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“数に対するセンス”の事とかその磨き方とか

先日Twitterで,「九九を覚える必要はあるか?」という議論を見ました.

面白いなぁと思ったのは,数学嫌いな人がこの議論を始めたわけではないというところです.
「百マス積分やろうぜ!」とか言うくらいの数学バカの人が,この議論を始めていたのです.

そろばんで叩き込まれた事

昔そろばんを習っていて,幼稚園生の頃にそろばんの先生から叩き込まれたことがあります.

それは,“足して$${10}$$になる数の組み合わせ”です.
$${3}$$と$${7}$$とか,$${6}$$と$${4}$$とかです.

これ,一見すると九九よりも覚える必要がなさそうじゃないですか?
だって,それくらい覚えなくても分かるじゃないですか.

ただ幼稚園生なので,さすがに即答はできないんですね.
でも,先生たちは即答しなさいと言うわけです.

となると暗記するしかないので,“足して$${10}$$になる数の組み合わせ”をひたすら暗記しました.
反射で答えられるようになるまで.

そうすると,自分の中で明らかな変化がありました.

センスは暗記によって磨かれる

“九九”も“足して$${10}$$になる組み合わせ”も,反射的に答えが出るまで徹底して覚えたとき,大きな意味があると思っています.

“足して$${10}$$になる組み合わせ”を覚えたことによる変化は,“数に対するセンス”が磨かれたということです.

例えばこんな筆算をするとします.

$$
\underline{\begin{matrix}
{} & 2 & 3 \\- & 1 & 6
\end{matrix}}
$$

小学校では,1の位の計算のときに繰り下げがあって,$${13-6}$$を計算すると習うはずです.
でも,ぼくが計算するときには
①10の位の上の$${2}$$を$${1}$$にする
②1の位の上の$${3}$$に$${4}$$を足す
というふうに考えます.

②で$${4}$$を足すのは,1の位の下の$${6}$$に足して$${10}$$になる数が$${4}$$だからです.

これ,$${6}$$に足して$${10}$$になる数を思い出すのにかかる時間が0秒なら,$${13-6}$$を計算するよりラクじゃないですか.
$${3+4}$$を計算するだけなので.

このやり方で,たぶん小学生の頃から繰り下げの計算を間違えたことが一度もないんです.
小学1年生のときには,$${6}$$に足して$${10}$$になる数を間違うことはなかったはずです.

それは,「計算すれば分かるから」ではなくて,「$${6}$$に足して$${10}$$になる数が$${4}$$じゃなかったら気持ち悪いから」です.

もはや理屈や知識ではなくて,感覚,センスの問題なんです.

料理に喩えると分かりやすいかもしれないです.
味を整えるときに,塩を使うべきか砂糖を使うべきか迷うことはないと思います.

それって,「塩=しょっぱい,砂糖=甘い」という知識があるからというより,「塩を入れたらどんな味になるか,砂糖を入れたらどんな味になるか」が感覚的に分かるからですよね.

ポイントは,「感覚を身につけるためにはまず知識の暗記がある」 という点です.
まずは“足して$${10}$$になる組み合わせ”を暗記しなきゃいけないし,まずは塩と砂糖の味を覚えなきゃいけない.

数に対するセンスが磨かれると,数の問題に対して「答えがコレじゃなきゃ気持ち悪い」と思えたらします.
数学のテストに限らず,日常においても.

この辺は,現代における計算機との向き合い方にも繋がる話だと思ってます.

九九を暗記する意味も,数に対するセンスを磨くということだと思います.


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