても同じようなエレベーターホールがあると思います。このような繰り返し構造がある場所では、VPSはそれが5階なのか6階なのかをカメラに映る景色から推定することは困難です。
地下から高層階を含む三次元的な都市空間VPSを実現するため、デジタルツイン虎ノ門では、スマートフォンの気圧センサーの情報からフロアを推定し、最適なVPSマップを参照できる仕組みを実装しています。
今回のハッカソンでは限定されたエリアのみ利用が可能ですが、将来的には地下から高層階ごとにコンテンツや情報を配置したり、正確な案内をすることも可能です。
現実世界で開発者やクリエイターの方が新しい都市体験を生み出せるようにする環境=VPSネイティブな街を実現する「デジタルツイン虎ノ門」。次回は屋内・屋外の3Dモデルについて解説します!
XRハッカソン 締め切りは11月24日(金)!
さまざまな技術を結集して開発した「デジタルツイン虎ノ門」と「デジタルツイン虎ノ門 SDK for Unity」を開発者の皆さんに無料で提供し、チャレンジしてもらう「TOKYO NODE "XR HACKATHON"powered by PLATEAU」。
応募締め切りは2023年11月24日 午後8:00に延長になりました!対象参加者は、開発者(Unity)、デザイナー、プランナーなど、アート、エンタメ、サービス、一発ネタなど、新しい都市体験を生み出す様々なジャンルを募集しています。ぜひ、お気軽にご応募ください!
※詳しくはコチラのXR HACKATHON特設サイトへ