ご都合主義の数学 〜なぜ0で割っちゃいけないのか〜
こちらの記事(↓)で,数学における“定義”の話を書きました.
数学で“定義”というと,用語を定義するだけではありません.
用語以外を定義するって,よく分からないかもしれないですが,その分かりやすい例を紹介しようと思います.
それは,演算を定義するということなんですが,具体的には「$${0}$$で割る」という計算の定義のことです.
小学校で,「$${0}$$で割っちゃいけない」ということを習ったと思います.
それって何故だと思います?
答えは簡単で,「$${0}$$で割ると都合が悪いから」です.
何が都合悪いのか,説明します.
仮に,「$${0}$$で割る」をムリヤリ定義してみましょう.
例えば$${1÷0}$$を考えてみます.
$${1÷0}$$を分数で表すと$${\dfrac{1}{0}}$$になりますね.
この$${\dfrac{1}{0}}$$とはどんな数になるんでしょう?
そこで,小学校で(※中学校だっけ?)習った反比例のグラフを思い出してみてください.$${\dfrac{1}{x}}$$みたいなやつのグラフです.
こんな感じでしたね?↓
さて,$${\dfrac{1}{0}}$$は,このグラフの$${x}$$(=横軸)が$${0}$$のところです.
つまり,左端ですね.
これ,左端にグラフがぶつかることはないんですが,強いて言うなら$${\dfrac{1}{0}=\infty}$$になる,というのはいいかなと思います.
つまり,「$${0}$$で割る」を定義しようとすると,$${\infty}$$が出てくることになります.
この$${\infty}$$というのが,都合の悪い存在なんです.
というのも,例えば
$$
x+1=y+1
$$
という式があれば,両辺から$${1}$$を引いて
$$
x=y
$$
となりますね.
同じような感じで,
$$
1+\infty=\infty
$$
というのを考えてみましょう.($${\infty}$$よりも大きい数はないので,$${1}$$足しても$${\infty}$$になります)
で,$${x+1=y+1}$$と同じように両辺から$${\infty}$$を引いてみると,
$$
1=0
$$
になります.
これが都合悪いんです笑
だから,「$${0}$$で割る」は定義できないんです.
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