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“基礎”と“応用”に関する誤解

世間的に誤解が多そうな言葉として,“基礎”と“応用”がある.
受験問題集とかでは,基礎問題ほど難易度が低く,応用問題ほど難易度が高いことが普通なので,「基礎は簡単,応用は難しい」という印象を持っている人も多いのではないだろうか.

そのような人にとっては,このフレーズには違和感があるかもしれない.

高校生までで扱う数学は,応用作業の部分である.基礎となる作業の難度が極めて高く,「数学を専門的に学びたい」と思う人間でないとハードルが高すぎることは理解してもらえると思う.

『大学数学は哲学と言われる理由(数学科は計算が得意という誤解)』


だが,これは正確には「基礎問題は簡単な傾向がある,応用問題は難しい傾向がある」で,「基礎は簡単,応用は難しい」は誤解である.

“基礎”というのは「基づくいしずえである.
その基礎を「(個別の事象に)応じて用いること」が“応用”である.


数学で言えば,公式を覚えたり,(単に)公式を当てはめる練習をしたりすることが基礎にあたる.
そして,その基礎(公式)を文章題に応じて用いることが応用である.

このときに応用が基礎より難しいのは,基礎は単純作業で済むが応用は「この文章題にどの公式が有効か」を考える必要があるからである.

だが,基礎を突き詰めようとすると,「なぜこの公式が成り立つのか」や「この公式の持つ性質は何なのか」などを考えることになる.
そのとき,(一概には言えないが)応用よりも難しいことが多い.特に数学の場合は基礎を突き詰めると考えることが途方もなく多くなるので,応用よりも難しくなるのである.

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