見出し画像

数学って実は“言葉”にうるさい

会議とかで抽象的な議論になった場面を想像してほしいんですが,そのような場面って,誤解が生まれやすくなりませんか?
「相手の言っていることがよく分からないな…」とか思ってたら,実は根本的なところを誤解してた,みたいな.

普通,抽象的な議論では誤解が生まれやすいと思うのですが,かなり抽象的な議論が多い数学では“誤解”が基本的にないんです.(難しくてそもそも理解できないことはありますが)

なんで数学では誤解が生まれないのかを知ると,他の場面でも役に立つことはあるんじゃないかなと思うのですが…


これには二つの理由があると思っていて,一つ目は「数学には厳密なルールがある」ということです.

例えば数学で「AならばBである」と言ったときに,例外は許されないんです.
もうちょっと具体的に言うと,「$${x^2=4}$$ならば$${x=2}$$である」と(数学では)言えないんです.「$${x=-2}$$」もあり得るので.

こんな感じで,数学にはかなり厳密なルールがあって,大学ではこの辺のルールを曖昧にすると先生にめちゃくちゃ怒られます笑


で,二つ目の理由は,「言葉の定義が明確」ということです.
たぶんこっちのほうが数学以外の場面で役に立つと思います.

例えば“集合”という数学用語があります.
「朝8時に駅前で集合ね!」という場面で使われる“集合”ではなく,数学用語としての“集合”です.例えば,$${ \{ \dots,-2,-1,0,1,2,\dots \} }$$のような整数の集まりのことを集合と言ったりします.
この集合というのは,高校では「モノの集まり」という定義になってます.でも,「じゃあ“モノ”の定義は?」とか「“集まり”の定義は?」とかいうツッコミが入り,実は“集合”という言葉の本当の定義ってめっちゃ難しいんです.(難しすぎるから,高校では「モノの集まり」としか教えられないんです)

「直感的に分かるでしょ」という定義も許されません.
“確率”というのが良い例で,例えば「サイコロを振って1が出る確率は?」と聞かれたら$${\dfrac{1}{6}}$$と答えるのが普通だと思います.でも,「“確率”というのは,1が出る回数(1回)を全体の回数(6回)で割ったもの」という「そりゃそうでしょ」と言いたくなるような定義にも,「本当にその定義が適切なの?」というツッコミが入ります.
“集合”と同様,“確率”の定義も実はめっちゃ難しいです.難しすぎるから中学生を誤魔化してます.(笑)

コレは数学以外の場面でも重要なことだと思っていて,例えば会議の中で「その言葉ってどういう意味?」という詰められ方をしている人を見ることがあります.


数学って「理系ど真ん中」みたいな感じですが,たぶん文系よりも“言葉”にうるさいです笑

この記事が参加している募集

数学がすき

サポートしていただけますと,インプットに充てる時間とお金が増えてとても助かります!